2012年5月31日木曜日

古典 vs 現代催眠のプロセスの違い



最近、ITの世界でも PMBOK ITILBABOKなどで、マネジメントのためにプロセスをおさえるという考え方が随分浸透してきましたよねぇ。


 もちろん、こういった世界はどうしてもネガティブ・フィードバックで制御するという方向になりがちなので、個人的には複雑系の要素を取り入れてポジティブ・フィードバックから起こる創発を楽しむような方向に出来ないのか?を考えているところなのですが・・・(笑)。

独り言


今日は、「古典 vs 現代催眠のプロセスの違い」について書いておきましょう。

管理というのはどうも好きになれないのです

 プロジェクト・マネジメントなどでもそうですが、日本語に翻訳するとこのマネジメントの部分が「管理」となってしまう状況があります。 そうして日本語になった「管理とは、そもそも何ぞや?」という問を立てて考えることになるわけですが、そうするとますます分けがわからなくなってきてしまうというわけです。

 一般的なマネジメントを考えると現実的に起こっていることをどのようにモニターするのか?ということがあげられるでしょう。この場合の答えは、インプットを見るのか?プロセス自体の流れを見るのか?アウトプットを見るのか?ということになってくると思います。

また、その現実が当初設定したミクロの閾値、あるいはマクロのゴールと異なる場合はどこに働きかけて修正していくのか?という、サイバネティックスに端を発するネガティブ・フィードバックで安定を目的とした制御を行うのか? あるいは複雑系に端を発するポジティブ・フィードバックで創発を狙うのか?というような方向になってくるように思ってきます。もちろん、この場合、細かい閾値で考えるマイクロ・マネジメントともうすこしマクロのゴールを見ながら考えるマクロ・マネジメントがあるように思います。

 それで、今日は古典催眠と現代催眠(エリクソニアン)の違いを書いておこうと思っていますが、スティーブン・ギリガン博士の言う Generative Trance [1]ではないのですが、最近のエリクソニアンはアウトプットや途中のプロセスに対してネガティブ・フィードバックを使って何かを制御しようという方向から、何らかの創発を起こして、そこから資源・資質(リソース)を取ってこようというポジティブ・フィードバックを有効活用した方向になっているような気がしているわけです。


http://ori-japan.blogspot.jp/2011/09/may-patten-be-with-you.html
 それで一般的な古典催眠と現代催眠のプロセスの違いを以下に書いておきましょう。[2]

ステージ
古典催眠
現代催眠(エリクソニアン)
誘導前段階
ラポール
背景を探る
調査
催眠の偏見を解く
催眠感受性テスト


ラポール
(以下オプション)
背景を探る
調査
催眠の偏見を解く
誘導
リラック状態へ
睡眠
内的経験、想起へフォーカス
深化
直接暗示
尺度による測定
(以下オプション)
行う場合は間接暗示が主
方向付け

肯定的 もしくは否定的
肯定的
終結
カウントダウンなど標準の方法
事後、感情、情動についての聞き取り
近い将来上手く言った状態を想像
助成
将来の期待感を高める

それでエリクソニアンは、基本はジェイ・ヘイリーが言っている「Here and Now」が基本で、オットー・シャーマの提唱しているU理論に非常に近いプロセスで経験や想起の中からリソースを探してもらうというようなプロセスになってくると思います。もちろん最終的には以下で書いた現在もっている思考の枠組みからアウトオブ・ザ・ボックスで抜け出すためにアブダクティブに学習することになると思います。


逆の言い方をするとエリクソニアンは、過去の辛い経験そのものを再体験させるという方向の退行催眠は原則やらないのでこのあたりは押さえておく必要があるように思ってきます。

(つづく)

文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

2012年5月30日水曜日

グレープフルーツ・ジュース




ビジネスの世界を真面目に追求していくと、結局、儲かるのか? 儲からないのか?の二元論で物事を見る習慣がついてしまうように思う。もちろん、ここまで極端でないにしても、こういった思考に慣れてしまうと、ユーザのニーズを捉えるために必要な感性というのがどんどん失われて行く気がしてくるのだよねぇ。

