2016年7月31日日曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:戦略療法の技法


                                                                                                                             
 変わったところがある。

 変わらないところがある。

 変わったところ、と、変わらないところ、の関係がある(笑)。

 <ひとりごと>



戦略療法の集大成?

  「アンコモン・セラピー(1973) 」でお馴染みの心理療法家のジェイ・ヘイリー、そして奥さんのマデレン・リッチポートとの共著「The Art of Strategic Therapy(2003)」を手に入れた。[1] で、パラパラ読んでいるところだ。





 ヘイリーは、1923年に米国ワイオミング州で生まれた。その後、家族と一緒にカリフォルニア州バークレーに引っ越す。第二次大戦中は米陸軍の航空部隊に従軍。退役後、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校で演劇の学士号を取得、舞台役者を目指してニューヨークでキャリアをスターする。わけあって、カリフォルニアへ帰郷、カリフォルニア大学バークレー校へ再入学し司書学の学士号を取得。スタンフォード大学でコミュニケーションの修士号を取得した。スタンフォードの大学院時代、グレゴリー・ベイトソンのチームから誘いを受け、コミュニケーション・プロジェクトのメンバーとして参画する。

 1962年からカリフォルニア州パロアルトのMRI(Mental Research Institute)で働き始める、ミルトン・エリクソンらを研究し17年間交流する、1960年代半ばにフィラデルフィアへ転居しサルバドール・ミニューチェンらと親交を深める、構造派家族療法を主導。

 1976年に、二番目の妻、クロエ・マダネスと共同でワシントンDCへ家族療法センターを開設。

 1990年代、カリフォルニア州サンディエゴへ転居。三番目の妻、マデレン・リッチポートと人類学、心理療法に関する映像を制作する。その後、アライアント国際大学の客員教授を務める。[2] 2007年に死去。

 阿吽で言われる宇宙の始まりと終わりではないが、ヘイリーは「アンコモン・セラピー」で始まり「The Art of Strategic Therapy」終わったということになるのだろう。

 この流れの中で、どこが変わっていないのか? どこが変わっているのか?

 読み比べてみるのもまた一興なのだろう。



(つづく)

文献
[1]https://www.amazon.co.jp/dp/1138987549/
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/okirakusoken

2016年7月30日土曜日

結ばれあうパターン


                                                                                                                             
 世の中は複雑にして案外単純かもなぁ(笑)。

 <ひとりごと>



落書きを編集してみる

  Chromebook に InspirAtion という名前のお絵かきソフトをインストール、落書きをしてみた。

 

 単なる落書き。ガキレベル。もしかしなくても幼稚園児以下(笑)。

 これは何だ?

 と質問されても、答えようがない。単なる落書きだから、というトートロジー。

 さて、同じタッチの落書きだが、ここに<対称性>と<冗長性>という概念を入れてみる。具体的には、このソフトにカレイドスコープ(万華鏡)というモードがある。このスイッチをオンにする。

 落書きを再開する。人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンを意識してみた(笑)。要は、<The Pattern that connects >(結ばれあうパターン)というヤツ。

 で、同じ要領で落書き。時たま色と筆の大きさを変える。そこにふかい考えはない。単なる落書きだから。

 で、落書きすること5分。なんか不思議なパターンが現れてきた(笑)。

 

 Jazz なんかも似ている。滅茶苦茶に演奏しているように思えても、Blues のパターンを使っただけでなんか格好がよくなる。

 物語も神話学者のジョゼフ・キャンベルのパターンに再編集しただけで、何か面白いと思えるようになる。

 絵画も黄金比をつかった構成パターンに変えただけで、画伯の書いた風な絵になる。

 もっとも、ベイトソンではないが、ここにロブスターやシオマネキのように形状は左右相似だが対称ではない場合はどうなのか?といった疑問がないわけではない。

   で、これとはまた別の方向として<Patterns that connect Patterns that connect>(結ばれあうパターンの結ばれあうパターン)をメタに踏み上がって考えてみるのもまった一興だと思ったところだ(笑)。[1]

 単なる落書き、でも結ばれあうパターンがあるとなんかそれっぽくなる(笑)。

(つづく)

文献
[1]http://imprint.co.uk/books/Bateson_Intro.pdf

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2016年7月29日金曜日

学習することについてのメモ


                                                                                                                             
 ポケモンGO!

 一匹のポケモンをひとつの知識と考える。

 そして、知識を取得するプロセスとしての「学習」という概念について考えてみると案外面白い(笑)。

 <ひとりごと>



学ぶことを学ぶ・・・・

  「学習する」ということを考えると案外深い。

 まず、何を対象として学ぶのか?

 敢えて二元論的に考えると、「成功」から学ぶのか?「失敗」から学ぶのか?がある。「ベスト・プラクティス」[1]という言葉がある。要は、色々な取り組みの中から最もうまくいった成功事例から学ぶことだ。もちろん、成功事例をベタなレベルで繰り返しても上手くいくわけではない。状況を含めた成功要因を抽象度を上げたメタのレベルできちんと分析しておく必要がある。[2] これをやらないと成功事例は必ず武勇伝に化け、その要因がきちんと分析されることは案外少ない。武勇伝は次の成功には役にたたない、ただ飲み会を盛り上げるネタになるだけだ。成功、それ自体に酔ってはならない。

 また、反対に「失敗」を対象として学ぶことができる。この場合の注意は、失敗の要因がどこにあったのか?を分析することで、「犯人探し」は後回しにすることだ。一般的に刑法に違反するようなこと以外、犯人探しは人間関係がギクシャクする要因にしかならない。目的は次の成功につなげることだ。だから、システムとして何が悪かったのか?を追求しなければならない。「システムを憎んで個人を憎まず」これが失敗から学ぶポイントだ。失敗を許容しない組織は失敗から学べない。余談だが、第二次大戦中の日本軍の失敗を研究した「失敗の本質」[3]は非常に興味深い。

  どのようプロセスで学ぶのか?

