2013年3月9日土曜日

ランクトン氏によるミルトン・エリクソンの技法の7つの特徴

                                  

 「貴社の問題を解決します!」と意気込んでいるコンサルタントは大体うまく行っていないコンサルタントだよねぇ(笑)。大抵のお客は「当社にはそんな問題はございません・・・」となるからね。仮にその問題が存在していてもねぇ・・・・・放置していた責任を認めることにもなるでしょうし・・・・

 独り言


病理に基づかないミルトン・エリクソンの心理療法のモデル

 今日は、エリクソニアンのスティーブ・ランクトン氏の視点からみた、心理療法家のミルトン・エリクソンの7つの特徴というのを書いておきましょう。

 もちろん、エリクソンは自身の技法について暗黙知しか残していないため、言語学者がこの技法を見れば、言語モデルで形式知され、認知科学者が見れば認知的なモデルで形式知化され、哲学者が見れば哲学的なモデルで形式知化され・・・というような図式がここに成り立っていることになります。

 それでランクトン氏が見たエリクソンの特徴は以下の7つです。[1][2]


1.      Non-Pathological Model  病理に基づかないモデル
2.      Indirection 間接的なアプローチ
3.      Utilization ユーティライゼーション
4.      Action  行動への介入、行動課題
5.      Strategic 戦略的 (現状-理想の認識と差異を埋める行動)
6.      Future Oriented 未来志向
7.      Enchantment  時に魔法を彷彿させる


 個人的に面白いと思うのは1.の「病理に基づかないモデル」を使っているという点です。

 もちろん、これはビジネス系のコンサルタントなどでも同じだと思いますが、簡単に言うと「あなたは壊れているので直さなければならない」という態度でクライアントに接しないということに尽きるでしょう。例えば、日常会話でも相手に「大丈夫ですか?」と言った場合、状況によっては「大丈夫じゃなさそうだねぇ」というメタ・メッセージを送ってしまって、相手から思わぬ抵抗を受けてしまうという構図がここにあることになるわけです。

 また、コンサルタントが「あなたの会社はここが問題です、だからこう直しましょう」というような提案をすると大体「うちにはそんな問題はありません」というように、その問題があったとしても、その存在を認めると責任の所在を問われることにもなりかねないため、問題の存在を強調すればするほど激しい抵抗にあうということになるわけです。もちろん、問題が今のところ外在化されていないということもあるでしょう。

http://ori-japan.blogspot.jp/2012/10/blog-post_12.html

 それで、ましてや心理療法の場合「あなたの精神は壊れている、直さなければ」とコトバにしないにしても、そういう態度で接するということはクライアントに「あなたは、こころが壊れています・・・だから直さなければ・・・」という人格否定にも似たメタ・メッセージを暗に伝えていることになることになりかねない構図がここにあるわけです。

 余談ですが、311の震災の後、避難所に「心理カウンセラーお断り」の貼り紙が貼られたことが話題になっていましたが。やはり、にわかセラピストやカウンセラーがここぞとばかりにバスを仕立てて被災地に乗り込むという行為は、被災地の方からすれば「こころを病んだ子はいねぇだか~」のセリフを連呼して自分のクライアントを探しまわるナマハゲのように映っても仕方がないということにもなってきます。

 そこで、「病理に基づかないモデル」というところに返るわけですが、ミルトン・エリクソンは「あなたは壊れているので直さなければいけない」といった態度をおくびにも出さないわけで、クライアントが「~で困っているのです」とうったえても、「~が役に立っていることないのですか?」というようにその問題で得ている二次利得を探してもらったり、「その状況だったら誰でもそうなりますよ~」とノーマライズしてみたり、「どう解決しましょうかねぇ?」のように解決までのプロセスをもっと間接的に示唆してみたり、一見関係のなさそうな「メタファーをつぶやいてみたり」、となってくるわけです。

 もちろん、この根底にあるのは「あなたは壊れているのではない、だから直す必要もない」という考え方なのだと思います。

  反対に、人は案外、欠点に焦点を当てて、直接的に、「~を直せ」ってやっちゃうから上手くいかなくなるのだと思います。そこには「お前は壊れている、直せ」ってメタ・メッセージが伝わってしまいますからねぇ。で、余談ですが、エリクソンも行動修正の介入はするのだけれど「変化のための資源・資質を探してそれを利用しましょう」というように、もっと間接的にシステミックにやっているのですよねぇ。当然、「あなたは壊れていないので直す必要もないよねぇ」のメタ・メッセージを伝えながら。(笑)
 
(つづく)

文献
[1]http://books.google.co.jp/books?id=hx_8B4PQN54C&pg=PR10&lpg=PR10&dq=stephen+lankton+enchantment+utilization+indirect+action+strategic&source=bl&ots=nNfIpZACsG&sig=1iKWi5SJcB1UyKrCRsvMx-IQ_NQ&hl=en&sa=X&ei=Bbw3UfP6BY7imAXt-IGIBA&redir_esc=y#v=onepage&q=stephen%20lankton%20enchantment%20utilization%20indirect%20action%20strategic&f=false
[2]https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&cad=rja&ved=0CEUQFjAD&url=http%3A%2F%2Fwww.sfbta.org%2Fpdfs%2F2011%2Fhandouts%2Ffiledownloader.asp%3Ffname%3Dtribute_to_milton_erickson.pdf&ei=rbo3UfOOFqjPmgXN-oCgAQ&usg=AFQjCNEU2Th1KaKX_oJc-RDGTRwdlDVPCQ&sig2=CfJoARDniDptxu-AcX7uog

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

  

0 件のコメント:

コメントを投稿