2011年9月1日木曜日

一般意味論事始め 27の視点



知覚-認識と言葉

人が動物と異なるところを考えると、その一つに、非常に抽象的な記号つまり言語を使って思考することができるということがあげられると思います。

もちろん実際の経験とそれを語る言葉の間には、暗黙知-形式知のような情報量だけでは語ることの難しい質の違いといった大きな断絶が存在するわけですが、このあたりを意識しなくても、自分自身の経験を、言語を使って記録することも出来ますし、小説のように言語から人の経験を想像することも出来るわけです。

また、このような性質を利用して複数の人によるコミュニケーション、つまりメッセージや意味をやり取りすることも出来ます。

しかし、日常生活でも仕事の場面でも気をつけておかないと、事実や経験とそれに付けられた言葉、あるいはその言葉で不適切でない推論を行うことで、誤解から様々なことで悩んだり、あるいは争いにまで発展したりする場合が考えられるというわけです。

逆に、事実と記号の相互作用を上手く知ることで、こういった矛盾に陥ることを防ぎ、問題を解決することにもつながるわけですが、これについての研究のひとつが一般意味論というわけです。

もちろん現在であれば、大学における研究も認知言語学が主流になってきているように思いますが、一般意味論も物事を見るメガネの一つとして、コーチングやファシリテーションの背景にある枠組みとして個人的には仕事や日常生活で非常に役立つと実感することも多いため、今日は一般意味論の研究者であるケネス・ジョンソン博士が書いた「General Semantics Outline Survey(2004)について書いておきましょう。 [1]

一般意味論の27の視点

General Semantics Outline Survey」は一般意味論の原則27が、ウィットゲンシュタインの「論考」のような形式でまとめられていますが、とりあえず大項目を概訳で取り出しておきましょう。


1.    人は他の動物と異なり記号を使って創造、イノベーション、コミュニケーションが行える。

2.    一般意味論では、言語を シンタックティクス(統語論)、セマンティクス(意味論)、プラグマティクス(語用論)の3つの切り口から捉える。

3.    アルフレッド・コージブスキーの創始した一般意味論は上の3つの切り口から、人の思考と行動の相互作用を考える。

4.    コミュニケーションは送り手と受けての間で行われる混乱の可能性に対する戦いである。

5.     五感で知覚できる世界と思考のような認識が難しい2つの世界を取り扱う。

6.     外的な情報が五感を通してもたらされる、内的感覚でそれに気づく。

7.     神経システムに翻訳されることで我々は物事を見ることが出来る。

8.    コトバの構造は他人とのコミュニケーションばかりではなく自分とのコミュニケーションにも影響を及ぼす。

9.   コトバの構造は観察対象のもの自体に質感が存在するような錯覚を抱かせる。言語の構造は観察者の存在を曖昧にする。

10.  コトバの構造は「地図」と「領土」が同じであると語ることを可能にする。

11.   コトバは類似点を語ることを容易にするが、相違点(あるいは例外)を語ることを難しくする。

12.  コトバを使って読み書きを行う場合、その話題について全て知っているとする傾向がある。

13.   コトバは静的であり、現実世界は動的である。

14.  コトバを使った、仮定、推論が事実を混乱させる。

15.  コトバの構造は思考を「ABか」のような単純な二択に追い込む。

16. コトバによって、部分が全体だと思い込む。

17.  コトバは相互のやり取りには向いてない。

18. コトバによって、ラベリング、カテゴリー分け、評価、関係の明示などを行う。

19. コミュニケーションは、話し手のコトバが、受け手自身の経験を表象することで行われる。

20.  いくつかのコトバはデータ以上のものを伝えている。

21. コトバの使い方はメンタルヘルスに関係する。

22.  科学は客観性ということが重視される。

23.  文学のコトバは、感情、主観的反応、ユニークさが重視される。

24. 人間の創造性とコミュニケーションは親密に結びついている。

25. (抽象度の異なる)いくつかの知識について語ることは有用である。

 ※抽象度の異なる→一般意味論の構造微分[2] あるいは、推論のハシゴ[3]で語られている、
 五感→言語のラベリング→推論→枠組みの構築のような人の情報処理のレベル。

26. 一般意味論は、科学的でこなれた、創造性を引き出すことを意図して構築されている。

27.     「良い地図」を構築する。


元々一般意味論はコージブスキーが第一次世界大戦に従軍して負傷し、こういった紛争が起こらないために人間はどのようにコミュニケーションするべきなのかを考えたところから始まっているわけですが、やはり、コトバと経験がどのように相互作用するのか? 考えておくことは非常に重要だと思えてくる今日この頃だったというわけです。

追記:

こういったコミュニケーションの齟齬をなくすために一般意味論ではデバイスと呼ばれる概念が提供されています。

http://ori-japan.blogspot.jp/2013/04/blog-post_1139.html

また、一例として一般意味論派生のマインドマップを書いてもよいでしょう・・・・・

http://ori-japan.blogspot.jp/2014/07/blog-post_2.html


(つづく)

文献
 [1] http://www.psybernet.co.nz/files/kj-outline-survey.pdf
 [2]https://en.wikipedia.org/wiki/Structural_differential
 [3]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/09/blog-post_13.html

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