2011年11月17日木曜日

TOC思考プロセス4:リフレーミングでブレストを行う



新しいことを学ぶためには 思考、認識の混乱は避けられない、逆の言い方をするとこの混乱なくしては新しいことは何も学べない。それで、その思考、認識の土台となっている前提や世界観といったちゃぶ台をヒックリ返すと必ず混乱が起こる。

独り言


今日は、「リフレーミングでブレストを行う」と題して昨日のトピックの続きを少し書いておきましょう。

リフレーミングでブレストを行う

リフレーミングというのは元々パロアルトにあるMRIでブリーフ・セラピーや家族療法の研究をしていたポール・ウォツラィックにより名付けられた言葉を用いて認識を変化させる心理両方の技法の一つです。[1]

それで今回はこの技法を用いて、昨日までの記事で出てきた、「思ったほど売れていないのは、価格が高いからだ」という認識(原因仮説)に対して、まずは、この考え方に盲点がないかどうか?をこのリフレーミングを使って明らかにしていくことにしましょう。




 もっとも、このあたりの情報は通常は顧客との会話の中に含まれていて、以前書いた記事の「話の聴き方」を使って顧客の話に耳を傾けることではじめてわかってくるという世界です。


http://ori-japan.blogspot.com/2011/10/blog-post_14.html

それで、このように顧客の話を聴いた後に、質問などに含めてリフレーミングを上手に活用することが出来れば、信念・価値観、あるいはその時の心身状態によって見えなくなっている盲点とも言える部分に光を当てることができるように思います。もちろん、ここで良い意味の混乱を起こす必要もあると思いますが・・・

それで、ここではもちろんリフレーミングが唯一絶対の手段と主張したいわけではなく、場合によってはこのようなブレストを行う場合、TRIZ などの方法を使ったほうが良い結果が得られるということもあると考えています。[2]

それで、今回活用する具体的な技法は、Sleight of Mouth [3]で、状況設定としては、昨日書いた記事の続きとして 営業部門とマーケティング部門がまずは少しインフォーマルな意見交換の場として、温泉旅館で多少アルコールなども入りながら中立なファシリテータを立ててワイガヤのようなブレストを行ったという場面を想定しています。

それで、テーマは、「思ったほど売れていないのは、価格が高いからだ」じゃぁ、単純に「価格を下げれば、思ったように売れるのか?」を Sleight of Mouth のパターンに当てはめて、もう少し認識の奥にある信念・価値観とか意図とか本音みたいなところまで含めて出てきたのが以下の表のような結果だというわけです。

もちろん、実務におけるブレストではより多面的な面から検討を行う必要があるわけですが、ここでは、あくまでも「価格を下げれば、思ったよう売れるのか?」というほんの少しの手がかりを元に、その前提から考えなおして、ほんの15分程度の時間でこれだけの考えが出てくるというというところに注目いただきたいというのがここでの要点です。

切り口
質問例
回答例
意図
価格を下げたい本当の意図は何か?

価格を下げたくない本当の意図は何か?
[営業]部署の目標達成まで後20%なので勢いをつけて一気に達成してしまいたい。
[MKTG]新製品を市場投入するまであと1年程度かかりそうなので、値崩れによる収益悪化を防ぎたい。
結果
価格を下げることで得られる結果は何か?
価格を下げないことで得られる結果は何か?
[営業]部署としての売上高の確保を容易にしたい。
[MKTG]市場に対して競争力があるというメッセージを発信したい。
別の結果
価格を下げることで得られる別の結果はあるか?
価格を下げないことで得られる別の結果はあるか?
[営業]新規顧客の開拓を行う場合に話がし易いと考えている。
[MKTG]高級だというブランドイメージの維持につながると考えている。
例外
価格を下げても売れなかったことはなかったか?
価格を下げなくても売れたことはなかったか?
[営業]顧客の要件にあってない場合は価格を下げても意味がない。
[MKTG]要件を理解しておまけをつけたら結構売れたことがあった。
自己適用
この場合 N/A

実現戦略、五感で認識できるプロセス
どのように価格を下げるとどのように売上があがるのか?
[営業]顧客の担当者と話をして割引したのですぐに発注していただくようにお願いする。

世界観
価格を上げることで売上が上がる世界があるとしたらそれはどんな世界か?


価格を下げることで売上が上がる世界があるとしたらそれはどんな世界か?

価格を無料、あるいは安価にしても成り立つ世界があるとしたらそれはどんな世界か?
突発的な需要に供給が追いつかない場合、かつ代替品がすぐには提供できないような場合だとこうなるだろう・・・

顧客がそれを欲しいと思っている場合、かつ価格が購買に対して一番のボトルネックとなっている場合。

広告モデルで提供できる場合、政府自治体の助成金が利用できる場合、非営利団体を介して寄付金、助成金を原資にして提供できる場合。

メタフレーム
価格を下げて販売が増えるためには何を前提としているか?
顧客に購買意欲がある、かつ価格が購買の最大のボトルネックになっている。
フレームサイズの変更
長期的に考えたら? 短期的に考えたらどうか? 地域を広くしたら、地域を狭くしたら?
顧客の顧客まで利益を得る方法があるとしたら?
期限付き、地域限定のキャンペーンが出来ないかどうか?

代金の一部を成功報酬で提供できないかどうか?
クライテリアの階層
価格を下げることよりインパクトがあるとしたらそれは何か?
革新的な製品やサービスの場合、価格はそれほど問題にならないかもしれない。
競合他社が提供していないような機能、特徴があればそれが売りになるかもしれない。
チャンクダウン
具体的にどの製品に適用して、どの製品を除外するのか? 製品ライフサイクルで見た場合にどの価格を下げるのか?
普通に考えると競争力が落ちている製品だけを安くする。

製品は安くしても、保守やサービスで収益を稼ぐ。
チャンクアップ
製品全体に対して価格を下げたいのか?
何か、を組み合わせたり、おまけをつけることで価値があがるか?
メタファー/アナロジー
価格を下げたら販売数が増えるということをメタファーで表現したら?
一例として、価格を下げることはダイエットに似ている脂肪(無駄)を切り詰めるのはいいけれど筋肉(収益)まで落ちることは注意しなければいけない、など
再定義
値引きを、例えば投資対効果の向上と再定義すると他にどんな施策が考えられるか?
値引きとか安売りを顧客価値の向上と言い換えると新しいアイディアが出る場合がある。
タイムライン
価格は恒久的に下げるのか?いつまで下げるのか?

もっとも効果的な期間はあるか?
期末、年度末に無理に押し込み翌期、翌年度の需要を先食い食いしないようにするのが望ましい。

期末に余剰利益が出た企業を中心に攻勢をかける。


それで、実行可能なアイディアを考えると部署間の対立のようなことも見えてくるわけですが、実際にはこういった対立が出てくることこそ良いわけであり、お互いが真剣に仕事を行なっている証拠だと言えるでしょう。

それで、実際にこの対立を次元の異なるアイディアや行動につなげていく具体的な方法については次回以降で説明することにしたいと思います。

文献
[3] http://en.wikipedia.org/wiki/Sleight_of_mouth
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