 何を学ぶか?といった学習対象より、どのようの学ぶのか?のプロセスのほうがより重要だ。これも敢えて二元論的に考えると、「ポジティブ・フィードバック・ループ」で学ぶのか?「ネガティブ・フィードバック・ループ」で学ぶのか?がある。[4]  

 まず、ネガティブ・フィードバック・ループでの学習。例えば、中学生の時に5教科のテストがあるとする、ポジティブ・フィードバック・ループではゴールに対して偏差が縮小するようにループを回す。つまり、全体の教科がまんべんなく80点取れるように、教科書の範囲を決め、粛々と教科書を読むようなやり方になる。もっというと金太郎飴をつくる教育になりやすい。PDCAのデミングサイクルがこれだ。PDCAは良くも悪くも金太郎飴をつくるプロセスでしかない。

 一方、ポジティブ・フィードバック・ループで学ぶやり方は、範囲を決めずにとにかく興味のあることを徹底的にやる、というやり方になる。要は偏差が拡大するように学ぶ。英語を勉強するにしても、英語の雑誌を読む、英語の番組を視聴する・・・など範囲ややり方にとらわれない、数学にしても中学でも興味があれば大学の教科書を読むというようなやり方になる。もちろん、この場合、既存の枠組みに囚われない一芸に秀でた天才を生み出すというような学習ではあるが、他の教科の点数がからっきしダメ、というようなケースも考えられる。もちろん、一芸に秀でると良くも悪くも常識は通用しない人にはなる(笑)。

 学ぶことで殻が破れるのか?

 なぜ学習するのか?その理由は、今の殻を破って、違う次元に行くことだ。グレゴリー・ベイトソンの学習理論がこれに言及している。[5] 既存の枠組みにとらわれずに新しい学習のやり方を身に付ける。結局、「学ぶことを学ぶ」・・・というようにどんどんメタの視点を取って殻を破らなければならない。ゲームで言うと、どんどんステージが上がっていくようなことだ。


(つづく)

文献
[1]https://ja.wikipedia.org/wiki/ベストプラクティス
[2]http://www.sei.cmu.edu/reports/10tr037.pdf
[3]https://www.amazon.co.jp/dp/4122018331
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/12/vs.html
[5]http://epubs.surrey.ac.uk/1198/1/fulltext.pdf

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2016年7月28日木曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:MRI、ミラノ派、戦略派からポスト・モダンへ


                                                                                                                             
 川の流れのようで面白いとみるのか?

 迷路のように入り組んでいて複雑だと思うのか?

 は、その人次第だなぁ(笑)。

 川下りではないけれど、ゆっくり下ってみるのはそれなりに面白い。
 
 <ひとりごと>



生き物を扱う方法論は面白い

  Youtubeのこのチェンネルは面白い。

  Amazon.com で家族療法のベストセラーを出している著者の方のようだが、これが本や心理療法のプロモーションになっているのは間違いないだろう。もちろん、こういったメディア・ミックスのマーケティング戦略は日本だと角川映画に遡るお馴染みの戦略だ、が、現在は、こういった戦略を実施するためにお金をかけずに同じようなことができるようになっているのは興味深い。

  さて、個人的には短期療法や家族療法のこの分野に興味がある。それは、人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソン、それと心理療法家のミルトン・エリクソンがその成立に深く関わっていることがあげられる。もちろん、サイバネティクスは工学や人工知能へは応用されているわけだが、人間関係の修復や問題・課題の解決にまで応用されているところが興味を引くことでもある。コンサルティングなどでも最初は専門的情報提供や単なる作業に還元されるところがある、しかし、突き詰めると最後は人の行動・認識、あるいは組織を扱わなければならなくなる。その意味では、扱う対象が、無生物から生物のようなことになると、自分の根幹にある知識も必然的に生き物に対応した第二次サイバネティクス[1]やオートポイエーシス[2]になってしまうことがある(笑)。

 で、こういった概念が反映されている手法がそもそもあるのか?

