2013年1月31日木曜日

事実と自分の考えを日本語と英語とで二重記述してみる

                               

 事実とそれに対する自分の考えを日本語と、英語それぞれ書いてみて、それぞれの視点を切り替えて比較してみると、それまで気づかなかったことに気づくなぁ~(笑)。

 独り言


今日は、「事実と自分の考えを日本語と英語とで二重記述してみる」について書いておきましょう。

とりあえず日本語と英語で二重記述してみる

 グレゴリー・ベイトソンは、「A difference that makes a difference.」という言葉で情報を定義しました。

 つまり、2つの要素の1つの違いから生まれる情報が1ビットである、と。また、複雑系チックに情報から情報が連鎖的に生まれることを示した言葉でもあります。

 さらに、ベイトソンの提唱した概念に二重記述(Double Description[1]があります。簡単に言うと同じことを2つの視点から記述してみたら何が起こるか?という話になってきますが、問題が起こった時、2つもしくはそれ以上の多重の視点から記述しなさい・・・というような話になってきます。

 実際、ベイトソンの場合は心理療法で、セラピストがクライアントに向き合う視点と、マジックミラー越しにセラピストとクライアントの関係を観察している視点を持つことで心理療法が画期的には発展し始めた、うんぬん、というお話だったように思います。[2]

 それで、これを日常生活にちょっと応用というのが今日の話です。

諸所の事情から、少し長めの英文を書く必要があって、ひとまず構成とロジックを日本語で考えていたわけです。それで、その日本語を英語に翻訳(字面というよりアイディアとか意味を変換といったほうが良いかもしれませんが)していたわけですが・・・・

それで、日本語でロジカルに考えたつもりだったのですが、英語に書き換えてみると、かなり曖昧に考えていたことが分かってくるというわけです。逆にミルトン・エリクソンではないのですが、日本語に含みを持たせて、あえて曖昧なままにしておくのもいいなと考えているようなところがあるわけです。


 おそらく日本語と英語では思考プロセスもちょっと違っていたり、その枠組も違っていたりするので、同じ概念に考えについても、日本語で書き、英語で書き・・・日本語に戻り、また英語で・・・・と繰り返しやっていると、良い意味で最初とは違うところに向かっていくものだなぁA difference that makes a difference.・・・・と感じたところでもあったわけです。

 もっとも、以下で書いたように二重記述を日本語と英語でやらなくても、事実と自分気持や意味をそれぞれ日本語で記述しても同じようなことになるのかもしれませんけれどもねぇ。もちろん、「見たこと」と「聴いたこと」とか「見たこと」と「触ったこと」の二重記述もありですねぇ~あんまりやり過ぎると官能小説みたいになっちゃいますけれどねぇ(笑)。で、A difference that makes a difference.」は色々なところに使えるなぁ・・・と

 

(つづく)

 文献
[2] http://www.amazon.co.jp/dp/4255003572/
記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com


2013年1月30日水曜日

プロジェクトはなぜ失敗するのか?

                               

 解決志向的には「プロジェクトはなぜ失敗するのか?」じゃなくて「プロジェクトをどのように成功させようか?」と質問しなければいけないところなのでしょうけれどねぇ。(笑)

 独り言


今日は、「プロジェクトはなぜ失敗するのか?」について書いておきましょう。

とりあえず、プロジェクトの失敗要因を考えてみる

 そもそも論としてはプロジェクトとは「独自の製品、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務である。」と定義されているわけですが(1)期限があること、(2)独自性のある成果物を目標とすること、(3)割り当てられた資源(予算や人、物)を活用することでゴールを達成することが求められている日々の営みと考えて良いでしょう。

 それで、「プロジェクトの失敗」を考えると、(1)期限をオーバーする(2)目標の成果物がつくれない、品質を満たさない(3)予算をオーバーする、のうち何れかを満たした状態と定義することができるでしょう。

 このブログでも書いているようにソリューション・フォーカスト・アプローチ的には「何が原因で失敗するのか?」に焦点を当てるより「問題をどのように解決するのか?」に焦点を当てることになるのでしょうが、何れにしても失敗がどのような要因で起こっているのか?は非常に気になるところです。

 それで、「PROJECT SUCCESS AND FAILURE:WHAT IS SUCCESS, WHAT IS FAILURE, AND HOW CAN YOU IMPROVE YOUR ODDS FOR SUCCESS?[1]というタイトルのエッセーが非常に面白いのですが、この中にプロジェクトを失敗させる10の原因というのが書かれています。もっともこれはIT関係のプロジェクトに限ったことではなく一般的なプロジェクトを対象としていますが、以下のようになっています。

