2014年7月31日木曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:ジェフリー・ザイクへのインタビュー



  やっぱり三流の治療家は「俺にだけできる、で、俺は凄い!」とやってしまうので胡散臭くなるのでしょうけれど、

  一流の治療家は、「条件を整えて、こうやれば、誰にでも同じ効果が得られるのですよ!」というメッセージを送っているように思ってきますねぇ。
 

ジェフリー・ザイクへのインタビュー

 Youtube に1年ほど前にアップロードされた映像をご紹介しておきましょう。
 インタビューされているのは、ミルトン・H・エリクソン財団のジェフリー・ザイク。


 
 個人的に面白いなと思ったのは、
 「ミルトン・エリクソンってカルトでは?」の問に

 心理療法には何がしかカルトな面があると語られているところ。ヴァージニア・サティア(家族療法)にしても、フロイド(精神分析)にしても、ティム&アーロン・ベック(CBT)にしても何がしかカルトな面はある・・・・だから、エリクソンにカルトな面があっても不思議ではないよねぇ・・・・というような感じ。

 で、ザイクがエリクソンに会いに行く前、サンフランシスコの大学で心理学を学んでいる時の指導教官から催眠をかけられた話・・・・これが催眠との出会い・・・

 で、1973年にジェイ・ヘイリーが「アンコモン・セラピー」を出版、でこれがあったけれど、心理療法家の間ではエリクソンはそれほど有名ではなかったという話・・・
 で、ザイクのビジョンは、主流派の心理療法の一部にでもエリクソンのエッセンスを組み込んでもらうこと。別にエリクソンの心理療法を主流にしようと考えていないところが謙虚なところなのでしょうか?

 で、エリクソンがやっていたところは社会心理学的なところがあるので、そのうち、エビデンスも揃ってくるでしょう・・・・・という具合・・・・・
 ・・・・・

こんな感じでインタビューが進んでいきますが、ジェフリー・ザイク博士自体が学者さんなので、属人的な職人技を自慢するわけでもなく、理路整然として聴きやすい感じになっているように思います・・・・まぁ、逆の言い方をすると、ミルトン・エリクソンを語っている自己啓発屋はどうも胡散臭くていかんということですけれどねぇ(笑)。
 
 (つづく)
文献

[1]N/A

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com





2014年7月30日水曜日

ソリューション・フォーカスはシステミック・アプローチに含まれる?



  穴子とうなぎはどう違うのか?みたいななんか同じようなまったく違うような話になってくるわけですが、・・・・・人類学者のベイトソンが言った「 A difference that makes a difference」の通りに2つの要素を比較すると、それが何か似たものであっても細かい違いが分かってくるのは面白いところなのでしょう(笑)。

 もちろん、この場合は集合論的には、ソリューション・フォーカスト・アプローチという「メンバー」とシステム・アプローチという「クラス」を比べているので、イメージ的には「かものはしは哺乳類か?」みたいな質問になるのかもしれませんけれどねぇ・・・・・
 

ソリューション・フォーカスはシステミック・アプローチに含まれる?

 今日は手短に。

 ネットに「Is SF a Systemic Approach?[1]というエッセーが落ちていたので読んでいたのですがこれが中々面白いと個人的には思っています。
 まぁ、SFSystemic Approach も元をたどれば、心理療法家のミルトン・エリクソン→ MRI から派生ということになるのでしょうけれど。この中でも少々一般化されたシステミック・アプローチと具体的なソリューション・フォーカスト・アプローチを比較すると、その理論とか実践とか文化とか細かい違いが明確になってくるというわけです。

 で、細かいところは省略しますが、読んでみると、中々、面白いですねぇ・・・・

 (つづく)
文献

[1]http://www.asfct.org/wp-content/uploads/2013/05/SFSystemic.pdf

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com







2014年7月29日火曜日

ミルトン・H・エリクソン財団のガイドライン



 比喩だけれど、カリフォルニアあたりの寿司屋に江戸前寿司を食べに行くとします。
 普通、江戸前寿司には江戸前寿司なりのスタンダードなお作法があるわけです。
 これがいくら創作とは言え、キムチがのっかっていたり、ケチャップがかかっていたりしたら、これって江戸前なの?といわれると、「???」ということになるわけですねぇ。