 ということになるが、それが短期療法や家族療法の手法であったのはいうまでもない。

 さて、前置きが長くなった。Youtubeの映像を見てみよう。最初は、 米国カリフォルニア州パロアルトにある心理療法研究機関のMRI (Mental Research Institute )で、ベイトソンらによって体系化された技法がMRI、そして、その理論がイタリアに伝わり、江戸時代の蘭学者のようにベイトソンの理論を忠実に再現して構築されたのがミラノ派の家族療法というわけだ。このあたりが説明されているのが以下、




 今度は、MRIに在籍したヘイリーが、より戦略的(現状→理想の実現)なところに焦点を当てたのが戦略派、



で、MRIは問題に焦点を当てて、その悪循環を切るというところがあるのだが、より解決に焦点を当てたのがソリューション・フォーカスト・アプローチということになる。これが家族療法にも応用されている。手法的にはサイバネティクスを当ててみるとかなり考えられているのだが、初心者が入るポイントとしてはシンプルで使い勝手がよい、と思っている。



で、もっとポスト・モダンな面が強調されていて、物語やメタファーで人の認識や行動に働きかけていきましょうというのがナラティブ・セラピーでここではこれを家族療法へ適用していることになる。



 
 もちろん、他に構造派のミニューチェン、ウィトカーやサイティアとかを無視しているわけではないけれど、このチャンネルに解決があるので視聴してみるのも面白いだろう。

 
(つづく)

文献
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Second-order_cybernetics
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Autopoiesis

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2016年7月27日水曜日

神経科学とマーケティングと


                                                                                                                             
 ルーアーに引っかかる魚のことを笑えないかもなぁ〜(笑)。

 <ひとりごと>



飲み物とか食い物だとつい買っちゃうかもなぁ〜

  マーケティングとは何か?

 定義からすると潜在的な顧客に価値を提供する、というのがその一つの定義。確かに、10年くらい前から、顧客の生涯価値を高める、みたいなことが声高に叫ばれている。

 最近は、より神経学、生理学、心理学的な知見がマーケティングに使われているようだ。

  さて、SlideShareにアップロードされた<ニューロ・マーケティング>のスライドを読んでいたのだが、これが中々面白い。いわゆる、アメリカ流のちょっと下品な感じのCMみたいなものがどのようなロジックに基づいて作成されているのか?が分かるのが面白いところだ。メッセージとしては、1)自己中心的に、2)コントラストを明示して、3)直感的にわかるように具体的に、4)はじめと終わりを明確に、5)視覚に訴えかけ、そして6)情動を喚起する。となっている




 
    もちろん、これをそっくりそのまま使って、CMをやポスターをつくると、ちょっと下品な感じにはなりそうだが。うっかり必要ないものを衝動買いしないためには抑えておきたいポイントでもある。

 もちろん、必要ないものを衝動買いしないためには、

1)クリティカル・シンキングを身に付ける。[1] メタ認知力を高める。
2)マインドフルネスな状態で意思決定する。ヒューリスティクスと認知バイアスに気をつける。[2]
3)普段からシステム思考を行ってバカな状態にならない。[3]

 ということになるように思うのだが、これはこれでまたありな気はしている。

 もちろん、メーカー側からすると、マーケティング・メタフォリア[4]みたいな技法で、潜在的ユーザの本当に欲しい製品やサービスのニーズを掘り起こして欲しいところだが、夏の暑い日に、小学生に戻ったような気分で、結局「人は本当は何が欲しいのだろうなぁ?」などと考えてみるのもこれはこれで一興だ。もちろん、小学生の時のような好奇心は少なくなっても、その時からはやたら知識や経験だけは増えているはずだ(笑)。


(つづく)

文献
[1]https://sydney.edu.au/stuserv/documents/learning_centre/critical.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/01/blog-post_21.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/10/blog-post_7.html
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_15.html

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2016年7月26日火曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:ソリューション・フォーカスが仮定していること


                                                                                                                             
 日常生活を送っていると、どうしてもニュートン系のメタファーで色々なことを考えているところがある。

 つまり、石を投げれば運動方程式に従う・・・みたいな因果の明確な自然科学の世界。

 で、人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンは、石を蹴った時と犬を蹴った時は違っていて、犬がどっちに飛ぶのか、踏ん張るのか?予想できないとした。

 で、社会科学は、ぶっちゃけ、因果のよくわからないど根性ガエルの世界だということ(笑)。

 
 <ひとりごと>



あくでも仮定

  イヴ・リップチック「Beyond Technique in Solution-focused Therapy: 」[1]の中にソリューション・フォーカスト・アプローチがその技法を使う前に仮定していることが書かれているが、これが中々興味深い。言っていることは一見簡単そうだが、そもそも論として発想の転換を迫られているところもある。

 で、実際には以下だ、

 

1. すべてのクライアントは唯一無二の存在である。

2. クライアントは生れつき自分自身でなんとかできる強みと資源・資質(リソース)を持っている。

3. すべてのことが否定的というわけではない。

4. 抵抗といったものは本当は存在しない。

5.セラピストがクライアントを変えることはできない、クライアントはクライアント自身によってのみ変わる。

6. ソリューション・フォーカスト・セラピーはゆっくり行く。

7. 原因ー結果という関係は存在しない。

8. 解決策というものは必ずしも問題をなんとかする、というところに存在するわけではない。

9.情動というのは問題の一部をなし、解決の一部をなす。

10.変化はどこにでもあり避けられない、小さな変化が大きな変化の導火線となる。

11. 過去に起こった事実は変えられない、したがって人は未来に焦点を当てるようにするべきだ。


 
一つ一つを読むと中々深い。

1.と2. はミルトン・エリクソンの影響が大きい。対象はマスではなく、個々の人を対象にテーラーメイドの解決策でその人独自の強みや資源・資質を引き出すお手伝いをしなさいということ。
3.は、おそらく易経の影響、陰転じて陽となる。
4.は、スティーブ・ド・シェザーの論文「The death of resistance」[2]から。
5.は、これもミルトン・エリクソンの影響。「人を動かす」とか「人を変えてやる」言っている奴はバカ(笑)。
6.は、MRIの介入である「Go Slow 」[3]から
7.は、ニュートン系と違って認識の世界は客観的な因果は成立しない、というころ。
8.は、問題の裏返しが解決策にはならない。例えば、値段が高いの客が来ない。では値段を下げた、でも客が来ない。みたいなことは社会科学的世界ではお馴染み。
9.は、アントニオ・ダマシオのソマティック・マーカー仮説[4]で言われていること。論理だけではなく、情動も問題解決に使うという発想は多いにあり。
10.このあたりは仏教的な世界観と複雑系。諸行無常と創発的な変化。
11.は、これもミルトン・エリクソンの影響。