①不完全な要件(定義)
②ユーザの関与不足、巻き込みの失敗
③資源・リソースの不足
④非現実的な期待
⑤上位マネジメントの支援の不足、スポーンサーシップの不足
⑥仕様や要求の継続的な変更
⑦計画の欠如、段取りの不手際
⑧求められていないことを行わなければいけない状態になっていること
ITを使った管理の欠如
⑩技術に対するリテラシーの不足

また、別の切り口では以下のような要因が上位から12項目上げられています(Black 1996[2]

    計画の欠如
    プロジェクトマネージャの力量不足
    頻繁な仕様、要求の変更(スコープ・クリープ、貧弱な計画・・ほか)
    貧弱なスケジューリング、段取り
    チームメンバーのスキル不足
    上位マネジメントのサポート不足
    不適切な予算取り
    予算封じ込めの失敗
    不適切な資源、リソース
    不適切な情報管理
    不適切なインセンティブ、賞罰
    継続的なリスク分析とモニタリング

もっとも、このあたりは極論すれば、顧客とプロジェクトのサービス提供者のコミュニケーションの問題に還元できるのかもしれませんが、旧約聖書の創世記の中にある「バベルの塔」[3]で、お互いの言葉が分からなくなった途端に塔の構築プロジェクトが崩壊してしまう話は非常に示唆的でもあります。

個人的にはシステムの調達側と開発側が同じ言葉で話すことができるような場とフレームワークと教育を提供するNPOを立ち上げた経験があるわけですが、案外、人間は自分の経験の枠組、立場、業界の文化の範囲でしか物事を考えていないので、たとえ、日本人同士が日本語で会話するにしたとしても、認知科学やこのブログで書いている一般意味論や短期療法の知識を総動員して、お互いの認識をすり合わせることから始めてみる必要があるようにも思ってきます。

 もっとも、最終的なゴールのイメージが明確でない状態で走ってしまう良し悪しもあるのだとは思いますが少なくともプロジェクトのメンバー間でビジョンは共有されていないと、単なるやっつけ仕事にもなってくるように思ってきます。

 それで、個人的には、上で上げた項目は最終的に「人の認識や行動」に焦点を当てるようなことになってくるため、現場にでて現物を眺め、現実を把握し、人とコミュニケーションしながらソリューション・フォーカスト・アプローチで対応する、というのが基本方針です。まぁ、「人の認識や行動」は原因分析をして問題を単純にひっくり返しても解決とならないことが多いですからねぇ(プロマネの欠点を指摘してもプロジェクトがよくなるわけではないですし・・・笑)。・・・・・・・・それで、構成主義で考えると外的世界と認識の世界には因果関係はないという考え方なので・・・・でも、自己の投影としての世界と世界の投影としての自己は考えなきゃならない・・・みたいな(笑)。



(つづく)

 文献
[3]http://ja.wikipedia.org/wiki/バベルの塔
記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

2013年1月29日火曜日

ソリューション・フォーカスト・プロジェクト・マネジメント

                                  

 IBMに買収されたラショナル・ソフトウェア社のプログラム開発手法の一つであるRUPのファシリテーションで家族療法家のヴァージニア・サティアの技法が使われていたけれど、アジャイルだと心理療法家のミルトン・エリクソン流のファシリテーションでやるのが無茶苦茶相性が良いですねぇ。ある意味、信念は曲げないけれどやり方にはこだわらない「戦略的行き当たりばったり」ですからねぇ(笑)。

 独り言


今日は、「ソリューション・フォーカスト・プロジェクト・マネジメント」について書いておきましょう。

ソリューション・フォーカスト・プロジェクト・マネジメント(SFPM)

 昨日書いた吉田松陰先生の言葉ではないのですが、夢を実現していくには、思い描いたことを行動に落として、外的環境や人間関係などを考慮しながらプロジェクトのタスクとして行動を継続していくことが何より重要だと思ってきます。

 それで、普段このブログではソリューション・フォーカスト・アプローチについて書いているわけですが、このアプローチをプロジェクト・マネジメントのコンテクストで活用したらどうなるのか?というのは個人的なテーマでもあるわけです。

