2017年7月24日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 205日目


                                                                                                                            
 
  エリクソンはどうしてアーネスト・ロッシを相方に選んだのだろう?

  ふとそういう疑問が湧く。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 205日目について書いておきたい。 
 
催眠の現実

 「Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion(1976)」著者はミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシ+シーラ・ロッシ。

    ミルトン・エリクソン論文全集の第四巻を読んでいる。そこに含まれていて、今回からの範囲に収録されているのは、「Hypnotic Realities : 催眠の現実」だ。個人的には英語で何度か読んでいる。また、書店でぱらぱらとしか確認していないが邦訳が出ている。

 そのため、ここの部分の読み方についてはルール変更して興味深いと思ったメモだけ記載しておくことにしたい。

 今日の範囲は、アンドレ・ウィゼンホファーのフォワード。スタンフォードのアーネスト・ヒルガードとともにスタンフォード催眠感受性尺度を規定した人物だ。

・・・・・・・・・・・
 

 
随考

 ―― スタイルの変遷を読む ――

 エリクソンの論文全集を1920年代の初期のものから1970年代の後期のものまで通しで読むと非常に面白い。ある意味、大河ドラマと言ってもよいだろう。ここで、エリクソンのスタイルの変遷も読みどころとなるだろう。

 初期の論文はエリクソン自身が書いていて、編集者が入ってない分ダイレクトに伝わってくるが構成が少しごちゃごちゃしている感じがある。また、使っているのは標準的なアプローチだ。1950年くらいになると、リン・クーパーと「Time Distortion in Hypnosis(1954)」を出す。このあたりで少しスタイルが変わってきているように思える。

 また、「The Practical Application of Medical and Dental Hypnosis (1961)」は共著者に引っ張られたのかもしれないがまた印象が違う。

 そして、1970年代になるとほぼ晩年でいわゆるエリクソン的なアプローチになっている。アーネスト・ロッシと出した三部作や「二月の男」あたりになると、編集者がいて編集してくれているのでかなり読みやすくなっているように思われる。

 そう考えると、ピカソのように◯◯の時代という感じで分類するとどうなるのだろうという疑問も湧いてくる。

 また、別の考えも浮かんでくる。今の知識で仮に高校1年生くらいだったら、どの学部を受験するのだろうか?という思考実験だ。今だったらおそらく、認知科学でやはり人工知能系の学部に言っているだろうなぁと思っている。実際に、人工知能系の案件は過去にほとんど支援のレベルだけれど3件ほどやったことはある。それで、やはり人の認知をコンピュータにのせたらどうなるのか?というところは非常に興味がある。例えば、コーチングのコーチを人工知能で実装したらどうなるのだろうなという具合だ。

 もちろん、エリクソンの心理療法の技法を心理療法に載せると、アブダクションのロジックで動く人工知能ということになるのだろうが、どうも論文を幾つか読んでみると、アブダクションやメタファーを理解する人工知能を研究が進んでいるのは少し空恐ろしさを感じているところではある。

 エリクソンと同じレベルの人工知能はかなり難しいのかもしれないが、なんちゃって催眠術師レベルの人工知能だったらすぐできそうだと思う今日この頃だ(笑)。

7月24日の進捗、1616ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 61.0%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion by Milton H. Erickson, Ernest L. Rossi & Sheila I. Rossi With a Foreword by Andre M. Weitzenhoffer



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679


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2017年7月23日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 204日目


                                                                                                                            
 
  木を見て森も見るには、

  どうしたらよいのだろう?(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 204日目について書いておきたい。 
 
催眠による感情が修正された経験

 「The Hypnotic Corrective Emotional Experience(1965)」著者はミルトン・エリクソン。

    エリクソンが医学会でデモンストレーションなしの催眠についての一般的な講義をするように求められた。予期せぬ、催眠による感情が修正された経験は、そこで起こった。それは少し異常な感じだった。

 出席者の中に7人の医師のグループが混じっていた。その中には心理学的に訓練された精神科医がおり、講堂のすみに座っていた。彼らは催眠については不要だと考えていたし、著者を招くことにも反対していた。また、聴衆の中には催眠療法を見たことも、経験したこともない医師も混じっていた。主催者の判断で、デモンストレーションもやって欲しいということになった。