で、お鍋に具をいれて、ぐつぐつ煮込んだらなんか美味しい料理ができましたという世界(笑)。

で、自然科学ばっかりやっている人には最初はかなり違和感がある仮定、だと思われます。
 

(つづく)

文献
[1]https://www.amazon.co.jp/Beyond-Technique-Solution-Focused-Therapy-Relationship/dp/1572307641/
[2]http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6714383
[3]https://postmoderntherapies.wikispaces.com/MRI+brief+therapy
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Somatic_marker_hypothesis

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2016年7月25日月曜日

家族療法ハンドブック


                                                                                                                             
 健全に、疑いを持ち続けるというのは、とてもよいことだ(笑)。

 検証が甘い方法論を担ぐと結局はババをつかむことになるから(笑)。

 <ひとりごと>



エビデンスはないとねぇ

   昨年第二版が出ているけれど、手元の本は第一版。

     構造派家族療法家サルバドール・ミニューチェンらを起点にして1950年代くらいから勃興してきた家族療法、その成立からすでに60年くらい経過している。1959年に米国カリフォルニア州のパロアルトにMRI (Mental Research Institute)が設立され、人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンらが統合失調症の原因仮説としてのダブル・バインド理論を構築、心理療法家のミルトン・エリクソンの治療法としての治療的ダブル・バインドがその技法として進化していくところがある。

 で、本書「Handbook of Clinical Family Therapy」[1]ということになるのだが、ミュニューチェンやMRIの時代から家族療法はすでに50年〜60年経過しているわけであり、実際に博士号持ちの実践家が現場で色々やってみてエビデンスを積み上げたら、当初のミニューチェン〜MRIなどの理論や技法とは随分違うところが出てきました、で、各症状について、実際こうしないと効果がなかったよねぇ、と書かれているのが本書の内容。




   例えば、最近、IPって概念をそもそも使わなくなったよねぇ、とか、統合失調症の原因仮説としてのダブル・バインド理論、とかミニューチェンらのサイコソマティック・ファミリー理論は完全に間違いだった、けれど家族構造の理論は驚くほど正確だった、とか。時間の経過とともにエビデンスを積み重ねることで分かってきたことがある、という具合。

 何れにしても、理論や技法はあくまでも仮の姿であり、実践を通して、エビデンス・ベースドで実証を積み重ねることでしか進化しない、という学びの多い著作であることには間違いない。Amazon US での評判も非常に良い。

余談だが、この編者の当面の課題は、各流派の統合モデルを構築することのようだ・・・ ○参考


 

(つづく)

文献
[1]https://www.amazon.co.jp/Handbook-Clinical-Family-Therapy-Lebow/dp/0471431346/

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2016年7月24日日曜日

家族療法の教科書


                                                                                                                             
 心理学と言うと、個人に着目して、性格判断や占いのようなことだと思いがちだ。

 使えないコーチングのタイプ分けなど、この最たるものだろう。もちろん、すべてのコーチングが使えない、と言っているわけではない。

 一方、家族療法は、家族をひとつのシステムとみて、個人と個人、個人とシステムの関わりの中で何か問題が起きていたり、課題があると見立て、<関係性>に介入する。

 これは、人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンの言った「The pattern which connects .」(結ばれあうパターン)そのものだ。システムを生き物だと見て、色々なことを<関係性>に還元して観察し介入するのはそもそもセンスがよい。


 <ひとりごと>



組織のチェンジ・マネジメント?そうだ家族療法を学ぼう

   個人的に多くのビジネス上のプロジェクトに従事してきた。現在の多くのプロジェクトの前提は、一人ひとりが優秀で、ピラミッド型の組織をつくり、コマンド&コントロールの命令形態で<組織を動かす>といったピラミッド建設の時代から変わっていない非常にオールドファッションドなやり方が未だに行われているところがある。

 ただ、こういうやり方は<変化>に弱い。理由は、ウィリアム・ロス・アシュビーの「最小多様度の法則」[1] を引くまでもなく、組織を堅固にすればなんとかなると思っているからだ。内部に外部より多様性を持っていないと外的変化には対応できない。やはり自律的に学習する組織にならなければ変化には対応することが難しい。これはサイバネティクス理論が明らかにしていることだ。

 某銀行の超大型プロジェクトが破綻しそうだ、というニュースに接すると、「さもありなん」という確信が強くなる。ルールを厳密に決めてピラミッド型の組織でコマンド&コントロールを厳密にやっているようでも、不測の事態が連発すると、自律的に解決できずに組織がスタックするという状態はどこにでも起こる。一般的に、困難なところで柔軟性を欠きコマンド&コントロールを厳密化すると、心身の調子を崩す人も多くなる。