 で、日本で、心理療法家のミルトン・エリクソンのそれなりのきちんとした技法をならいたいなぁと思うと、江戸前をうたっていながら、キムチがのっかっていたり、ケチャップがかかっていりするインチキな店が多いということなのですよねぇ(笑)。まぁ、エリクソニアン・アプローチなのに前世がどうのとか、退行催眠でトラウマを再体験とかほざいている連中とか・・・・もちろんこの場合はお寿司を食べるほうではなくてつくる職人養成みたいな話になってくるのでしょうけれども・・・・

 で、これを防ぐには、どうしたらよいのか?

 基本は、米国アリゾナ州フェニックスで非営利でやっているミルトン・H・エリクソン財団のWeb サイトに1)トレーニング・カリキュラムのガイドライン、2)エリクソンをうたった団体をつくる場合のガイドライン、の2つが掲載されているのでよく読んでくださいねぇというお話になるわけですねぇ。

 で、検索エンジンで「エリクソン催眠」とか「ミルトン・エリクソン+セミナー」とかでひっかかる日本の団体のほとんどがこのガイドラインにそっていないので「頭痛が痛い」ところなのですけれどねぇ(笑)。

 そう考えると、こういった団体は一体何を教えているのか?という話になってしまいますからねぇ・・・・・・・まぁ、ミルトン・エリクソンと言っていながらNLPなんていっている団体なんかもガイドラインなんかあること自体しらない情弱ばかりだからなぁ(笑)。
 

ミルトン・H・エリクソン財団のガイドライン

 米国アリゾナ州フェニックスに心理療法家のミルトン・エリクソンの技法の正しい普及を図ろうと考えている団体として、エリクソンのアーカイブの整理や学術研究やトレーニングの提供を行っている非営利団体のミルトン・H・エリクソン財団が存在しています。


 で、エリクソン財団から2つのガイドラインが提示されています。一つはトレーニングの内容などに関するガイドライン。


 もうひとつは、エリクソンを標榜する団体をつくる時のガイドライン。


 もちろん、この人たちはそう暇ではないでしょうからディズニーのように世界中で著作権についての訴訟を起こそうと考えているわけではないのでしようし、個人的には、こういったガイドラインを参考にすることでこれから学習する人たちが標準的な技法を寄り道せずに身につけるために有効なように思えてくるわけです。

 で日本だと、「エリクソン催眠+講座」とかで検索すると、出るわ出るわ、ガイドラインもへったくれもないじゃんというで頭痛が痛いところなのですけれどもねぇ・・・・(笑)。

 まぁ、学術系の先生たちは少しはましなのでしょうけれど、日本の暗黒時代はまだしばらく続くということなのでしょう・・・・・まぁ、ダマされるほうがバカというレベルなのかもしれませんけれどねぇ・・・・・
 
(参考)

 (つづく)
文献

[1]N/A


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com







2014年7月28日月曜日

構造派家族療法の系譜



 組織というのは負のエントロピーを食べて好き勝手に振る舞う個人
の集合体だから、これまた奇々怪々というやつなのでしょう(笑)。           
 

構造派家族療法の系譜

 経営というと最後はどうしても組織を扱う必要が出てきます。おそらく MBAなんかで Organizational Behaviour なんていう科目を勉強するのもそういう理由。

 但し、これとはもうちょっと違う切り口で組織を考えてみましょう・・・となった場合は、インチキなコンサル業を営むおいらとしては、案外、家族療法の考え方はありだと思っています。介入方法も明示されていたりしますし。

 で、家族療法と一口に言っても色々あるわけですが、今日は、鬼才サルバドール・ミニューチェンの構造派家族療法のスライドが SlideShareにアップロードされていたのでこれを貼り付けておきましょう。



