2012年4月1日日曜日

ミルトン・エリクソン 状況設定の妙技



 企業のチェンジ・マネジメントじゃないけれど、コンサルティングで一番難しいのは認知バイアスに気がついてもらって思い込みを変えてもらうこと。 そうしないと、なまじ成功体験を持っているおっさんみたいな人達が実は「認識や行動の変化」に対する一番手強い抵抗勢力になったりすることになってしまうわけですねぇ。

そんなわけで組織マネジメントの鬼才エドガー・シャイン先生の世界に少しでも近づけないかなと、先生に習ってミルトン・エリクソンを研究中。(笑)

 独り言


今日は、「ミルトン・エリクソン、状況設定の妙技」について書いておきましょう。

状況設定の妙技

エリクソンの言語パターンを書いている途中ですが、これまでを見た結果、非常にミクロなところに焦点を当てている格好になっています。

もちろん、エリクソンの言語パターンは、1)クライアントのメンタル・モデル、2)クライアントの置かれているコンテクスト、3)その他、と相互作用するわけで、その相互作用を考慮した上でどのような意図で使われているのか?を観ないと単なる言葉遊びで終わってしまうということになるでしょう。

逆に言うとエリクソンの卓越性は、クライアントに対してその言語パターンが機能するような状況設定を言語パターンによって行なっているところであり、本当のエリクソンの凄さというのはある意味この異常なまでの状況設定能力、あるいは演出能力の高さにあると言っても良いでしょう。

その意味では原典にあたってその状況設定も読む必要があると思いますが、そのあたりは今後取り上げていく予定にしています。

もちろん、この状況設定の一つの例として、大枠は問題の解決に焦点を当てるものの、以下のリンクで書いていますが、実際の介入については、治療的ダブル・バインドなどの適切な状況設定が出来れば、


トランス誘導なしでも変化が起こせる可能性について、MRIのポール・ウォツラィック博士の論文を孫引きして以下で書いた通りです。


これに関連する話ですが、スティーブン・ギリガン博士の「The Legacy of Milton H. Erickson: Selected Papers of Stephen Gilligan[1]の中に以下のような記述がありますが、


 The ideas that paradoxical injunctions create altered states is rooted in the Bateson groups formulation of the double bind hypothesis(Bateson, Jackson, Haley, & Weakland ,1956; Haley ,1963)


 この中で文字通り禅問答のような強制力を伴ったパラドクスの状態になるとMRIベイトソン・グループのダブル・バインドの仮説に基づいて変性意識状態がつくられると書かれているのが面白いところなのでしょう。

その意味ではトランス誘導に注力するよりも、禅問答的に課題・問題を二項対立、あるいは二者択一で眺めてもらい、その中にベイトソンがダブル・バインドのようなものと言った類の矛盾があればこれほど適切な状況設定はないということに気づいてきます。 


もちろん、この二項対立を出発点としてクライアントが自分の認識の枠組みの外に出ることを支援する、つまりエリクソンが言うリソースを見つける手伝いをするのが、普通のエリクソニアンのアプローチだと思いますし、MRI的なプローチと言って良いのだろうなと思います。


 また、悪い言い方をすると、このあたりの状況設定の妙技がわかっていないで催眠誘導ばかりをうたっているセミナーに参加しても「第二次変化 (Second order change)[2]に到達する機会は永久に訪れないということが分かってきます。

 もっとも、この場合は、変化が起きない、あるいは変化が「第一次変化(First order change)」に収まっているため、欧米と違って目立った事故も起きないようなので、私は受講したいとも思わないのですが、何の役にも立たない代りに害も無いという点では、そう悪いことでもないのでしょう。

 それで、逆に言うとこのあたりの状況設定がきちんとできれば、コーチング/ファシリテーションなどで一見、普通におしゃべりをしていても「第二次変化」が起こせるということになってくるわけです。

 もちろん、このプロセスをクライアントと一緒に継続した取り組みとして、つくりあげていくことがチェンジ・マネジメントということになるのでしょうけれど。
 
文献

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