 別の事例もある、定型業務をこなす流通業、仕組みが古臭い上に人が足りない、個々人は益々忙しくなる、人が辞める、個々人は益々忙しくなる、人が辞める、会社自体がブラック企業化する。でも、個人で優秀でも大きな流れを変えるのは困難だ。

 もちろん、組織が変わるためには、安直にルールを変えるということも考えられるが、本当はプロジェクトや実務を通して組織自体が学習することで変わる必要がある。もちろん、現状が悪い意味で<学習しない組織>になっていることも考えられるのだが、この場合はかなりマイナスからのスタートになる。プロジェクトを通したチェンジ・マネジメントの話については[2]で書いた。理論的な背景は、パロアルトのMRIの家族療法、短期戦略療法知見が使われている。

 結論を急ごう、組織のマネジメントでは家族療法の知識はやはり必須だ。役に立つ、というは話ではなく、知らないとリクスが増大する。

 さて、家族療法と言えば、個人的には、1985年にミルトン・H・エリクソン財団の後援で実施された< Evolution of Psychotherapy>[3] の心理療法の各流派は現在どのように生成発展、あるいは衰退しているのか?が気になる。それで、「TEXT BOOK OF Family and Couple Therapy」[4] をゲット。乱読し始めたところだ。時間が少しでもあれば乱読して、色々やってみる。これが自分のスタイルだから今更変えようはない(笑)。
  




内容は、家族療法を、1)理論と技法、2)アセスメント、見立て、3)子供、大人の家族療法、4)婚姻に関する心理療法、5)異なる症状に対しての家族療法、6)家族療法の研究成果、といった形式で、理論、技法、応用と説明していることになる。伏線としてのシステム理論は、第一世代としてのベルタランフィの一般システム理論、第二世代としてのウィナーのサイバネティクス、第三世代としてのベイトソンのシステム理論となっている。また、グレゴリー・ベイトソンとミルトン・エリクソンは本書でも家族療法に最も影響与えている人物として、主役級の扱いとなっている。

 その意味で、個人的な自己認識は<エリクソニアンの皮を被ったベイトソニアン>なので非常に興味のあるところだ。もちろん、心理学大学院を出ているわけではないので、病理には深入りせずに、単なるマネジメント・コンサルタントの立場から、システムとしての組織に対してどのような介入ができるのか?という視点で<酒のつまみ>として読み進めている次第だ(笑)。

(つづく)

文献
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Variety_(cybernetics)#The_Law_of_Requisite_Variety
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/12/blog-post_7.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_4.html
[4]https://www.amazon.com/Textbook-Family-Couples-Therapy-Applications/dp/0880485183/

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2016年7月23日土曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:MRIの教育プラットフォーム


                                                                                                                             
 いわゆる「シリコンバレー」の中核都市にあるのだから、心理療法家の育成にもテクノロジーを活用しない手はないなぁ(笑)。
     
 <ひとりごと>



インターン制度の反対はエクスターン制度というわけですねぇ

  人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンや家族療法家のヴァージニア・サティア、短期戦略派のジェイ・ヘイリーらが在籍したカリフォルニア州パロアルトにある心理療法の研究機関であるMRI(Mental Research Institute)から面白いスライドが共有されていた。

 余談だが、パロアルトは「シリコンバレー」の中核都市の近くでスタンフォード大学のご近所だ。[1]

 さて、このスライドは、心理療法家のトレーニングについて、Web2.0ベースのプラットフォームを構築するというプロジェクトだ。Web2.0は少し前に流行ったが、ティム・オーライリーが提唱したコンセプトで「情報の送り手と受け手の区別がなくなり誰もがWebを通して自由に情報のやり取りができる状態」のことだ。[2]   個人的には、少し前に Semantic Web を使って、研究で得られたデータを CIDOC-CRMのフォーマットで整理する研究支援システム、という人工知能の走りのようなプロジェクトに関わったことがあるが、こういった経験を踏まえるとなかなか面白く読めるスライドでもある。

 有り体にいえば、心理療法家の教育、情報交換を含め、Web上で行おうという概念のようだ、逆に考えるとMRI派の心理療法に対しての正しい知識をもった心理療法家を増やしていこうというマーケティング的な作戦もあるような気がしてくる。インターン制度ではなく Web でエクスターン制度をやろうというのがここでの趣旨のようだ。

 で、具体的には以下、

 




 組織のミッションに対する理解と、3つの概念1)MRIの考え方、2)必要なスキル、3)手順、ベイトソンから始まる研究をアーカイブ化してこれを Web で共有していこうということになるのだろうが、実際きちんと事例が集まってきて、より緻密なメタ分析なり統計処理などがされると、MRIの理解が深い人材が育つだけではなく、手法に対する精度も上がってくるように思っている。

 心理療法的なアプローチは基本、ひと対ひと、ということになるのだろうが、少なくとも並列で行う情報収集や処理には Web は非常に向いているような気もしている。



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2015/12/2015.html
[2]https://ja.wikipedia.org/wiki/Web_2.0

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2016年7月22日金曜日

第12回ミルトン・エリクソン派国際会議の資料一気読み


                                                                                                                             
 仲良き事は美しき哉(笑)。

 <ひとりごと>



今現在どうなっているんだっけ?

