2011年11月3日木曜日

ダブル・バインドの言語パターン(その5)



まんじゅうこわい

独り言


今日は、昨日に引き続き「ダブル・バインドの言語パターン(その5)」と題して具体的には The Reverse-Set Double Bind のパターンについて少し書いておきましょう。

抵抗を利用する

 昨日はなぜか家の近所を散歩していて、5歳くらいの子供を叱りつけているお母さんというケースを2件目撃しました。

 一件目は横断歩道でいうことを聞かない子供を怒鳴りつけ、二件目は自転車の後部座席で言うことを聞かなくなっている子供を叱りつけ・・・ビンタという構図です。

 ここでそもそも論に戻ると、目的は子供に言うことを聞かせれば良いわけですから、個人的には、もう少し叱り方、もしくは、言うことを聞いてもらう方法という点で何とかならないものかと思って観察していたわけです。

 もちろん、このように思う背景には色々な考え方や代案が存在しているわけですが、今日は、この解決策にもなりうる、相手の抵抗を抑え、言うことを聞いてもらうことにも効果的なミルトン・エリクソンの The Reverse Set Double Bind について書いておきましょう。

 このパターンのダブル・バインドはエリクソンの少年時代のエピソードに原点が存在します。

 エリクソンの父親が嫌がる牛の鼻輪に付いた紐を引っ張って無理やり納屋に入れようとしていました。 しかし、激しく抵抗して納屋に入ろうとしません。

そこで、エリクソン少年は、牛の後ろに回りこみ、尻尾を引っ張ることにしました。エリクソン少年が尻尾を引っ張ると、牛は納屋に一目散に駆け込みました、という逸話です。


追記:ここで牛の立場になってみると、鼻輪についた紐をエリクソンの父親に前方に引っ張られ、尻尾はエリクソン少年によって後方に引っ張られ・・・と文字通りダブル・バインドの状態にあったということになります。つまり、ある意味究極の選択のような状態になっているわけであり、もし、牛が禅の達人であれば、後方に進む、もしくは前方に進む以外の選択肢を取ることが出来たのかもしれませんが、ここでは、牛は「前に進む」、「後ろに進む」といった牛が認識した(限られた)選択肢の中から「前に進んで納屋に入る」ということを選択していることになります。

それで、合氣道の達人のように相手の抵抗を利用するのが The Reverse-Set Double Bind というわけです。

この言語パターンについて一例を示しておくと

Keep sitting in the chair and being quiet and unresponsive Or you might wish to move or talk just a little bit , but not too much or too soon Sometimes it is really hard to be compete inactive , isnt it ?

のように活用することになります。[1]

上の例では、椅子に座って誰とも話したくないと抵抗を示しているクライアントが居るという前提があります。

 それで、エリクソンはクライアントにそうすることの承認を与え、そして2種類の選択肢を与えそのどちらかに従うように誘うという具合に、この The Reverse Set Double Bind を活用するということになります。

 上の例を意訳しておくと、「黙って、私を無視してその椅子に座っていてもいいんだよ」「で、少しおしゃべりしたければしてもいいけどほんの少しだけね。」・・・

さらに、ベイトソンの Theory of Mind からすると、その行為についてのメタ視点を引き出すために「でも、完全に何もしないでいるっていのは結構難しいものだと思いませんか? ねぇ。」と質問して、相手の承認を引き出しているという形式になっています。

余談ですが

5年前に八十何歳かで亡くなった高校時代の校長先生がなぜかカリフォルニア生まれのゲシュタルト心理学のPh.D だったのですが、今思えば、ニコニコしながらThe Reverse Set Double Bind をかけられて大人しくさせられていたのを思い出しました。 怒られた記憶はないのだけれど、ついつい言うことを聞いちゃうんだよなぁ。(笑)

文献
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