 元々心理療法から派生したソリューション・フォーカスト・アプローチがビジネス・マネジメントなどの分野において活用され始めたのはここ10年くらいではないかと思います。それで、情報が世界を行き来するような時代に生きていると、世界の誰かが自分と同じことを考え、そしてそのアイディアを仕事や日常生活に実践しているようなことがあるわけですが、「SFPM Compilation of PM Interviews[1]を読むと、世界のどこかには自分とまったく同じことを考えている人がいるなぁと思って微笑ましく思ってくることになるわけです。

 この中では卓越したプロジェクト・マネージャーにインタビューを行なっているような格好になっていますが、多少自分なりに行間を読んで簡単にまとめておくと。

 プロジェクトでソリューション・フォーカスト・アプローチを使った場合、何か良くなることはある?の問に。

 1つめは、ソリューション・フォーカスト・アプローチは認識や行動のやり方ではなくプロセスに焦点を当てた、ある意味メタ方法であるので、既存の方法論を活かす形式で併用できること。

 2つめは、アジャイル開発の方法論であるスクラムの方法論などと併用すると日々の進歩が確認できること。

 3つめは、ゴール設定や計画の段階で、明示的なゴールやそこに至るまでの道筋を思い描くことで、良い段取り、ができること。

 4つめは、例えば、品質管理のフェーズで、何が悪い?なぜ悪い?のように問題に焦点を当てないで、どのように解決する?品質をあげるためには何をしたらよい?のようなマインドセットを持つことができること。

 5つめは、パフォーマンス・レビューなど(定量化が難しいところ)で活用できること。

 などが書かれています。個人的にはアジャイル開発のように動くものをどんどんつくっていくような場面ではソリューション・フォーカスト・アプローチが非常に有効のようにも思えてきますが、たとえそれが都合の悪いことだったとしても資源・資質として徹底的に利用するという心理療法家のミルトン・エリクソンの思想は実はアジャイルと無茶苦茶相性が良い感じがしますねぇ。もちろん、エリクソンは密教的だし、学ぶのに10年単位の時間がかかるのでその流れを組むソリューション・フォーカスト・アプローチということになるのでしょうけれども・・・・・・

 それで余談ですが、昔マイクロソフト関係のジョークとして「都合の悪いことは仕様と言いはれ」とういうのがあったことを思い出したところでもあるわけですが・・・これもある意味カタチを変えたミルトン・エリクソンのユーティライゼーションですねぇ。(笑)もちろん、最近は顧客との相互方向のコミュニケーションを生かしてどのように顧客の望むものをつくっていくのかがアジャイルなどのテーマでもあるように思います。

(参考)
家族療法家のヴァージニア・サティアの知見を含む旧ラショナル・ソフトウェア社のファシリテーションの資料のリンクは以下で、(振り返りあたりに注目してください。)

http://www.ibm.com/developerworks/rational/library/content/RationalEdge/apr03/TeamRetrospectivesAppendix_TheRationalEdge_Apr2003.pdf
 
(つづく)

 文献
[1]http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:zsNHduImsiIJ:frymonkeys.com/wp-content/uploads/2011/09/SFPM-Compilation-of-PM-Interviews-v-1.0.docx+&hl=ja&gl=jp


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2013年1月28日月曜日

松蔭の方程式:夢x理想x計画x実行=成功

                                  

 個人的に「デザイン」という言葉は「インテリジェント・デザイン」を想起させるので、あまり好きな言葉ではないのですよねぇ・・・・で、なんかもっと創発的、言ってみれば戦略的行き当たりばったりだったり、わらしべ長者的な感じでカタチが自然に現れてくるようなことを強調した言葉はないかなぁ・・・・で、その意味での松蔭の方程式が良いかなぁと。(笑)

 独り言


今日は、「松蔭の方程式:夢×理想x計画x実行=成功」について書いておきましょう。

x理想x計画x実行=成功

幕末の思想家、実践家である吉田松陰は「 夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」というように結構深いことを言っているように思ってきます。

例えば、コンサルティングでは、AS-ISと呼ばれるような、現状の問題や課題を掘るのはほどほどにしておいて、結構気合を入れてつくるのは TO-BEと言われているような「将来のありたい姿」つまり「理想」。