     心理療法家のミルトン・エリクソンは自身の技法を体系化しなかった。だから、エリクソン自身が構築した「理論」、「体系」、「技法」・・・というような形式知は存在しない。エリクソンの技法と呼ばれているものは、後にその弟子たちがエリクソンとクライエントのやり取りの記録から勝手に推測して構築されているに過ぎない。

 ただし、例外的にエリクソンの技法の応用に成功した人たちがいるように思えるところもある。

 その一人は人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンのチーム。有り体に言えばカリフォルニア州パロアルトのMRI。ベイトソンはサイバネティクスを持ち込みエリクソンの暗黙知を形式知化し、短期戦略派心理療法の礎を築いた。

 もう一つは形式知化を諦めた人たち、通称エリクソニアンな人たちだ。彼らはエリクソンの暗黙知を暗黙知として学ぶことを選択した。要は落語や歌舞伎のように箸の上げ下ろしから言葉遣いまでを徹底的に体で覚えようという人たちだ。

 エリクソンは今でも博士号持ちの人間の人生を狂わせるくらい、謎と魅力を秘めているところがある(笑)。現在のエリクソン派生の流派は以下のようになっている。[1] もちろん、「エリクソンの前にはエリクソンなし、エリクソンの後にもエリクソンなし」と見るのか、「エリクソン派は変なのもあるがそれなりに繁栄している」とみるのかはその人次第だ。




   そのようなわけで、現在でもエリクソンの背中を追っている人は大勢いるわけだが、こういったミルトン・エリクソン派の心理療法家の学会というか祭典が「International Ericksonian Congress (国際エリクソン会議)」というわけだ。

http://www.ericksoncongress.com/

 最近だと2015年の12月にミルトン・H・エリクソン財団の後援で米国アリゾナ州フェニックスで開催された。また、このサイトからワークショップで配布された資料が無償でダウンロードできるようになっている。研究者や院生はここから資料をダウンロードして読んでみるのもよいだろう。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2015/11/blog-post_29.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2016年7月21日木曜日

マインドフルネスに歩く


                                                                                                                             
 これが何の役に立つの?

 と簡単に目的論に還元しない実践が本当は最も役に立つというパラドクス(笑)。

 <ひとりごと>



うんちくより実践が大事?

  チリ出身の神経学者でオートポイエーシスの共同研究者の一人であるフランシスコ・ヴァレラ[1]が認知科学と中観派の仏教の融合のようなものを目指した著作に「身体化された心」[2]がある。残念ながら、ヴァレラは、2001年に志半ば、ガンのためフランスで亡くなる。




  しかし、認知科学、神経科学と仏教との交流はヴァレラの残した「Mind & Life Institute」を通じて今も発展し続けている。[3]



 個人的には仏教を敢えて認知科学のフィルターを立てて観ているところがある、理由は、仏教が日本の文化に溶け込み過ぎて、水を意識しない魚になっているためだ。もちろん、全てを意識で説明できる、などという不遜な考えは持っていないが、形式知としての認知科学と暗黙知としての仏教の相互作用を観ることで面白い経験はできる。もちろん、抹香臭くないやり方で・・・ということになる(笑)。

 前置きが長くなった。UC Berkeley のサイトに「Five Steps to Mindfulness」[4] と題のついたティク・ナット・ハン老師の文書があったので読んでみた。「マインドフルネス」の心身状態になるためにはどうするのか?についての具体的な5つのステップを解説した文章だ。この面白いところは、仏教のうんちくは一切書いていない。書いてあるのは実際のプロセスだけ。しかも誰でもできるほど簡単。道具も要らなければ、お金もかからない。

 サマっておくと以下な感じになる、

  1. マインドフルネスに呼吸する:吸う息、吐く息に注意
  2. 集中する:呼吸に集中する
  3. 身体を知覚する:感覚に気づく
  4. 緊張を解く:リラックスする
  5. 歩く瞑想:上の状態で1歩1歩知覚して歩く

  日常忙しい状況に身をおいていると、案外これが難しい。

 管楽器でもやってなければ呼吸に注意を払う状況は少ない、パソコンや携帯ばかり触っていると自分の身体感覚には気付かない、いつもイライラしているとリラックスできない、スマホや考え事をして歩いているといると今を生きていない、ということになる。ある意味、普通の人の日常とは反対のことを<練習>する形式で<今ココ>にだけ在る、というのがここでもポイントのように思えてくる。

 個人的には、心理療法家のミルトン・エリクソンの妻エリザベス・ムーア・エリクソン(初代ベティ・エリクソン)の自己催眠[5]の外向きのトランスだけを宮本武蔵の目付け[6]の要領でやりながら歩くことが多い。で、効用としては「マインドフルネス」な状態になるだけではなく、知覚が鋭敏になっているので「君子危うきに近寄らず」とか「金持ちケンカせず」も実践できているような気はしている・・・・(笑)。

(つづく)

文献
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Francisco_Varela
[2]https://www.amazon.co.jp/dp/4875023545
[3]https://www.mindandlife.org/
[4]https://uhs.berkeley.edu/sites/default/files/article_-_five_steps_to_mindfulness.pdf
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/03/10_13.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_10.html

