2011年11月6日日曜日

ダブル・バインドとマトリョーシカ



    ・・というお話だったのさ

物語をメタに語る技法


今日は、「ダブル・バインドとマトリョーシカ」と題して、統合失調症などの原因ともなりうるダブル・バインドに囚われる過程を観察して体系化したベイトソン、そして、それを治療として解く過程を編み出したミルトン・エリクソンの表裏一体となる体系について少し書いておきましょう。

マトリョーシカを閉じるか?開けるか?

統合失調症が発生するプロセスの仮説として体系化されたダブル・バインド仮説については以下に書いたとおりです。

追記:最新の研究によると、ベイトソンのダブル・バインドが統合失調症の原因という仮説は既に死んでいるようです、但し、エリクソンの手法としての、治療的ダブル・バインド(Therapeutic Double-bind)は 今でも生き続けている。


それで、ベイトソンの観察した自分を制限するダブル・バインドに陥っているプロセスは、ロシアのマトリョーシカの小さな人形を大きな人形で覆っていって身動きが取れなくするような状況に似ています。 
 つまり、入れ子になっている小さな人形である一次的レベルの認識にそれより大きな人形であるメタ・レベルの二次的レベルの認識、三次的レベルの認識をどんどんかぶせて身動きを取れなくしてしまうという具合です。

しかし、世の中よくしたもので、制限する方法があれば、ミルトン・エリクソンの治療的なダブル・バインドのようにそれを解放する方法も見つけられていて、比喩的に言うとマトリョーシカの人形の外側にある人形をどんどん外していくと最終的には入れ子になっている小さな人形が現れるということになっています。

それで以下の表が、その対比となっています。[1]

ベイトソン
統合失調症の原因ともなりうるダブル・バインド
エリクソン
治療的なダブル・バインド
2人以上の関係者が存在
被害者である子供は母親もしくは両親、兄弟のゴタゴタに巻き込まれる。

2人以上の関係者が存在
通常、クライントとセラピスト(他)の間に建設的な関係が築かれている。
繰り返される経験
ダブル・バインドは一回限りのトラウマ的なイベントではなく繰り返される。
単一もしくは繰り返される経験
もし一つのダブル・バインドが機能しない場合は効果があるまで別のダブル・バインドが試行される
一次的な命令
それを行うと罰する、それを行わないと罰する。
一次的な命令
あなたがそれをやり続けなければならないことに同意する。
二次的な命令
より抽象的なレベルで第一次レベルの禁止の命令と衝突する第二次レベルの禁止命令が行われる。これが第一次禁止の命令に対するメタ・メッセージとなる。
二次的な命令
より抽象的な(普段は意識にあがっていない)メタ・レベルと(普段は意識にあがっている)第一次レベルの双方をファシリテートするためによりメタにある表現をつくる。
三次的な命令
その場から逃げてはならない。
三次的な命令
クライアントがセラピストによってバインドされた治療的選択肢を選択することでその状況から解放されることになる。
最終的に
必ずしも上記のダブル・バインドの条件が揃っていなくてもダブル・バインドに対する否定的な反応が引き起こされるようになる。
最終的に
クライアントが行動を起こし転移やダブル・バインドから自由になった時、クライアントの治療が終了する。

もちろん、エリクソンの治療的ダブル・バインドをきちんと適用するには、どの要素がダブル・バインドになっているのかを特定できる卓越した観察力と、それを治療的ダブル・バインドに転化できる職人技に裏打ちされた言語パターンが必要になってくるわけですが、一見逆説的ですが、その下位にある表現を打ち消すメタ表現が自由につくれるようになると、短期・戦略療法で用いられる柔道で言うと相手の力を使って投げ飛ばす巴投げのようなパラドクス介入が行えるようになってくることに気がつきます。

(参考)

文献
[2]
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