2013年2月15日金曜日

エリクソニアンを目指す12の練習(その3)

                                  

「ユーティライゼーション」と言えば、心理療法家のミルトン・エリクソンが活用した手法で、一見都合の悪いクライアントの抵抗とか、都合の悪い状況とか・・・偶然起こった出来事(例:犬の鳴き声、携帯電話の着信音、赤ん坊の鳴き声、・・・・)といったありとあらゆる物事をクライアントの認識と行動の変化のため、あるいはゴールを達成するために利用するというエリクソニアンにとっての核心となるアプローチです。

もちろん、これは予定調和的に準備されていることではなく、不確実性の「ゆらぎ」による偶発的な出来事をセラピストとクライアントの関係性の中に取り込み、それを利用していくというアプローチになります。

そう考えると日常生活や仕事の場面でも、何か都合の悪いことが起こっても、結果、これが起こらなかった場合よりも、もっと面白いことになってしまったじゃないかぁ・・・という風に偶発的な出来事を使い倒せるようになると人生とても面白くなってくるわけです(笑)。もっとも、いつも不確実性とダンスしているようなスリリングな人生になっちゃっても当方は一切関知しませんけれど・・・(爆)。

まりくいても
 独り言


今日は、「エリクソニアンを目指す12の練習(その3)」について書いておきましょう。

変化するためには変化を取り込むようにユーティライズしてみましょう

  今日は、エリクソニアンを目指す練習として、ジェフリー・ザイク博士のエッセーを引用して2つの質問を書きましたが[1]、この3つめを書いておきましょう。


3. In each session, use the method of utilization once.

それぞれのセッションで、一回こっきりのユーティライゼーションを使いなさい。


 エリクソニアンの先生方の論文とか本を読むと、そのアプローチがおおよそ1)古典(権威) 2)標準 3)エリクソニアン(コラボレイティブ)と大体3種類に分けて説明されていることが多いです。


 それで、実験室で心理療法の効果を測定するためのエビデンスを取るような時に使われるのが標準のアプローチということになるわけですが、標準的なプローチの場合、その手法が属人化しないことを目的に予め決められた手続きに従って粛々と進められていくことになります。

 一方、エリクソニアン・アプローチが標準的なアプローチと大きく違うのは何か?というと、クライアントの抵抗であれ、偶発的な出来事でさえ、クライアントの認識や行動の変化のためには積極的に取り込んでいこうというユーティライゼーションのアプローチになります。もちろん、これは変数を食べて自らが変数になるようなプローチになるため、研究者がエビデンスを取ろうと考えても、それを行うことが難しいというアプローチになってきます。

 さて、ザイク博士の話に戻ると、博士は、クライアントとセラピスト、あるいは状況の相互作用において、クライアントの認識や行動の変化、あるいはゴール達成のために役に立つことはなんでも利用してみましょう、というようにそのセッションで一回こっきりのユーティライゼーションをやってみることを提案されています。余談ですが、これをもっと格好良く言うと、状況やクライアントとの相互作用の中で見つけた一期一会のユーティライゼーションをやってみるということになるでしょう・・・・

  もちろん、ユーティライゼーションは、Jazz の即興演奏、英語で言うとインプロビゼーション(Improvisation) ラテン語でいうとアドリブ(ad lib)のようなアプローチなので、何か予め準備しておくようなものではないということには注意必要なのだと思います。

 それで、個人的には仕事でも日常生活の場面で、一見都合の悪いことが起きても、「これをどのようにすれば認識や行動の変化につながるのか?」あるいは「これをどのようにすればゴール達成に利用することができるのか?」とHowクエスチョンでそのプロセスを考えてもらうような方向で活用しています。もちろん、クライアントが居る場合は「それをどのように示唆すると有効な答えが出るか?」についても考える必要があるでしょう。

 もちろん、ここで問題になるのは Jazz で「どのようにしたら格好の良い即興演奏が出来るようになりますか?」と同じで「どのようにしたらミルトン・エリクソンのようなユーティライゼーションが出来るようになりますか?」という問の答えになってくるわけですが、個人的には案外今書いている12の練習を野球でいったらバットの素振り、Jazzで言ったらロングトーンとスケールとアルペジオの練習みたいな感じで地味に続けることなのだろうなと思っているわけです。 

(つづく)

 文献
[1]http://scholar.lib.vt.edu/theses/available/etd-07282003-160500/unrestricted/thesis7.28.03.pdf

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