 ただし、ボランティアの被験者になってもよいという人は誰もいなかった。結局、ランダムに指名され、その精神科医が渋々とステージにあがってきた。

 というような出だしで始まる。要は、抵抗を示したり、敵対的で怒りや不快を表しているクライアントをどのように扱ったのか?という話になる。

 内容は非常に興味深い。

・・・・・・・・・・・
 この後の論文は、ミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシの「Hypnotic Realities 」、邦訳がある「催眠の現実」。英語も何回か読んでいるので、ここからしばらくは下り坂を自転車で下るような楽な展開が予想される。もちろん、この著作は何度読んでもよい著作なので何か今まで気づいていないことに気づくような工夫をして行間を読むことが必要だ。

 
随考

 ―― エリクソン派生の諸流派と結ばれあうパターン ――

   「木を見て森を見ず」というのがある。これは、ミルトン・エリクソンにも当てはまる。木であるエリクソンだけを見ると、森が見えなくなる。

 では森をどのように見るのか?

   それは、ミルトン・エリクソン派生の心理療法の「つながり」を見ることだ。「つながり」とは、ベイトソンの言った、「結ばれあうパターン( A pattern that connects)」だ。周縁から相対的に中心に位置するだろうエリクソンを見ると、エリクソンがより浮かび上がるということが起こる。つまり、「木も見て森も見る」ことができる。これは面白い発見だ。

 エリクソン財団がまとめた派生の心理療法は以下のようになる。細かいところで異論反論もあるだろうが、大まかな「つながり」を見る分には非常に有効だ。
 

 エリクソンは自身の心理療法の体系を残さなかった。つまり、エリクソンの技法はどうにでも解釈できる。また、独自技法の開発を推奨した。これはこのあたりの映像で確認できる。だから、エリクソンの周縁には派生の流派がシリコンバレーのベンチャー企業のように、良い意味でも悪い意味でも、有象無象に登場する。もちろん、流派の生き残りのためには多様性は有効だろう、アシュビーの「最小多様度の法則」が示していることだ。ちなみに派生とは、エリクソンと何らかの「つながり」を持っていることを意味する。

 また、この「つながり」は、複雑系的には塊として成長していて、周縁からボトムアップで創発が起こっているのがこの流派の面白いところだろう。時々キラリと光る流派が何の前触れもなしにこの「つながり」の中から出て来る。複雑系的な理屈はこのあたりで書いた。

 さて、諸流派について、おおまかに言うと、エリクソンの暗黙知を暗黙知として学ぼうと考えるエリクソニアンと、エリクソンの暗黙知を形式知化した学派に別れる。ある意味、前者が無意識、後者が意識のような関係になる。もちろん、相互作用して二重らせんで発展しているところがあるので単純に分ければよいというものでもない。

 それで、前者を代表するのが、エリクソニアンやネオ・エリクソニアン。後者を代表するのが、MRI、戦略的家族療法、ミラノ派家族療法などということになるだろう。後者はエリクソンの技法を第二次サイバネティクスをくぐらせて取り出している形式になっていて、催眠は使わず、基本対話で行うので学びやすいし使いやすい。また、日常や仕事の場面でも、人や組織のゴール達成や変化を支援する場合に使いやすい。例えば、PMIのチェンジ・マネジメントはMRIベースになっている。

 前置きが長くなったが、映像を見てみる。ここでシステミック療法と書かれているが、これは、状況、文脈、心、体、人と人など「つながり」を重視する学派だということだ。

 最初がMRIとミラノ派家族療法について、



   つぎが戦略的家族療法となる

 エリクソンの論文全集を読むと、エリクソンと派生の諸学派の「つながり」が見えてきて面白い。最初に戻るが、「木を見て森を見る」というのは、この「つながり」をどのように見るかにかかっているように思ってくる。こうすることで全体がおぼろげながら浮かび上がってくる。

余談だが、Youtubeにこれだけの濃い内容の映像をあげておくのも案外マーケティング上の手だ。うっかりこの人の著作を購入してしまった(笑)。非常によい本だ。


7月23日の進捗、1608ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 60.7%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


The Hypnotic Corrective Emotional Experience Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1965, 7, 242-248.