もちろん、普通は「将来のあるべき姿(have to )」とか言ったりもするわけですが、これだとなんか強制されているようで嫌なので、個人的には、まず「」という名前の「妄想」を最大限膨らませ、場合によっては広げられるだけの大風呂敷をひとまず広げ、その後に、「そうすることができる(can)」「そうしなければならない(have to)」でも「そうなっていたい(want to )」という気持にフィルターをかけて出てきたのが「理想」ではないか?と考えています。そして、自分の意識をこの「理想」にロックインする。

もちろん、ここでは普段このブログで書いているようなソリューション・フォーカスト・アプローチ、まぁ、使えるのであればエリクソニアン・アプローチを使って、「まさか、過去の延長で考えていないでしょうねぇ?」のような質問をして、「単純に過去の延長ではない理想」を思い描いてもらう必要があるのだろうなと考えているわけです。

それで「理想」が出来た後は、「段取り」つまり「計画」の問題になってくるわけです。ここで重要なことは、今持っている資源・資質、あるいは夢事実のプロセスを進めていく上で「わらしべ長者的」に利用できる資源・資質をどのように理想の実現に結びつけていくのか?これが問われることになるでしょう。
まぁ、今風の言葉で言えば、プロジェクト計画を立てて、プロジェクト・マネジメントを行うということになってくるでしょう。

それで、「計画」を立てて具体的に実行できるタスクに落とした時点で日々これを「実行」していくということになっていくような形式になっていきます。

もちろん、日々のタスクを行う上で偶々上手く言ったことをどのように取り込み、どのように広げていくのか?あるいは計画されていなかったけれど途中、思わぬ資源が現れた時にどうするのか?は現在のプロジェクト・マネジメントでもあまり言及されていないわけですが、個人的にはこういったところも研究してみたテーマではあるわけです。もっともこのあたりは「プロジェクト・マネジメントに活かすミルトン・エリクソンのユーティライゼーション」のような形式になるのだろうと思ってきます。

それで、このあたりは英語の「複雑系のプロジェクト・マネジメント」みたいなタイトルの本を読んだ記憶があるのですが、ちょっと思い出してみることにしましょう。

それで、何れにしてもタスクを上手く綜合していくと「成功」の出来上がりと、いつも簡単に行くわけではないと思いますが、全体的にはこんな流れになっていくように思っています。

それで松蔭の方程式をまとめておくと、おそらく「夢×理想x計画x実行=成功」のような感じになるとおもいます。ここで、掛け算表記にした理由は、どれかが0だと全体が0になるから。その意味では松蔭の方程式は中々深いですねぇ。

(つづく)

 文献
N/A


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2013年1月27日日曜日

心理療法の効果に及ぼす要因

                                 

 ある程度効果が検証されていて、それで、属人的な卓越性がなくても、プロセスに従ったり、必要条件を整える方向であれこれやっていくと、ある程度効果が保証されているというのが方法論の素晴らしいところなのだと思っています。

 そう考えるとおいらがコーチングやファシリテーションに使っている手法なんかも一度きちんと検証したほうが良いのでしょうかねぇ・・・・(笑)。もちろん、騙す気満々な「意識高い系」自己啓発みたいなものに引っかからないためにもこういった態度は重要ですねぇ。(爆)

 独り言


今日は、「心理療法の効果に及ぼす要因」について書いておきましょう。

技法の違いが効果に及ぼす影響は案外小さい

 個人的には心理学大学院で心理療法を学んだわけではないため、コーチングやプロジェクトのファシリテーションといったことにしかミルトン・エリクソンの技法やソリューション・フォーカスト・アプローチを活用していないという事情があります。そのために、物理的な世界で実際に結果が出れば、こういった方法論が実際にどの程度、人の行動や認識の変化に対して効果があるのかを気にする必要はないのかもしれませんが、それでも、学術的にどの程度効果が検証されているのか?は気になるとこでもあり、個人的にも興味のあるところでもあります。

 それで偶然にもスコット・ミラーらの著作「心理療法・その基礎なるもの」[1]という著作を読んでいたわけなのですが、この本の中で、心理療法も様々の流派が夜空の星のように存在しているわけですが、それぞれの流派を丸めた形式でメタ分析してみた結果、実際の心理療法の効果に及ぼす要因は、①40%は治療外要因、②30%. は治療関係要因、③15%はクライエントの期待(プラセボ効果など)、④15%は技法要因(Assay & Lambert,1999) というような結果が出ているようです。