独り言


今日は、「グレープフルーツ・ジュース」について書いておきましょう。

今日は少し毛色の違う話題を

 ビジネスの本質を考えると、お金を集めて→投資して→リターンを稼ぐということから成り立っていて、ともすると最後のプロセスであるリターンを稼ぐ、つまり、儲かるのか?儲からないのか?を単に数字だけいじくって判断してしまいがちです。

 本当いうと顧客のニーズを先取りするなり、ブルー・オーシャン市場[1]を求めてどのような製品/サービスを開発するのか?そのためにはどのような未来を描いてそしてどのように組織を引っ張っていくのか?は以下でも書いたようにかなりセンスや感性に依存しているように思ってきます。


 それでこのあたりのセンスや感性を鍛えるためには、は普段から身の回りで起こる変化を感じるように知覚を磨きなさいというのが一つの方向のようにも思ってきます。

 それで具体的にはどうしたものか?と思うわけですが、ここで役に立つのが世界で最も有名な日本人であるオノ・ヨーコ女史が1970年代に英語で書いた詩集の翻訳本「グレープフルーツ・ジュース」のようにも思ってきます。



 本書は、普段はあまり使っていない、知覚を使ってイメージするようなエクソサイズという構成になっていて、実際に本書を読みながらイメージ・トレーニングを行って見るとかなり面白いです。 

「地下水の流れる音を聴きなさい。」 
から始まって、

「心臓のピートを聴きなさい。」

 「地球が回る音を聴きなさい。」 
    ・・・・・・

という具合に続いていくわけですが、 
もちろん、あくまでもイメージを楽しむというのがこの本の良いところなので、ここで「地下水の流れる音なんて聴こえるわけはないだろうとか、地球の回る音を聴くってアホか・・・」というような野暮な突っ込みはしてはいけません。 

それで最後に出てくるのが 「この本を燃やしなさい。 読み終えたら。」 ということで、個人的にはまだ燃やしていないわけですが、それで自分が中学生あたりから持っていたオノ・ヨーコのイメージが何かチャラチャラした前衛芸術家というイメージでしかなかったので、こんな素晴らしい才能をもった作家とは知らずに、本当失礼しました・・・と反省してしまった一冊です。

 オノ・ヨーコの感性は、ジョン・レノンの「イマジン」にもかなり影響を与えているようですが、この曲のプロモーション・ビデオを見ると、部屋のカーテンを片っ端から開けていくと部屋がみるみる光に溢れていくというシーンがありますが、これは一体何のメタファーなのだろうと考えてみると・・・中々面白いものがあります。  
 
そう言えば、90年代前半に N.Y.に遊びに行った時にダコタ・アパートの前の道路に埋まっている Imagineのマンホールの蓋みたいなモニュメントを観に行ったことを思い出したところでもあるわけです。
 
 (つづく)

文献

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com



2012年5月29日火曜日

ミルトン・エリクソンのカルト・クイズ(笑)



日本でミルトン・エリクソンみたいな人が出てくるときっと一子相伝みたいな形式にしちゃうんだろうなぁ。俺に弟子入りして、先生として崇めてくれて、肩を揉んでくれたら少しだけ教える、みたいな(笑)

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンのカルト・クイズ(笑)」について書いておきましょう。

ちょっとマニアックなネタで

 小学生の頃からずぅーとマニアックなので、今更一般人には戻るのは難しいと思うわけですが、今日は、ちょっとマニアックな映像をご紹介しておきましょう。

 Youtubeの映像を見ていると何の変哲もない映像のように見えるわけですが、画面の左側でレクチャーしているのがミルトン・エリクソンの8人の子供の7番目の三女ロキサンヌ・エリクソン女史というところがこの映像の面白ところかな、と個人的には思っています。


 それで、ミルトン・エリクソンには8人の子供、長男バート、次男ランス、長女キャロル、次女ベティ・アリス、三男アラン、四男ロバート、三女ロキサンヌ、四女クリスティーナが居て[1]、ジェフリー・ザイク編の「Developing Ericksonian Therapy: State of the Art[2]に登場する5人の子供達もみんなMD(Medical Doctor) PhDか悪くてMA持ちでなんか妙に高学歴に育ってしまった、というようなところがあるわけです。