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2016年7月20日水曜日

主要な家族療法のモデル諸々


                                                                                                                             
 昔、CMで「違いが分かる男の、・・・・」というのがあった。

 ここでの違いとは、ウルトラマンの初代からオーブまでキャラとプロットと怪獣が全部言えるとか、仮面ライダーの初代からゴーストまでキャラとプロットと怪人が全部言えるとか、ガンダムのすべてのキャラとプロットと敵が全部言えるとか、そんな感じの常人には関係ないマニアックな世界(笑)。

 で、本当は共通する理念みたいなものが一番大事なのだろうけれど、必殺技は色々あったほうが面白い(笑)。


 <ひとりごと>



バリエーションが豊かなのはよいことだ

  ネットに転がっていた<主要な家族療法のモデルの諸々>の比較を読む。[1]  特に目的はない。が、人類学者にしてサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンいわく「A difference that makes a difference 」。要は、<情報>は2つの物事の1つの違いから創発的に生じる。だから、目的を云々する前にとりあえず比較をしてみようということになる。

で、その手法は以下の13流派


  • 構造派  (ミニューチェン)
  • 戦略派(MRI、パロアルト派)
  • 戦略派(ヘイリー&マダネス、ワシントン派)
  • ミラノ派
  • ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピー
  • ナラティブ派
  • 認知行動派
  • コンテクスチャル家族療法
  • ボウエン派
  • サイコダイナミック派
  • 実験的家族療法(ウィトカー、サティア)
  • エモーショナル・フォーカスト
  • ゴットマン・メソッド

これが、


  • 主な主導者
  • 仮定、前提
  • コンセプト
  • 治療法のゴール
  • セラピストの役割
  • アセスメント
  • 介入方法
  • 変化
  • 終了条件
  • セラピストの立ち位置
  • 評価
  • スーパービジョン
  • 参考文献
の項目で比較されている。

で、個人的に理論の背景からカバーできているのは、戦略派、ミラノ派、ソリューション・フォーカスト・アプローチくらいまで。このあたりは、技法としての心理療法家のミルトン・エリクソンと理論としての人類学者、サイバネティストのグレゴリー・ベイトソンが分かってればなんとかなる(笑)。

 話を戻そう、おそらく、この背景にはカンブリア紀のように色々な手法が百花繚乱で乱立した時期があったのだろうなと推測。もちろん、構造派あたりからは50年から60年をへて、これでも多少は集約されて今に至るということになっているのだろう。

  家族療法が家族や組織を一つのシステムと見て介入するというコンセプトはどの手法も変わらないのだろうが、その手法は多くのバリエーションを持っておいたほうがよいということなのだろう。

(つづく)

文献
[1]http://www.aamft.org/Institutes13/Supervision/Individual_Documents/Saturday/mft%20model%20charts%202012%20sup.pdf

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2016年7月19日火曜日

臨床カップルセラピーハンドブック


                                                                                                                             
 人がつくった究極のしくみは<組織>。

 そう、会社とか団体とかグループとか家族とか親戚とかっていう<組織>・・・・・

 で、世の中の問題、課題のほとんどは<組織>との関わりの中で起きている・・・

 経営の問題なんて、そのほとんどがそうだ。<組織>はナマモノ、時に、個々人は謙虚でも組織はくっそ生意気に振る舞う、対処は、一筋縄ではいかない。

    で、どうするのか?

 とりあえず<家族療法>でも勉強してみよう!

    MBAの Organizational  behavior も根っこは同じだから(笑)。

 まぁ、そういうことだ(笑)。

 
 <ひとりごと>



たまには偏食をやめてみる?

  夏になると、いつもにも増して無性にべんきょーがしたくなる。それもあまり知らない分野の(笑)。

 で、「Clinical Handbook of Couple Therapy」[1]の第四版(2008) をゲット。同編者の第五版が昨年(2015)に出ていることが入手後判明したが、それはご愛嬌だ。  <カップル・セラピー>と銘打っているが別に恋愛指南ではなく、実態は<家族療法大全>という感じの論文集だ。

 

 特に、人間関係で困っているわけではない。が、経営やプロジェクトに関わっていると<組織>の問題・課題にどのように取り組み、どのように介入していくのか?という意味で、家族療法の知識と技法はとても役に立つ(当社比)。

 家族療法でもエリクソン派生の療法は結構よくわかっているつもり。もちろん、こればっかりやっていても偏っている感じはする。肉ばっかり食ってもだめで、やはり野菜なり含めバランスよく食べるよさが分かるのも本書のよいところだ。要は相対化の重要性。本書では、認知行動/統合行動/エモーショナルフォーカス/ゴットマン・アプローチ/オブジェクト-リレーション/世代間アプローチ/ナラティブ/ソリューション・フォーカス/短期戦略/構造派/統合アプローチ・・を幅広くバランスよく取り上げられる。

 個人的には、短期戦略派、ソリューション・フォーカスから入って他の流派と相対化するという感じになるのだろうが、この夏に読み進めてみる予定にしている。


(つづく)

文献
[1]https://www.amazon.co.jp/dp/1593858213/

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2016年7月18日月曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:外向きのトランスを使う


                                                                                                                             
 外向きのトランス?

 日本だと、17世紀に宮本武蔵が<五輪の書>で兵法の目付けについて書いているので別に新しいものじゃない(笑)。

 もっとも、これは竹刀を振ったりしなくても、ベティ・エリクソンの自己催眠を練習すれば簡単に身につけられる。

 今のコトバで言えば「マインドフルネス」だ。本格的にやるなら禅寺で座禅を組めばよい(笑)。

 現実を観察したり、メタファーからくるひらめきを得るにはもっとも良い心身状態ではある。

 <ひとりごと>



外向きのトランスを使う?