 つまり、ある心理療法の流派が「◯◯派に比べると当方の手法のほうが効果的」とか「当方の◯◯派が最高の心理療法である」と主張しても、こういった技法の違いが結果に及ぼす影響は全体の要因のわずか15%であり、案外インパクトが小さくて、プラセボが及ぼす影響と大体同程度。それよりむしろ、治療外要因として、環境を変えるとか、心理療法家とクライアントの間でコラボレイティブな関係を築くとか、たまたま上手くいった方法に変えてみる・・・・といったほうが、インパクトが高く、さらにそれ以外の外的な環境の変化のほうがもっとインパクトが高いということが分かってくることになります。

 それで、これは個人的な見解ですが、やはり心理療法の効果を高めるには、1)心理療法家とクライアントでコラボレイティブな関係を築く、2)外的環境に起こった外的要因で認識や行動の変化に活用できる資源・資質を活用する、といったようなことが重要になってくるのだろうなとも思ってくるわけです。もちろん、私の場合は、コーチングやファシリテーションの場でそれができるのか?ということが課題となるのでしょう。

ソリューション・フォーカスト・アプローチの効果はどうなのでしょう?

 また、ピーター・ディヤング、インスー・キム・バーグ共著の「解決のための面接技法―ソリューション・フォーカスト・アプローチの手引き 第3版」[2]を少し読んでいたわけですが、この中で、この研究は199211月から19938月までにミルウォーキーにあるBFTCで面接を受けた275人に対して実施したアンケートを統計処理した結果が示されています。

この統計によると、「面接回数について」80%以上のケースが4回以下の面接回数であり、面接平均回数は2.9回で、(他の技法は6前後が多い)非常に短期に終了することがわかります。

また、7~9ヶ月後に行った「最終結果」について目標達成 45%、いくらかの進歩32%、進歩なし23%であり、(通常の心理療法の平均が66%の改善であり,Lambert & Bergin, 1994)、77%の人が何らか効果があったことを報告していることになっています。逆に言うと、ソリューション・フォーカスト・アプローチも 4人に1人はまったく効果がなかったということになります。

もちろん、ここではソリューション・フォーカスト・アプローチだけをヨイショするつもりはないのですが、冒頭の技法の違いについての要因が15%程度であること、また、インスー・キム・バーグらのような卓越した心理療法家が治療にあたっても4人に1人は効果がないといった結果が出ていることも頭に入れておく必要があるのだと思います。

もちろん今後研究が進めばこのあたりの数値が改善されていくことになるのかもしれませんが、現実的な数値としてこのあたりは頭に置いておく必要があるのだと思います。

まぁ、そう考えると、個人的にコーチングなどをやって私がありえないほど優秀な人間だと仮定をしてみて(笑)。4人に1人は、「効果がなかった」と報告される可能性があるということになるのでしょうかねぇ~(笑)。もちろん、過度に期待させるのは良くないということなのでしょうねぇ・・・・

(つづく)

 文献
[2] http://www.amazon.co.jp/dp/4772410392/

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2013年1月26日土曜日

ソリューション・フォーカスト・アプローチの質問で過ごす1日

                               

今日は、仮に何かの問題に遭遇しても、ソリューション・フォーカスト・アプローチの5種類の質問だけを質問する日と縛りを入れて1日を過ごしてみようかなぁ・・・・(笑)

どんな1日になるのでしょうねぇ・・・・・・

 独り言


今日は、「ソリューション・フォーカスト・アプローチの質問で過ごす1日」について書いておきましょう。

解決に意識を向ける質問

 リアルにお会いした方から、たまにこのブログは「難しいこが書いてある」とか言われたりもすることもあり、今年は読む人から見てシンプルな内容を分かりやすい文章で書こうと思っているところでもあります。

 さて、日常生活や仕事の場面で相手にどのような質問をしたらソリューション・フォーカスト・アプローチができるのか?について少し書いておくことにしましょう。

 ソリューション・フォーカスト・アプローチの質問を使う最終的なねらいは、思考の枠組を[問題]から「解決」へ向けてもらうことのように思いますが、これも、この質問を使うので「解決」へ焦点が向くのか?「解決」へ焦点が向くので、こういった質問を使いたくなるのか?は判断が難しいところなのでしょう。まぁ、ベイトソンの言う円環的因果関係で良い意味で玉子が先か、鶏が先か、分からなくするようなこを狙っているようにも思ってきます。(笑)

そのようなわけで5種類の質問を書いておきましょう。(場合によっては1と5を同じコーピング・クエスチョンに含めている場合もありますがここでは分けています。)

前提:何か課題、問題について相手と話している場合。あるいは自問自答している場合。

1.コーピング・クエスチョン(現在までの対処についての質問)

 例:これまでどのように対処してきたのですか?対処できていたのですか?
   ここまでで何か有益なことを発見しませんでしたか?