このあたりは1980年に亡くなったミルトン・エリクソン、もしくは 2008年に亡くなったエリクソンの奥さんのベティ・エリクソン[3]が「エリクソン流子育て論」みたいな本を残していなかったのが残念なところなのでしょうが上の「Developing Ericksonian Therapy: State of the Art」の中で子供たちがエリクソン夫妻からどのように育てられたのか?を語っているのは興味が尽きないところです。

また、ベティ・エリクソン・トリビュート本「A Tribute to Elizabeth Moore Erickson: Colleague Extraordinaire, Wife, Mother and Companion [4]が財団から出版されているのでそのうち読もうと思っているところです・・・

 それで、ロキサンヌ・エリクソン女史 MDとベティ・アリス・エリクソン女史 MSがエリクソン財団の運営に関わっていたと個人的に記憶しているわけですが、結構 Youtubeを検索すると出てきたりするのですよねぇ。それでこの映像の 3:58あたりに登場するのが次女のベティ・アリス・エリクソン女史というわけです。


 また、長女のキャロル・エリクソン女史、この人はベッチの先生だった思ったのですが、財団とは別にエリクソン・インスティテュートを設立して活躍されているようですねぇ。


 ちなみにキャロル女史のほうはパロアルトのMRIでもセミナーをやっているようなのでこちらも腕は確かということなのでしょう。

  
 何れにしても、ミルトン・エリクソンの技法は、北斗の拳みたいに選ばれし者への一子相伝みたいな形式にしていなくて、条件を満たせば誰にでも学べるという具合にしているところが彼らの偉いところのようにも思ってくるわけです。 

(つづく)

文献
[4] http://www.amazon.co.jp/dp/9686513221/


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

2012年5月28日月曜日

MRIの技法を組織のチェンジ・マネジメントに使う




根幹にある変化のプロセスが分かっていないと人の認識や行動は変化しないし、これは単にトランス状態にすれば良いなんていう単純なものではないですねぇ。

だからそのあたりで安易に退行催眠なんてやっている連中には根本的な変化が起こせる連中なんてまずいない。むしろ安易な退行催眠は意味がない。(笑)と思っています。

つまり、トランス状態でも自分を制限する思考の枠組みからアウトオブ・ザ・ボックスできるリソースを見つけて、そこから抜けることが出来ないと、トランス状態から覚めても元の木阿弥ということになってしまいます。

MRIに代表されるような短期・戦略療法の凄いところはトランスを使う、使わないにかかわらずこの変化のプロセスを形式知化できたというところでしょうかねぇ。

独り言


今日は、「MRI関連の論文」について書いておきましょう。

神戸大学の金井先生の論文を少々

 今日も手短に。

 ミルトン・エリクソンから派生した短期療法のMRI(パロアルト派)の流れについては以下で書いたところですが、


 スタンフォードのメディカル・スクールなどで教鞭を取っていた頭の良い人たちのたどり着いた結論は、人が認識や行動の変化を起こすために必ずしも催眠を必要としなくなったところでしょう。つまり短期療法の様々な技法を催眠という足かせから開放したのがMRIといっても良いように思えます。

 つまり、ミルトン・エリクソンがどのようにして人の認識や行動の変化を起こしているのか?についてどちらかというと社会科学的な視点から徹底的に検討を加えた結果、ある条件の元で催眠なしの介入を行なっても人の認識や行動に大きな変化を起こせるようになったという具合です。 


 もちろん、当たり前のことですが、催眠、つまりトランス状態は行動や変化を起こすための資源・資質(リソース)を探すことの出来る一つの状態であり、エリクソン派は催眠を行なっていてもこの中で治療的ダブル・バインドを仕掛けて、クライアントの認識について、自分を制限している認識からアウトオブ・ザ・ボックスする、短期療法の言葉で言えばアブダクティブに学ぶ必要があるという具合です。


それで、MRIの人たちが人の認識や行動はどのように変化するのか?という変化のモデルを体系化してくれていることから


認識や行動の変化は必ずしも個人のレベルではなく、組織マネジメント、コンサルティングのネタとしてはチェンジ・マネジメントとかトランスフォーメーショナル・マネジメントというところになってきて、以下にあるような神戸大学の金井先生の論文にあるような、MRIの技法を使った組織のチェンジ・マネジメントの話につながってきます。