お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

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2017年7月22日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 203日目


                                                                                                                            
 
  コーチングを難しく考えてはいけない、

  まずはベストだと思われる心身状態になる支援から。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 203日目について書いておきたい。 
 
安全な現実の同定

 「The Identification of a Secure Reality (1962)」著者はミルトン・エリクソン。

   登場人物はジョーという8歳の男の子。27歳の母親と9歳の姉、6歳の妹が居る。母親は2年前に離婚。最近、再婚したいという男性が居る。
 
 問題はジョーについて、とにかく乱暴というが限界を知らない。花壇を壊す、友達をいじめる、母親の大切なものを壊すと最近やっていることが半端ない、というよりも限界がよく分かっていない。

 困り果てた母親はジョーをエリクソンのもとへ連れてくる。

 こんな感じで物語が始まる。
 
・・・・・・・・・・・


 
随考

 ―― エリクソン、オリンピック・チームをコーチングをするの巻 ――

   Youtubeにあがっていたミルトン・エリクソンの映像をみてみた。内容は、コーチングについてだ。具体的には、ライフル競技でオリンピックに出場する米国ナショナルチームに対してエリクソンがコーチングをした時のことを語った内容となっている。



 エリクソンは子供の頃2回ライフルを撃ったことがある、と語っているが、ライフルを撃つ技術についてはズブの素人だ。興味深いのは、それでもエリクソンにナショナルチームをコーチングして欲しいという依頼が来たことだ。

 単純にメンタルトレーニングということでもない。実際に、エリクソンが教えるのはよい身体の使い方、それに、それを自覚するやり方だ。これで調子のよい時の身体の使い方を思い出して、現行の少し違う状態をいつでも修正し、調子のよい状態を再現できる支援をする。映像にはないが、ここで質問をするとすれば「What is it like when you at your best ?」となるだろう。

 メンタルについて。40発を撃つ時にパーフェクトをねらって後半に緊張が累積していくのではなく、一発一発、「今ココ」の、その瞬間に集中するやり方だ。途中まで成績がよいと後半にプレッシャーがかかるということなのだろう。これは野球でノーヒットノーランの可能性があるピッチャーが回を追うごとにプレッシャーがかかるのと似ているように思われる。

 この内容は非常に興味深い。それは、コーチングがその道のコンテンツのプロではなくても、よい心身状態を引き出す支援できれば、コーチングができる可能性を持っているからだ。内容が何であれ、よい状態の心身状態を引き出す支援は価値があることを示している。要は、技が生きるように身体を調整する。それにより「心ー技ー体」の調整が図れるという具合だ。エリクソンはその支援をする。

 余談だが、このプロセスはスポーツに限らず色々なところで活用することができるだろう。例えば、エグゼクティブ・コーチング。この場合、一つは、MBAなどを持っているコーチが自分の経験のコンテンツをつかってアドバイスをするというやり方があるだろう。しかし、別のやり方として、エリクソンのようにどのように身体や知覚を使って意思決定しているのか?うまくできた時の意思決定はどのようだったか?のように意思決定を行うプロセスそのものに焦点を当てて、よい状態の心身状態を自覚してもらう支援をするという方法もあるだろう。案外、コーチングではこれが重要なことだ。ちょっとした違和感があればそれを自分で修正できるようになる。

 そのようなわけで、ビジネスの場面でのコーチングの場面でも「心ー技ー体」が整合している状態の重要性を再認識できた点では、短い映像だが、学ぶことの多い映像だ。



7月22日の進捗、1600ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 60.4%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


The Identification of a Secure Reality
 Milton H. Erickson Reprinted with permission from Family Process, September, 1962, 1, 294-303,


お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679


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2017年7月21日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 202日目


                                                                                                                            
 
  今日の事例は、「ビリギャル」と「すきっ歯」。

  分かる人には分かる暗号通信(笑)。  

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 202日目について書いておきたい。 
 
心身症を伴う歯科の問題の催眠療法

 「The Hypnotherapy of Two Psychosomatic Dental Problems(1955)」著者はミルトン・エリクソン。

 今日は、歯にまつわる事例が2つ。

 一つは、「ビリギャル」もう一つは有名な「すきっ歯の女性」。

 前者は、女子高生、授業で催眠のことを知ってエリクソンのもとに押しかける。この女子高生の悩みは成績が悪いことに加えて、巨大な前歯が1本しかない。それを気にして、カフェテリアでは食事をしない、人前で笑わないなど悩みを抱えている。エリクソンとのセッションの内容は、催眠下で歯にまつわるスラング、寓話、物語、冗談など1本しかない歯のことをおもしろおかしく表現する。これが、英国風の英語、スコットランド風などという感じでやっていく。何回かエリクソンとセッションを重ねた後で、高校の先生も驚くほどの「国語力」を身につけていく、いつしか歯のことも気にならなくなっていくという感じになっている。