2.エクセプション・クエスチョン(問題が起こっていない例外を探す質問)

 例:ここ数週間を考えた場合、問題が起きていなかった時はありますか?問題が起きていない状態は何が違いますか?その状態を継続するには何をすれば良いと思いますか?

3.ミラクル・クエスチョン(もし奇跡が起こったらどうなるかを想像する質問)

 例:もしも眠っている間に奇跡が起きて問題が解決されているとしたら、次の日朝起きた時にどのようにしてその違いに気づきますか?

4.スケーリング・クエスチョン(定性的な情報を主観的だが定性的に把握する質問)
 
例:現在の問題の状況について最悪を0解決できた状態を10とすると現在はいくつくらいでしょうか?明日その状況はいくつになっていると思いますか?現状の状態から1ポイントその状態をあげようと考えた場合、何をすれば良いとおもいますか?

5.タスク・ディベロップメント・クエスチョン(タスクをつくる質問)

 例:今日、(偶々でもよいので)上手くいったこと、うまく解決できたことがあるとして、この上手くいった行動の延長として設定できる比較的小さな目標を設定できるとしたらそれは何ですか?

 最終的にこういった質問が半分無意識に出てくるようなところまで練習する必要があるとおもいますが、まずは手始めに上の5種類の質問を使ってみてはいかがでしょうか?

(つづく)

 文献
N/A


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2013年1月25日金曜日

ソリューション・フォーカスト・アプローチのセッション

                               

 心理療法家であるミルトン・エリクソンの心理療法は独特の催眠言語パターンを使っていて、霧の立ち込めた森の中に迷い込んだところから宝を見つけるような漠然とした感じで進んで行くのですが、この心理療法から派生したソリューション・フォーカスト・アプローチはエリクソンのように曖昧な催眠言語を使わないし、セラピストの使う質問も限られているのでとてもシンプリファイされている感じがするのですよねぇ。

 もっとも、個人的には森の中に迷い込んで宝さがしをするほうが好きなところはあるのですが・・・(笑)。

 独り言


今日は、「ソリューション・フォーカスト・アプローチのセッション」について書いておきましょう。

まずは観察してみるのが良いのかなぁ・・・・と

 今日は、Youtubeにソリューション・フォーカスト・アプローチを開発に関わった人たちの心理療法の様子を録画した映像がアップロードされていたので、これを紹介しておきましょう。内容的には結構重たいですが・・・・・

 個人的にはミルトン・エリクソンに比べると何とシンプリファイされた形式なんだと狐につままれたようだと思うくらいシンプリファイされているわけですが、これに加えて英語で聴いていても何をやっているのか?という裏にあるセッションの構造が非常に分かりやすいように思ってきます。

 それで何かの資料で面接用のワークシート(2種類、初回用と2回め以降用)を見た記憶があるのですが、確かPDFで持ってたのを思い出したところです。






 
 
(つづく)

 文献
N/A

2013年1月24日木曜日

問題へ焦点を当てすぎない

                               

 問題に焦点を当てれば当てるほど、それが解決された様子は、その問題が起きていなかった、現状復帰の状態に焦点が当てられることになってきます。

 もちろん、人の行動や思考が問題の場合、なかなかこういったやり方で上手くいかないのが問題なのかもしれませんけれどねぇ(笑)

独り言


今日は、「問題へ焦点を当てすぎない」について書いておきましょう。

最初にどんな質問をするのか?は結構重要

 人類学者のグレゴリー・ベイトソンによれば、「情報」の定義が「A difference that makes the difference.」で行われていました。つまり、2つの要素の1つの差異が1ビットという情報として定義されていたというわけです。

 また、この情報ということを考えた場合、必ずこの情報を観察している観察者という主体がそこに存在しているという当たり前の事実が隠されていることになっています。つまり情報が存在するにはそこに差異を認識している観察者が存在している必要があるという具合です。

 さて、ここで何らかの問題解決のプロセスについて書いておきましょう。ものの本によると以下のプロセスを各プロセスの頭文字をとって「Issue モデル」とも言うようですが、典型的な問題解決のプロセスが以下になります。(余談ですが、この図の場合は、問題要因のプロセスを時系列的に辿る形式をとって How の質問を尋ねる形式になっています。)