そうすると「あなたは眠くなる~」なんて技法を組織に使っても単に怪しいだけですから、もっと本質的なところに戻って別の切り口のインターベンションを行わないととダメだということになるわけですねぇ。

 ちなみに、このあたりのネタになるとMBAというよりDBAで研究するくらいのネタなんでしょうかねぇ。 個人的に、時間とお金があったらどこかの大学院で研究してみたいネタの一つなんですけれどねぇ・・・・(笑)

(つづく)

文献
N/A


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2012年5月27日日曜日

マイケル・ヤプコ博士のドキュメントを少々




エリクソン派の技法を学ぶには、ちゃんとしたエリクソニアンの先生から学ぶというのが一番の早道なのでしょうねぇ。(笑)

独り言


今日は、「マイケル・ヤプコ博士のドキュメントを少々」について書いておきましょう。

ヤプコ博士のドキュメントを少々

 今日も手短に。

 戦略・短期療法の方針については以下について少し書いたわけですが、 


 要は、基本的には人が認識論的にどのように現実をつくっているのかに着目して、原因分析というより、解決に焦点を当てるということが一つのポイントのように思います。 
  それで、戦略・短期療法というよりエリクソニアンの重鎮先生であるところのマイケル・ヤプコのドキュメントがネットに落ちていたので自分の研究用にリンクしておくことにしましょう。 


 このドキュメントを読んでいて、個人的に面白いなと思ったのはセッションのスクリプトが掲載されているところ、それで、1)セラピストの言葉がクライアントの知覚の注意をどこに誘導しているのか? 2) セラピストはどの程度の抽象度の言葉を使っているのか? 3) どのようにしてクライアントの資源・資質(リソース)を引き出しているのか? などを考えながら、認知科学、現象学、システム論あたりの知見でもって読み解いていたわけですが、やはり純正エリクソニアンは非常に奥深いな、と思ったわけです。
 
(つづく)

文献
N/A


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2012年5月26日土曜日

右脳と左脳の神話



今の時代に、右脳とか左脳とか潜在意識とか連呼している連中って普通に頭が悪いんじゃないのだろうかと思う(笑)。

独り言


今日は、「右脳と左脳の神話」について書いておきましょう。

右脳・左脳って独立して動くわけがない

  今日は手短に。

 脳の話を始めるとロジャー・スペリー[1]の分離脳の話で脳機能局在説の話になるようにも思ってきますが最新の脳神経科学を理解するにはエリック・カンデル[2]あたりを読んだほうが良いのだろうなと思っているところです。

 それであまり難しいことを考えなくて楽しく鑑賞できる映像がこれ

  
(つづく)

文献
[2] http://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Kandel


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2012年5月25日金曜日

ミルトン・エリクソンの技法を感じる



伝統芸能の内弟子ではないけれど、師匠の箸の上げ下ろしから言葉使いを、四の五の言わずに徹底的に真似してみる、というのも技を磨くという意味では、非常に大事なことのように思えてくる。

何らかの方法でこういったやり方で学ぶというステージは必要なのだろう。

もちろん、これをエリクソンに置き換えた時に英語のフレーズやジェスチャは結構真似できるようになった・・・として・・・日本語の言葉や日本人が行うジェスチャとしてあまり違和感のないものに本当の意味で翻訳するのが骨の折れるところかもしれないけれども、実は日本語自体がとても曖昧な催眠言語みたいなところもあって結構違和感なく翻訳できるというのは公然の秘密だったりもする。(笑)それに、エリクソン自体がマッチョなアメリカン・ヒーローとは真逆の方向なので案外日本人向きなのかもと思ったりもしているところ。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの技法を感じる」について書いておきましょう。

次にボトムアップのアプローチから

  これは、野中郁次郎先生のSECIモデル[1]で言うと、暗黙知を暗黙知として学ぶ共同化というところになるのでしょうが、 伝統芸能の内弟子が、四の五の言わずに師匠の箸の上げ下ろしから言葉遣い、ライフスタイルまで徹底的に真似をしてみるということに尽きるでしょう。

 例えば、ソリューション指向のビル・オハンロンさんが若かりし頃、ミルトン・エリクソンに弟子入りして、エリクソンの家の庭師をしながら、エリクソンのスタイルを学んだというのは結構有名な話です。