 
 (つづく)
文献

[1]N/A


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2014年7月27日日曜日

家族療法の系譜:人間関係の類型



 ベンチャー企業とか、大きくなる前に必ず内紛とか発生して分裂したり、他の会社とくっついたり、とかはよくある話のように思います。まぁ、経験上(笑)。

 で、経営者やコンサルタントの視点から、このあたりのことを上手く説明できて、かつ、もう少し上手にマネジメントできるための理論みたいなものはないのかなぁ?と思ってサンタ・クルーズをウロウロしている時に行き当たったのが、人類学者、グレゴリー・ベイトソンが Naven でやっていた研究ってことですねぇ。

で、実際どのようにすればよいのか?についてはこのあたりに書いてありますねぇ[1]。

 もちろん、このあたりは自然科学ではなくて社会科学なので100%の再現性がないのは当然ですけれどねぇ・・・・・
 

人間関係の類型

 この話は、もともとは人類学者のグレゴリー・ベイトソンがニューギニアのイアトムル族という名前の部族のところへいってフィールドワークを行った時の研究が元になっている話です。その部族は中央集権的な機構を持たず、100人単位での集落を形成しているわけですが、時にこの集落が分裂したり、あるいは他の部族とくっついたりということを繰り返します。ベイトソンは特に集落が分裂する要因がどこにあるのか?ということを探るために、その種族の持つ祭祀である Naven を研究したわけですが、阪大のサーバーに人の関係性として面白い情報が掲載されています。[2]

 つまり、この時ベイトソンが人間関係の類型として取り出したのが1)対称的、2)相補的、3)互換的、の3種類ということになります。

 で例をあげると、対称的な例としてボクシングやプロレス、相補的な例として、親と子がいるポーカーや双六、互換的な例として、囲碁、将棋、野球、アメリカンフットボールがあげられています。

 もちろん、ここではプレーヤー同士の関係性というところに焦点が当てられています。もちろん、対称的な関係性がエスカレートすると場外乱闘や流血戦ということになるわけです、で補完的関係がエスカレートするとどちらかがスッテンテンになるまで勝負が続く、これとは逆に互換的な例は、この場合試合がエスカレートしても守りと攻撃を交代する時がありこれが極端にエスカレートすることを防いでいるというわけです。まぁ、囲碁や将棋の場外乱闘とか流血戦というのはほとんど考えられないのではないか?と思います(笑)。
 で以下引用


 これらの中で1と2では、互いに一方の感情と行動が他方の感情との行動をエスカレートさせ、関係が極端化し、その関係自身の崩壊にまで到ることがあり、そのような場合を、ベイトソンは「分裂生成」と名付けている。3の場合には分裂生成に到る前に役割の転倒が起きるので、分裂生成は生じない。
 我々の社会はこの分裂生成を防ぐための様々のメカニズムを用意しているはずである。また二つの文化の間にも、それらが完全に融合せず、また関係が崩壊しもしないためには、分裂生成を防ぐメカニズムが設定されなければならない。



 それで、ベイトソンは分裂生成を防ぐメカニズムをイアトムル族の祭祀で男女の役割を入れ替える Navan に見て取ったというわけです。[3]

 このあたりのことはリン・ホフマン著「家族療法の基礎理論」[4]にも書いてあった記憶があるので、読んでみるとよいでしょう。

 で、会社なんか組織を長続きさせようと思うとやはり仕組みとして互換関係が機能するような仕組みを入れておかないといけないように思うわけなのですよねぇ・・・・だから、どのような関係性を育むか?が重要であって、「成果主義」みたいな名前で猿マネだけしても上手くはいかないのは当たり前なのですけれどねぇ・・・・・もちろん「最新のITテクノロジー」でもこればかりは解決できないように思うわけですよねぇ・・・・・(笑)。

 (つづく)
文献

[1]http://www.aur.edu/wp-content/uploads/2010/11/thomassen-11.02.10-schismogenesis-and-Schismogenetic-processes.pdf
[4]http://www.amazon.co.jp/dp/4255003572/

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com







2014年7月26日土曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:言葉にどう「含み」を持たせるか?