それで、そもそも論として、何らかの問題を解決するにはまず何かを「問題」と認識する必要があるということになります。それで、ここでははじめに、「(普段と比べて)何が悪いのだろうか?」と最初に自問自答しているような形式になっていますが、これがこの後の問題解決のプロセスを規定しているという上では案外クセモノとなっています。もちろん、ベイトソン式で考えると普段の状態と現在の状態の差異比較することでそこに何らかの情報が生まれるということになってきます。

さて、以下のリンクで書いたように人間は経験則(ヒューリスティクス)に頼ってしまうようなところがあります。


それで、「係留性ヒューリスティクス(The Anchoring Heuristics):最初に提示された情報を基準として考える」から考えると最初に提示された情報、上の場合であれば、「(普段とくらべて)何が悪いのだろうか?」その後を考える上で基準となってきてしまうことになります。

つまり、このプロセスに対して何の疑問も持たなければ、現在の状態:問題が起きている状態、であり、理想の状態:問題が起きていない普段の状態:となります。

これは、無意識に問題解決のゴールが「問題が起きていない普段の状態」つまり現状復帰に設定されていることになり、昨日のトピックからすると、この問題解決のプロセスは「ネガティブ・フィードバック」で制御されることになってきます。


 それで、この問題解決の対象が、「ITシステムのネットワークの調子が悪いようだ」とか「工場のラインが止まった」というような場合、ITILなど管理手法を導入していようがいまいが、「速やかな現状復帰を行わなければならない場合」ひとまずこのような問題解決のプロセスを動かすことになってくることになるのだろうなと思っています。

 もちろん、「問題解決」の対象人が行動や認識になってくる場合、単純にこのプロセスを当てはめてしまうと以下の図ような副作用も起きてくるため注意が必要だということがテーマになってくるわけです。




 このあたりは組織の文化みたいなところにも関わってくるのだと思いますが、案外深い話題になってくるように思ってきます。もちろん、問題解決において事実関係を認識し、因果関係や相関関係で考える論理的な思考は無いとお話にならないとおもいますが、特に人間関係などは理屈で割り切れるものではないため、このあたりの問題や課題をどのように解決するのか?というのが非常に深い話になってくるのだと思います。

 もちろん、その裏返しとして解決志向があるのでしょうが、事実の観察が苦手な人が解決思考を始めると、何の根拠にも基づかないギラギラした自己啓発系集団みたいなことになるので、それはそれとして注意が必要なところもあるわけですけれど・・・・(笑)。


(つづく)

 文献
N/A

2013年1月23日水曜日

原因分析と解決志向

                                  

 企業でも製造業の製造とか品質管理などの部署では、因果関係とか相関関係を考えて問題の原因分析をきちんとやらないといけない部署もあったりするので、単純に解決志向さえ使えば上手くいく・・・とならないところが世の中面白いところでもあり、複雑なところなのですよねぇ・・・・(笑)。まぁ、一般的に営業とか接客とかのように人の認識とか行動が対象になる場合には解決志向が向いているとは思いますけれどねぇ・・・・・

独り言


今日は、「原因分析と解決志向」について書いておきましょう。

場合によって使いわけるか?敢えて二項対立でみて高次で綜合するのか?

 今日は、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)を組織のマネジメントに当てはめた場合の個人的なテーマについて少し書いておきたいとおもいます。

 個人的な推測も少し入っていますが、1959年にカリフォルニアのパロアルトに設立されたMRIで短期療法を研究していたベイトソン・グループが心理療法家のミルトン・エリクソンの心理療法を形式知化する時に用いた知見の一つが当時東海岸で研究されていたサイバネティックスだと思っています。

一般意味論をメガネにエリクソンの技法を見た場合は以下のリンクに書いたわけですが、彼らは、さらにサイバネティックスの知見も使ってミルトン・エリクソンの技法を観察してみたのだろうなぁと・・・個人的に思っています。


 それで、エリクソンがクライアントと一緒に心理療法のセッションを行う場合、クライアントにポジティブ・フィードバックのメッセージを多く返しているというのが分かったのではないかと、個人的には考えています。

 サイバネティックスの概念であるネガティブ・フィードバックとポジティブ・フィードバックの概念の違いを以下に書いておきましょう。[1]