 それで、このスタイルを日本語で行う場合は少し工夫が必要なのだろうなと思っているわけですが、同時通訳者の西山千氏が言った「同時通訳は簡単ですよ。シンボルを追って、流れをイメージすれば、言葉が消えます、言葉が消えますと、同時通訳は簡単です」という言葉が重要なのだろうなと思っています。

 つまり表層構造としての言葉の奥には身体感覚や意味の張り付いた深層構造があるわけであり、表層構造の言葉は違っていても、深層構造の意味や身体感覚は同じで無ければいけない・・・・ということになってくるのでしょう。

 このあたりは最近日本語で出版されたオハンロンさんの「解決指向催眠実践ガイド本当の自分を生かし、可能性をひらくための エリクソニアンアプローチ」[2]の日本語への翻訳が良い感じだったので、こういった書籍を参考にしていただくのも良いのでしょう。
 

(つづく)

文献

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2012年5月24日木曜日

ミルトン・エリクソンの技法を見るメガネ




「何をやっているのか?」を理解できること(Knowing)、それと、実際に体を動かして何かが出来るようになること(Doing)は、やっぱり次元が違う。

 それで、このギャップを埋めることを考えると、演繹的なトップダウンのアプローチと帰納的なボトムアップのアプローチがあるように思ってくる。 

それでトップダウンから行くと、まずは、「何をやっているのか?」を理解するために、できるだけ質の良い枠組みを見つける必要がある、と思う。 つまり、この枠組みをメガネにして、実体がどう見えるのか?あれこれ試してみることになる。でも、これに凝り始めると色々ありすぎてキリがない。(笑)

ちなみに、「何をやっているのか?」は、コンテクストによって違ってくる場合が多い。

つまり、「どんな状況判断に基づいて、それを行なっているのか?」という次元が一つ上がった状況判断の枠組み自体を見る必要が出てくる。

当然、枠組み自体を見るためには、それより次元を上げてその枠組の外から見ないと枠組み自体が見えないという制限に遭遇することになる。 そうするとメガネにもいくつかの次元があるということになるのだけれど、少なくとも枠組み自体を見るためにはその枠組のメタに出たメガネが必要になってくる。 

それで、個人的には枠組みが見えるメタのメガネを3つくらいは持っておきたいなぁ、と思っているところ。

ボトムアップのほうはもっと単純、五感の知覚に戻って、意味をカッコに入れるところから。それが基本。

独り言


今日は、「ミルトン・エリクソンの技法を見るメガネ」について書いておきましょう。

まずはトップダウンのアプローチから

  ビデオに撮られた映像で、ミルトン・エリクソンがクライアントを前に語りかけている様子を観察すると大抵の人は、エリクソンが何をやっているのかまったく理解できない・・・という場面に遭遇することになるでしょう。

 私の場合は、比喩的ですが、UFOを目の前にして、既知であるニュートン系の力学やベルヌーイの定理[1]を使って、なぜ、その謎の飛行物体が空に浮いているのか?説明できなくて途方に暮れているという感じになっていました。 

 そこでこういった問を立てることにしてみました。「どうして途方に暮れているのだろうか?」、もちろんこれは演繹法的なトップダウンからのアプローチですが・・・

この答えとしては、「エリクソンが何を行なっているか?理解する枠組みを持っていないから。」というのが浮かんできました。

それで、更に「エリクソンを理解するために最低限必要な枠組みは何か?」と問を立て、この答えを探すということが当面テーマになった、というわけです。

もちろん、MRIなどの偉大な先人の研究があるわけで、まずはこの枠組、つまり、コミュニケーションの公理や 1)語用論、ベイトソンのマインドの理論を含む、 2)統語論 3)意味論のメガネをかけて観察してみることにしたというわけです。

 
 そうすると不思議なもので、不思議と言われているエリクソンが何をやっているのか?それなりに格好のつく方法で理解でき、そして言葉で説明できるようになる、もちろん言葉で説明しているということは暗黙知を形式知化しているわけであり、大方の暗黙知は落っこちてしまうことになるわけですが・・・・

 それで、この枠組に凝り始めると、ベイトソンの人類学的視点とか、現象学的視点とか、元々のMRIの枠組みが一般意味論の影響を受けているのに対して、この部分をエナクティブな認知科学[2]にしてみたらどうなるか?とか、そうすると意味論のところも変形生成文法から認知言語学に変えてみよう・・・・