 言葉が言葉どおりに取られるものだったらこれほど苦労をすることはないのでしょうけれど、こちらが大意はなくても「含み」が悪い意味に取られたりするのでコミュニケーションが混乱してくるのですよねぇ(笑)。

 で、逆の言い方をするとよい意味で「含み」をもたせる場合にどのようにするのか?
 心理療法家のミルトン・エリクソンの話法に認知言語学の光を当てて解明を試みた著作がスティーブ・アンドレアスの「Six Blind Elephants」というわけですねぇ。

 で、スティーブ・アンドレスは心理療法家を名乗っていても、一応、カルテックの大学院出なので、なんか妙にロジカルなのが面白いですねぇ・・・・(笑)。

 で西洋のコミュニケーションってなんでも「見える化」すればよいみたいな単純な話になりがちだけれど、このあたりの話って、日本人が短歌や俳句の中にメタファーを使って「含み」を込めるみたいなところと似通ってくるのは面白いところなのでしょう。
 
 

ミルトン・エリクソンの系譜:言葉にどう「含み」を持たせるのか?

 著作も個人的に持っているのですが、ネットに転がっていた「Six Blind Elephants」の書評を読んでいたのですがやっぱりこの切り口は面白いと個人的には思っています。[1]

 この書評を読むと、MRIのポール・ウオツラィックの引用から始まります。

「カップルセラピーが完了するのはどんな時か?」
「旦那が奥さんに『コーヒ不味い』といった時に、お互いが単に事実として『コーヒが不味い』と理解した時」

 という具合。
 人は言葉を言葉どおりに受け取ることもあれば、状況によって、その言葉自体に何か含みがあると解釈してしまうことがあるわけです。

 上の例だと、『コーヒー不味い』→『入れた人間はどうしようもない』→『お前は駄目なヤツ』で奥さんは悲しくなる、あるいは怒り出す、というような具合。

 で、ここでは事実をいっただけなのに、相手の解釈次第では一触即発の状態を引き起こすという、とっても困った状態に陥ることにもなるわけです。

 で、どうしてこんなことが起るのか?

 おそらく、人がコミュニケーションする中で、言葉自体の『メッセージ』以外にそれに関係する『メタ・メッセージ』がやりとりされているから・・・・ということになるでしょう。
 もちろん、ここでは相手を非難するような『メタ・メッセージ』ばかりではありません。
 心理療法家のミルトン・エリクソンではないけれど相手のやっていることを好意的に解釈している、というような『メタ・メッセージ』を言葉の行間に入れて伝えることも出来るということになるわけです。

 それで、このあたりのことを認知言語学の知見でもってちょっと調べてみましたというのが冒頭で少し話した「Six Blind Elephants」ということになるわけです。

 もちろん、『メタ・メッセージ』は状況や相手とのやりとりの中で相手の解釈に委ねられているところがあるのはそのとおりなのですが、少なくとも「ものは言いよう」という世界はあるのだな、というところに気づいてくるのは面白いところなのでしょう。

 (つづく)
文献

[1]http://www.ericksonian.info/Six%20Blind%20Elephants.pdf

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com







2014年7月25日金曜日

NLPがショボイのには訳がある



 そのあたりのカルチャー・スクールでやっている心理療法(もどき)の技法としてNLP(Neuro-Linguisitic Programming:神経言語プログラミング)というのがあります。で、初心者はこれがゲシュタルト療法のフレデリック・パールズや家族療法のバージニア・サティアや催眠療法のミルトン・エリクソンの言語のメタ・モデリングから始まったと理解しています。

 それで、面白いことにこの手法にとんでもない欠陥が隠されています(笑)。
 もちろん、これは私が言っているのではなく、創始者のバンドラー&グリンダーを指導していた人類学者のグレゴリー・ベイトソンが言っている話です・・・・

 要は、ベイトソンは物事を理解する時に「円環的因果関係」を志向した人物ですが、NLPの背景に「直線的因果関係」を見ており、これが色々な問題を引き起こしているというわけです。