  著者ではなく、他の研究者がサマった引用が役に立つことは多い。[1]
 
  例えば、ミルトン・エリクソンとロッシ夫妻の著作である「Hypnotic Realities 」[2] からの引用が以下、


 Erickson Believed that unconscious communication and learning were more effective and reactive in an altered state of consciousness  (Erickson , Rossi & Rossi ,1976). 

 エリクソンは、無意識のコミュニケーションと無意識による学習は、変性意識状態においてより効果的かつ、より状況の変化に対応できる、と信じていた。

 
 「変性意識状態」[3]などのビッグワードに囚われてはいけない。コトバに囚われるのはバカのすることだから。

  さて、一般的に人は経験からなんらかの認識上の枠組み(Frame of reference )を構築する。で、何か出来事が起こる。人はこの枠組みに照らして、いつもこうなるから今度もこうなる、と無意識に推論を働かせる、あるいは感情が起こったり反応したりする。この枠組みと信念システム( Belief System)が相互作用して物事に対する認識や反応が固定される。従ってほとんどの人はいつもの反応しかできなくなる。サイバネティクス的にはポジティブ・フィードバックで同じ思考、同じ振る舞いが強化されていることになる。

    逆の言い方をすると、枠組みや信念システムの働きを弱くして、いつもと同じではない認識や反応をともなった心身状態が「変性意識状態」というわけである。「Hypnotic Realities 」をじっくり読むとそれ以上でもそれ以下でもない。結局、人が将来にもっとうまくいくやり方、もっとうまく行く考え方は過去の成功体験に制約を受けているということでもある。成功体験が新しいことを学ぶのを阻害している。ある意味、面白いパラドクスでもある。
 
話を続けよう、さらに同じ著作にエリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances 」[4]よりの引用、


Gilligan (1987) advocates that the therapist  adopt an externally oriented interpersonal trance.  This allows the therapist's unconscious mind to tune in to the patient's unconscious message , feelings , and needs .  The therapist who become involved in this kind of trance activity is better able to resonate.

ギリガン(1987) はセラピストに対人間の外向きのトランスを採用するように推奨している。これはセラピストの無意識の心が患者の無意識のメッセージ、感情、欲求にチューニングすることを可能にする。この種のトランス活動に巻き込めるようになると、うまく共鳴できるようになる。


 
 トランスは敢えて二分すると2種類ある。一つは内向きのトランス( internally oriented trance)と外向きのトランス(externally oriented trance)だ。ギリガンの著作ではクライアントが内向きトランス状態になり、相互作用としてセラピストが外向きトランスの状態を取ると仮定している。もちろん、コーチングでクライアントも外向きトランス、セラピストも外向きトランスのような向き合いになると古武道のような向き合いになる(笑)。それで、ギリガンはセラピストは外向きのトランス状態を取れるようになることを推奨している。

 外向きのトランスは別に新しい概念ではない。日本だと宮本武蔵が五輪書で兵法の目付けについて書いている。[5] 目的はどんなに強い相手と立ち会っても、過去の成功体験に囚われずに今・ココでリアルタイムに学ぶモードに入るということでもある。従って、一般的には酩酊状態になっていることだけがトランス状態、あるいは変性意識状態だと誤解されているところがあるが、知覚が完全に外に向いた状態がもっとも学ぶことができるということになる。

 だから、実は心理療法家のミルトン・エリクソンも兵法の目付けを効果的に使っていたというのがロッシやギリガンの著作でも書かれていることだ。

 では、これをどのように練習すればよいのか?

 もっとも簡単なのは、エリクソンの妻だったエリザベス・ムーア・エリクソン(通称:ベティ・エリクソン)の技法である。ベティ・エリクソンの自己催眠の特に一次経験からトランスに入る練習をすればよい。[6]  要はここで書いた三角形の半分の練習をすればよいということになる。一次経験を使うのが外向きトランス (externally oriented trance)で、二次経験を使うのが内向きトランス (internally oriented trance )ということになる。で、練習自体は簡単だが、案外深い。

 あるいは、最近いろんなところでやっている「マインドフルネス」のトレーニングに出る。あるいは、ご近所の禅寺で座禅を組む・・・・・方法は色々ある。

 会社の中を観察する時、相手の相談に乗るとき、主体が内的トランスに入って眠ったように映っていてもしかがたない(笑)。あるいは、会社で部下の相談にのっている時、相手を内的トランス状態にしても怪しいだけだ(笑)。その意味では、外的トランスをつかって、過去の枠組みに囚われていない状態をつくりだす、というのは新しいことを学ぶ上では必須だというのがここでの結論になる。

 過去に囚われず、<現場>にいって<現物>を触って<現実>を認識する、その時に外向きのトランス状態で知覚を外に開いてそこに在ることは非常に有効だ、ということになる。
 

(つづく)

文献
[1]https://books.google.co.jp/books?id=rVnfAQAAQBAJ&pg=PT63&lpg=PT63&dq=externally+oriented+trance+metaphor
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/03/hypnotic-realites.html
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/Altered_state_of_consciousness
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/search/label/参考文献
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_10.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/03/10_13.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/okirakusoken