 もう一つは、秘書として雇われている有名なすきっ歯の女性の話。一人暮らし。この論文ががオリジナルで実はコンサルティングの問題解決のような感じで記載されているだけでも13回ほどのセッションが実施されている。その意味では1回やそこらで問題が解決したのではなくステップを追って進めていることが分かる。

 この女性の目標は、結婚すること、家を持つこと、子供を持つこと。ただし、自分ではそれは絶望的だと思っている。

 また、悩みもすきっ歯だけの問題ではない、本人からの聞き取りで、箇条書きされているのを読むと、本人には申し訳ないが、本当に絶望的になる(笑)。それは、以下だ。

1.上の前歯に間があるすきっ歯
2. 明瞭に話せない(すきっ歯の上唇を気にして)
3.髪が黒く、荒く、まっすぐで、伸ばしっぱなし
4. 貧乳、小さいお尻
5. 太い足首
6.鷲鼻(ローマン・ノーズ)
7.ユダヤ人
8.両親から望まれていない子供として生まれた

 おそらく初対面の印象は、「ダサい!」だ。
 もちろん、エリクソンのすごいところはこれを欠点として見なかったということだ。クライアントの状況を聞き、そして、ゴールの達成のための資源・資質(リソース)としてどのように使えばよいか、というのをクライアントと一緒に考え抜く。

 最終的にはおめかしして職場に生き、水飲み場で気になるあの男性にすきっ歯を利用して水をかけてみなさい、が打ち手になったが、案外そこに至るまでのプロセスは色々あったということだ。その打ち手がきっかけになってすきっ歯の女性とこの男性は恋に落ちる。

 余談だが、実際、初回を除く続く4回のセッションではエリクソンはクライアントから「単におシェべりしているだけでお金が稼げるのですねぇ」とかクライアントから嫌味を言われている(笑)。しかも、このクライアントは極軽いトランスにしか入れない。

 何れにしても面白い打ち手にだけ焦点があたりがちな事例だが、そこに至るまでの解決のプロセスでは色々努力する必要があるということだ。

・・・・・・・・・・・


 
随考

 ―― ミルトン・エリクソンの治療的ダブル・バインド ――

 Youtubeに9ヶ月ほど前にアップロードされたエリクソンの映像があったので見てみた。タイトルは――希望を失った難事例クライアントへの対処に対する答え――。



 エリクソンの論文を読んでいると比較的よく出て来るパターンがある。それはこの映像にもあるように別の医師にかかっており、特に精神分析を続けているクライアントの事例だ。ここでは週5回、5年間精神分析を続けたが、まったく効果がなかったと話されている。 事実だから仕方ないが、個人的にはドヤ顔で間接的に精神分析をディスっているのではないか?と思わないでもない(笑)。 

 さらに続ける。

 クライアントには十分な時間があったにもかかわらず治療がうまくいかなかった、とエリクソンが語りかける。そしてそこからがエリクソンの格好のよいところだ。

 意識ー無意識の治療的ダブル・バインドのパターン―― 意識では誠実だが、無意識では果たしてそうだろうか? ―― をクライアントにつぶやく。このダブル・バインドが禅問答になっていて、クライアントの現状の枠組みを超えた変化を支援するキモになる。

 このあたり今までは日本語の解説書がなかったが、『催眠の現実』が邦訳され、この中に解決があるので、興味があれば一読するとよいだろう。英語だとスティーブン・ランクトンがエリクソン派国際会議で行ったプレゼンテーション資料の中にちょっとした解説がある。

 個人的には、このいぶし銀のような渋い技がエリクソンの真骨頂だと考えているが、相当注意深く観察しないと意識にのぼらないので見逃してしまう。もっとも、本来は抵抗を回避するために意識にのぼり難くしているので、これはこれでよいのだろう。

 余談だが、ある意味弁証法的な治療的ダブル・バインドの理屈やプロセスは日常や仕事の問題解決のコーチングやファシリテーションでも大いに役立つ手法であることは間違いない。


7月21日の進捗、1592ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 60.1%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

The Hypnotherapy of Two Psychosomatic Dental Problems Milton H. Erickson Reprinted with permission from the Journal of the American Society of Psychosomatic Dentistry and Medicine, 1955, 1, 6-10.


お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679


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