 そうするとエリクソンというUFOを説明するために知らない間に認知科学を勉強するハメになっていて、ヴァレラの「身体化された心」[3]とかレイコフ&ジョンソンの「Metaphors we live by[4]はもとより「The Body in the Mind[5]、「Women Fire and Dangerous things[6]、「Philosophy in the Flesh[7]あたりのアンチ・デカルトの人たちの認知科学にどっぷり浸っているというわけの分からない状況を楽しんでいることになっているというわけです。


 もちろん、これはエリクソンを見るメガネの一つでしかないわけですが、認識論や認知科学に還元するこういうやり方だと、エリクソンを学びながらエナクティブ学派の認知科学も学べてしまうわけですし、エリクソン以外にも世の中で起きている色々なことを見る枠組みを身につけることが出来るわけで、ある意味、催眠でありがちないわゆるスピリチュアルな方向に流れるよりも投資対効果は高いな、と思っているところです。


http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_17.html

 何事も科学で説明できるわけではない、でも説明しようとしないのは知的怠慢、そんな感じでしょうかねぇ(笑)。



 
(つづく)

文献

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2012年5月23日水曜日

参考文献



ミルトン・エリクソンに関する参考文献は英語で ダブル・テイク、トリプル・テイクになっているので、一度は英語で読まないと意味が分からないことが多いのだよねぇ。

まぁ、2ch でいう縦読み、ナナメ読みみたいに一つの文章でも色々読めるようになっているからなぁ。(笑)

独り言


今日は、「参考文献」について書いておきましょう。

 参考文献

「参考文献」というカテゴリーを設けて以下に適時追加することにしました。
原則として、1)保有している、かつ 2)最低1度は全体を読んだ、文献を紹介していきます。


純正のエリクソニアンを目指す人にとって最適な入門書




Hope & Resiliency: Understanding the Psychotherapeutic Strategies of Milton H. Erickson, MD 


エリクソン財団の重鎮先生方が推薦されていて、まさに銀のスプーンを加えてこの世に生まれてきたミルトン・エリクソン関係の著作。
2005年にダン・ショートとミルトン・エリクソンの次女であるベティ・アリス、三女であるロキサンナの3人によって執筆されたエリクソン催眠の原則について書かれた著作。エリクソン関係の著作は読者を選ぶものが多いので多少の前提知識がないと理解するのは難しいのかもしれないけれども、この著作は変なクセがないので入門用としては非常にお薦め、もちろん入門といっても学士でやる一般教養程度に心理学とかの知識はないと難しいのかもしれないけれど・・・・。



エリクソン財団推奨の初級・中級者向けの准公式テキスト




Ericksonian Approaches: A Comprehensive Manual

2005年に出版されているミルトン・エリクソンの具体的な技法について体系的、網羅的、かつ具体的に書いてある綜合マニュアル。著者のお二人はかなり高齢だと思ったけれど、逆の言い方をするとライフワークとして人生をかけてミルトン・エリクソンの大きな足跡を追っかけてきたお二方の魂がこもった力作でもある。もちろん著者らはこれを読んだからといってエリクソンの論文や他の人が書いた本を読む必要がないとは言っていないし、逆にもっとも積極的に読むように薦めているところがある、けれども、エリクソンの技法は何か?を理解したかったら本書を読んであれこれ実践してみるのがてっとり早いと思う。その意味ではたったP.600の英文を読めばエリクソンの全体像は理解できるわけだからとりあえず読んで実践してみるのが良いように思ってくる。名人や達人という領域に行くのは難しいのかもしれないけれど、先人が敷いてくれたレールの上を走って行くと何とか有段者にはなれそうだと分かってくる。






Hypnotic Realities: The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion

1976年にエリクソン&ロッシで出版されている心理療法家ミルトン・エリクソンの主に技法に焦点が当てられた良書、特にエリクソンが用いた間接的な暗示の言語パターンについて詳しい。