 もちろん、技法的にはベイトソンの教えを忠実に再現したミラノ派の心理療法が「円環的質問」や「パラドクス介入」をやっていて、特に家族療法などの組織への介入を上手くやっている対して、なぜNLPの言語メタモデルやミルトン・モデルが特に組織への介入にほとんど効果がないのか?の答えがここにあるというわけです。まぁ、個人で使う分にはまだよいのでしょうけれど・・・・・

 で、本当のことなのであまり大きな声では言えませんけども(笑)。

 逆に言うと、家族療法家でも組織開発のコンサルタントでもよいのですけれど、特に組織への介入に関してはやっぱりミラノ派を学ぶべきだなぁ・・・・と個人的には考えているわけです。

 もちろん、この話は結構深い話なのですけれどねぇ・・・・・・・・・
 
 

直線的因果関係 vs. 円環的因果関係

 ネットに面白い記事が転がっていたのでご紹介しておきましょう。[1]
以下の記事でも書いたわけですが、短期療法ベースの心理療法やコーチングというのはあくまでも心理療法家とクライアントを一つの「セラピーシステム」と考えるようなところがあります。つまり、セラピストとクライアントが場を形成し、その相互のやりとりの中でクライアントのリソースが引き出されるのが「セラピーシステム」というわけです。


 もっと砕けた言い方をすると、よく自己啓発本などでありがちですが「人を動かしてやる」の表現のようにセラピストが「クライアントを治してやる」というような考え方自体がそもそも傲慢であるというわけであり、そもそもそういう考え方自体どうなのよ?というわけです。

 それで以下の記事。
It was Bateson who encouraged them to model Milton Erickson. In the 50s and 60s, Bateson had run a Communications Research Group and had introduced two of his group, Jay Haley and John Weakland, to Milton Erickson. Through them Erickson's work came to be more widely known. However, Bateson felt important aspects of Erickson's work were yet to be discovered and, impressed with Bandler and Grinder's modeling abilities, suggested they go to Phoenix and study him.


 バンドラー&グリンダーにミルトン・エリクソンをモデリングするように奨励したのはベイトソンだった。1950年代と60年代に、ベイトソンはコミュニケーション研究グループを運営しており、エリクソンを紹介したジェイ・ヘイリーやジョン・ウィークランドにバンドラー&グリンダーを紹介したのもベイトソンだった。ヘイリー(著作、アンコモンセラピー)やウィークランドを通してエリクソンの心理療法のやり方が知られるようになっていた時期だった。しかし、ベイトソンはエリクソンの心理療法にはまだ発見されていない重要な様相があると感じており、かつバンドラー&グリンダーのモデリング能力には感銘をうけており、彼らにフェニックスにいってエリクソンを研究するように示唆したのだった。


However, the magisterial Bateson was disappointed with the result, feeling that Bandler and Grinder's study of Erickson exhibited "shoddy epistemology," that is, that its descriptions implied linear rather than circular causality and (he may have considered it a consequence of that epistemology) that they had fallen into an obsession with power that he had seen all too often among those who studied Erickson.


 しかしながら、尊大なベイトソンはその結果(著作「ミルトン・エリクソンの催眠テクニックⅠ、Ⅱ、春秋社))にはがっかりしたのだった、それはバンドラー&グリンダーがエリクソンの研究において『しょぼい認識論』を露わにしており、ここで使われているのが(ベイトソンが認識論の結果として考慮してきた)円環的因果関係ではなく、直線的因果関係だったことである。ベイトソンはバンドラー&グリンダーによるエリクソンの研究が力の妄想(セラピストがクライアントに命令する支配するというような考え方)に取り憑かれており、ここに陥っていると考えていたのだった・・・


 このあたりの指摘は非常に面白いところなのですが、中々深い話になってくるのですよねぇ。
 
 もっとも、グリンダーはこの指摘を受けて、後に New Code NLPを開発するわけですが、今度は自己啓発だと難しすぎるという課題に直面することになるわけですねぇ・・・・(笑)。

(参考)

 (つづく)
文献

[1]http://www.expandyourworld.net/i+i-nlp.php

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2014年7月24日木曜日

ダブル・バインドについてのメモ(その3)