ネガティブ・フィードバック
ポジティブ・フィードバック
1.     現状維持が基本
2.     システムに設定された目標、ゴールに対してミスマッチがない場合、「問題がない」というフィードバックを行う
3.     ミスマッチがないため、システムの制御、出力には変化がないことが確認される
4.     システムの「安定」を目的に行われる制御
1.     変化や成長、創発が基本
2.     ゴールに対するミスマッチに注目、ゴールに近づくことをもっと行え(ゴールに近づくとネガティブ・フィードバックに戻るのが基本)
3.     場合によって、目標やゴールが書き換えられることがある
4.     システムの「変化」を目的に行われるために、場合によりシステムは「不安定」になる

 これらのフィードバックの手法について「どちらが優れているのだろうか?」と考えることにはあまり意味はなく、状況に応じて使い分けるのが良いのだろうなと思っています。もちろん、ミルトン・エリクソンの場合はクライアントに対して良い意味での変化を支援したことから、主に言語を通した介入についてはポジティブ・フィードバックが多くなるのだろうなと思っています。

 それで、一般的な原因分析と解決志向のアプローチの違いを以下に書いておきます。[2]

原因分析(なぜ問題が起こったのかに焦点)
解決志向(どのように解決するかに焦点)
1.     現在の問題と過去の原因に焦点を当てる
2.     ゴールは主に問題を無くすこと
3.     問題の原因を特定、原因を無くすこと
4.     今ココで起こっている問題の現象に焦点を当てる
5.     第一次変化(First-Order Change)を志向
6.     変化への抵抗に立ち向かう必要
7.     ネガティブ・フィードバックで制御

1.     現状上手くいっていることと、望ましい将来に焦点を当てる
2.     ゴールは望ましい状態の実現
3.     問題ではなく解決に焦点を当てる
4.     ゴールに対して今ココで起こっている上手くいっている事実に焦点を当てる
5.     第二次変化(Second-Order Change)を志向
6.     現在上手くいっていることを利用(Utilize)するため変化への抵抗は少ない
7.     ポジティブ・フィードバックで制御

※第一次変化、第二次変化はサイバネティックスの用語、システムの一部が変化する場合を第一次変化、システム全体が変化する場合のことを第二次変化という。第二次変化は「変化についての変化」で論理レベルが一段上がった変化になる。

 もちろん、これを企業などの組織の問題解決やマネジメントに活用するということを考えた場合、個人的にはいつも解決志向で行けば上手く行くというような単純な話にならないところが難しいところなのでしょう。

 例えば、経営者や上位のマネジメントが会社や事業部について、将来のビジョンを考える時は解決志向でなければならないと思います。

 但し、ミドル・マネジメントや現場でどのような方向性で行くか?というのは結構難しいところだと思います。

 例えば、製造業などで、製品の製造や品質管理など、問題が製品に起こっていることがわかっていて、かつ問題が既に外在化されており、かつ問題と原因の因果関係や相関関係が明らかな場合は原因分析のアプローチを使ったほうが良いとおもいます。

 また、逆に営業のように問題と原因の相関関係の特定が難しいような場合、かつ人の認識や振舞いを扱う場合は、「なぜ売れていないのか?」に焦点を当てるより「今買ってくれているのはどのような顧客か?」「同じような顧客は他にはいないのか?」のように解決志向を活用したほうが行くように思います。

 もちろん、このあたりは個人的なテーマであり、結論が出ているわけでもないため今後のテーマとしていくことにしたいとおもいます。余談ですが、シリコンバレーの企業は解決志向な感じがしているわけですが(ほとんど企業でMBO:Management by Objectivesをやっているから)、研究していくと博論の1本くらい書けるような案外深い深いテーマなのでこれも今後のテーマとしておきましょう(笑)。

 後、日本企業が一時期成果主義っていうのを導入して大失敗したところも多いですが、会社の中でポジティブ・フィードバックができるようになっていない状態で、こういうのをやるとある意味「いじめ」みたいになっちゃいますねぇ。まぁ、サイバネティックスの視点から見たら基盤が変わっていないのだから、そこに整合しないトッピングを乗っけても上手くいくわけがないですけれどねぇ(笑)。

参考リンク
問題を外在化するためには?
http://ori-japan.blogspot.jp/2012/10/blog-post_12.html 
(つづく)

 文献
[2] http://faculty.css.edu/dswenson/web/Solfocus.htm


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