Experiencing Hypnosis: Therapeutic Approaches to Altered States



1981年に出版された書籍なので、エリクソンが亡くなった翌年、に出版されたアーネスト・ロッシとの共著になる著作。個人的には本書を積極的に手に入れようとしたわけではないのだけれどなぜか机の上に転がっていて、どうやって手に入れたんだっけと一瞬考えこんでしまったところがある。確かカリフォルニアで買ってきた記憶がある。それで、内容的には4つのパートに分かれていて第一部が間接暗示、第二部が誘導時、治療時のカタレプシー、第三部が誘導時、治療時の観念運動シグナル、第四部が懐疑的な心でトランスを学ぶ となっている。個人的にはエリクソンを学ぶには原典にあたるのが一番効率が良いと考えているわけだけれども、その意味では本書も原典の一つ、でお薦めというレベルではなく「エリクソニアン」を名乗るなら必須の1冊でしょうと、という以前に読んでないヤツは単なるモグリでしょう・・・という一冊。






http://www.amazon.co.jp/dp/0876304420/

Therapeutic Trances: The Co-Operation Principle In Ericksonian Hypnotherapy

本書はスティーブン・ギリガンの1996年出版された著作。まえがきにジェフリー・ザイクが登場してこういう逸話を紹介している「電球を変えるのに何人のエリクソニアンが必要か?」「答えは8人」「理由は、最初の1人がクライアントを治療し、残りの7人がどのようにしてそれが上手く機能したのか?をメタファーで説明するから」。本書は、この最初の1人が具体的に何をやっているのか?エリクソニアンの治療のプロセスを非常に丁寧に説明した著作。価格にプレミアがついているけれども一読の価値はある。





Steps to an Ecology of Mind

ミルトン・エリクソンが何をやっているのか?を観察するための視点を養うための必須本であるグレゴリー・ベイトソンの「精神の生態学」の英語版、日本語版も持っているのだけれど、ヤボ用があってベイトソンが教鞭を取っていたカリフォルニア大学サンタ・クルーズにのべ3ヶ月くらい滞在する機会があって、その時持って行ってキャンパスの中で読んでいたのがこれ。同大には全米一ベイトソン関連の資料が揃っているマクヘンリー図書館があって調べ物もしていたのだけれど結構圧巻だった。 













2012年5月22日火曜日

催眠とミラーニューロン




脳を脳波計(EEG)で覗いたりfMRIで脳の血流を図ったからといって人の心が完全に分かるわけではないけれど、何らか一つの手がかりにはなりますねぇ。

独り言


今日は、「催眠とミラーニューロン」について書いておきましょう。

催眠とミラー・ニューロンの関係

今日は、手短に。 催眠を科学的かつ学術的に研究しようという団体に「the American Society of Clinical Hypnosis」があります。

それで2006年のAmerican Journal of Clinical Hypnosisに掲載されたエリクソニアンの重鎮、アーネスト・ロッシ博士、娘のキャシー・ロッシ氏他によって書かれた「The Neuroscience of Observing Consciousness & Mirror Neurons in Therapeutic Hypnosis」とタイトルの付けられた論文が結構面白いように思ってきます。


Wikipedia を参照すると、ミラーニューロン[1]は以下のように定義されていますが。


ミラーニューロン(英: Mirror neuron)は霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように""のような反応をすることから名付けられた。他人がしている事を見て、我が事のように感じる共感(エンパシー)能力を司っていると考えられている。このようなニューロンは、マカクザルで直接観察され、ヒトやいくつかの鳥類においてその存在が信じられている。ヒトにおいては、前運動野と下頭頂葉においてミラーニューロンと一致した脳の活動が観測されている。


 例えば、心理療法の世界で、非常に重要な概念とされている、セラピストとクライアントの間でラポールが確立されている時に、


お互いの脳がどのように同調しているのか? 実際にファンクショナルMRI(fMRI)を用いて調べてみました、というような構成になっています。

 もっとも、最近の傾向として、こういった脳神経科学の仮説でもって心理療法を語る時の傾向として 1)ミラーニューロン、 2)脳の可塑性 3) ダマシオのソマティック・マーカー仮説[2]あたりで語られることが多くなってきているように思っています。

 この論文は、このうち、ミラーニューロンと脳の可塑性について語られています。

それにしてもロッシー博士はとっくに70歳を超えていたと思ったわけですが、まったく探究心が衰えることがないというところが凄いところのように思ってきます。

(つづく)

文献

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