 そのあたりのカルチャー・スクールでやっている心理療法(もどき)の技法としてNLP(Neuro-Linguisitic Programming:神経言語プログラミング)というのがあります。で、初心者はこれがゲシュタルト療法のフレデリック・パールズや家族療法のバージニア・サティアや催眠療法のミルトン・エリクソンの言語のメタ・モデリングから始まったと理解しています。

 で、こっそり、本当のことを言っておくと、これだけ学んでも、クライアントの認識や行動についての大きな変化を起こすことは難しいでしょう。その理由は特に創始者の一人であるリチャード・バンドラー(個人的には彼のスタイルは好みではないのですが)が最も熱心にモデリングしたのが挑発療法家のフランク・フェアリーだから。つまり、彼がクライアントに大きな変化を起こせるのは挑発療法のスタイルでもって、こっそり「パラドクス介入」をやっているから、ということになるわけです。

 なので、あまり大きな声では言えないのですが、このあたりの構図が分からないとカルチャー・スクール・レベルのセミナーにいくら大金をつっこんだところで、クライアントの認識や行動に大きな変化が起こせる技法はまったく身につかないという、ほとんど詐欺と言ってもよいようなことにハマるみたいなことになってしまうのですよねぇ・・・・。余談ですが、コーチのアンソニー・ロビンズもこっそり「パラドクス介入」をやっているので、この本質が分からないと、インチキな弟子みたいな連中にたいして効果がないにも関わらず大金を払い続けることになってしまうでしょう(笑)。

 逆の言い方をすると、このあたりは学術系の MRI とかネオ・エリクソニアンをきちんと学んだらわかる話なのですが、本当に学術系の研究を学ぶというのは大事なことなのですよねぇ。クライアントの変化を支援するためにも、自分が詐欺にあったり、相手に詐欺と思われないためにも(笑)。
 

フランク・フェアリーのプロボカティブ・セラピー

 昨日、ダブル・バインドの記事を書いたわけですが、Facebook で、これは「プロボカティブ・セラピーですね!」というご指摘をいただきました。


 なので、これについて少し書いておきましょう。
 まず、この前にパロアルトにある心理療法の研究機関であるMRI (Mental Research Institute)で人類学者のグレゴリー・ベイトソンらと心理療法家のミルトン・H・エリクソンなどの研究を行っていたポール・ウオツラィックによって指摘されたことがテーマとして存在します。

 それは、『催眠状態、つまりトランス誘導を前提としないで、質問とリフレーミングだけでクライアントの認識や行動に大きな変化が起るのか?』です。


 逆の言い方をすると、これが出来る短期療法系の心理療法やコーチングなどの場面で、クライアントの望む結果を得るために、普通の会話だけで認識や行動の大きな変化を支援できるということになります。また、逆の言い方をすると、トランス誘導だけを行っても、セラピューティック・ダブル・バインドを使って、クライアントに現在の認識の箱の外に出てもらために「パラドクス介入」をしないと、大きな変化は期待できないということでもあるわけです。

 さて、上のリンクでも書いたように、これには、クライアントを二項対立に陥れる状況設定やそこから抜け出すための「禅問答」が必要だったというわけです。

 それで、ウオツラィックがサイバネティストのウィリアムズ・ロス・アシュビーの概念を援用して認識や行動が既存の枠組みを超えて大きく変化する、つまり第二次変化(Second Order Change)を志向した心理療法として紹介されていた4つの療法のうちの一つが挑発療法( Provocative Therapy )ということになるわけです。

 プロボカティブ・セラピーを一口で言うのは難しいのですが、Youtubeに残念ながら2013年に亡くなったウィスコンシン大のメディカル・スクールで教えていたこともあるフランク・フェアリー[1]のプロボカティブ・セラピーに関するトレーニングがアップロードされているで参考にしてみるとよいでしょう。





 
 
(参考)

 (つづく)
文献

[1]http://en.wikipedia.org/wiki/Frank_Farrelly

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。またの内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想、執筆、講演のご依頼はこちらまで tritune'`@''gmail.com