2011年11月11日金曜日

ウォズの魔法使いの認識論(エピステモロジー)


自分の知らないことや知らないものに出会っても、

短絡的に白黒つけるのではなく、

グレーなものをグレーなまま受け入れてみる

スティーブ・ウォズニアックの認識論


 今日は、「ウォズの魔法使いの認識論」と題して、アップルの共同創業者の一人であるスティーブ・ウォズニアックのエピソードについて少し書いておきましょう。

スポット・ライトが当たっていないところに光を当てる

 2011年の10月5日にアップルの共同創業者のスティーブ・ジョブズがこの世を去って一ヶ月以上が経過して日本では既に季節も秋から冬という具合になってきました。

 それで、世間一般的にはiPad iPhoneといった現在市場を席巻している製品や、ジョブズの生涯というところにスポット・ライトが当たってしまうのはしかたがないのですが、個人的にはライトが当たっていない舞台裏というところにどうしても興味が湧いてきます。

つまり、技術で言えば、iPad iPhoneの成功を支えている、NeXTSTEPで磨かれたUNIXをベースとしたOSやオブジェクト指向を具現化したユーザーインタフェース、[1]Newton で試みたタブレットに先立つPDAのコンセプトや手書き入力[2]、などなど、局所的に見ると商業的には大失敗だった技術、そして、人で言えば、エンジニアリングの中核を担った、「ウォズの魔法使い」と言われることもある天才エンジニアであるスティーブ・ウォズニアックを始めとする技術者。

それで、丸の内丸善のジョブズ追悼本に並んで置かれていた、アップル共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックの自伝『アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝(英語書籍名 iWoz)』 を見て、この本は結構良い本だったなぁということを思い出した、というわけです。





 本書では、いままで既成事実と思われていたことの訂正を含め様々なことが語られていてアップルファンでなくとも非常に興味の持てる内容となっています。

 さて、話は変わりますが、ウォズは随分昔から就職の時の会社選びまで含めて、私自身のロールモデルでもあるわけですが、たまにカリフォルニアのロスアルトスあたりで犬を連れて散歩しています・・・というようなウォズの Tweet が流れてくるとなんだか微笑ましくなってくるというわけです。

魔法使いのエピステモロジー

 ウォズは天才的なエンジニアで、ジョブズのような専制君主でもなく民主的で人柄も最高に良いし、億万弗長者で悠々自適な生活を送っているエンジニアの理想だと、これはこれでありだなぁと思ってきます。
 
そして、本書を読むとウォズの天才の秘密のひとつは、超人的な集中力と物事を認識するやり方、つまりエピステモロジーにあるのではないかと思ってきます。
 
 彼によれば、普通の人は物事をどうしても白か黒かで見てしまい。グレーな部分を許容することが出来ずに世の中の新しい変化を感じることが出来ないのだとか。 

 それでも、グレーな部分をグレーだとして許容して物事を見るのはエンジニアだからこそ出来るということを言っているわけです。

 たしかに、ウォズがアップルを創業したシリコンバレーの中核都市であるクパティーノに限らずシリコンバレー近辺をウロウロしていると、海のものとも山のものともつかない新しいテクノロジーがうごめいているのは間違いありません。

 そしてそのテクノロジーの開発や商品化に関わった人達は、夢や希望や金や欲望を満たすためにとにかく馬車馬のように働いてIPOや大企業に買収される当面のマイルストーンを目指すことになるのでしょう。
 
 そしてやはりウォズはこういった海のものとも山のものとも見分けがつかないカオスの淵でダンスを踊りながら、将来、どういったテクノロジーが世界を変えることになるのか? 単純に白黒つけるのではなく、あえてグレーなものをグレーなものとして、その可能性をあるがままに観ることがとても重要だと言っているようにも思えてきます。
 
たしかに、こういった視点がなければ世界を変えるような製品やサービスを創りだすことはそもそも無理でしょうし、ジェフリー・ムーアの言うマーケティング上のキャズムを越えて製品を世界中に訴求するのは困難なのでしょう。[3]

そう考えるとやはりウォズにはテクノロジーをベースにした商品やサービスが将来どのような発展を遂げるのか?直感的に判断できるような能力が必要だということになってきます。もっとも、ウォズにしても APPLE Ⅰ、Ⅱは大成功したものの、Ⅲについてはキャズムを超えられずに大失敗しているわけであり、魔法使いも失敗するという点ではムーアのマーケティング理論のような理論をより先鋭化して精度を高めていく必要もあるように思えてきます。

 それで、余談になりますが、彼がアップル・コンピュータのIPOの前に、ジョブズや弁護士からは馬鹿呼ばわりされながらも、自分の保有する株を他の社員や世話になった人に譲り100人以上の億万長者を誕生させたエピソードを聞くと・・・中々いいヤツなんだと思ってきます。

文献
[3]http://www.amazon.co.jp/dp/4798101524 
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