2016年8月23日火曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:無用の用


                                                                                                                             
 帰納、演繹に加えてアブダクションをうまく使えるように支援するのが

 エリクソニアン。

 で、アブダクションを上手くつかって人は誰でもイノベーティブになれる

 ということで・・・・・

 <ひとりごと>



頓智みたいなアブダクション、人工知能もかなわない(笑)

   問題や課題を解決する方法を学ぶために、「コンサルタント育成」のような講座ではたいていロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングから学び始める。もちろん、これ自体はオーソドックスなやり方だし、意味がない、というつもりはない。が、ロジックとしてはその一部しかカバーしていないところはあまり意識されていない。つまり、ロジカル・シンキングはほとんどの場合①演繹(deduction)と②帰納(induction)の2つしか学べない。一般的に演繹と帰納は既存の枠組みの元で情報をガチャガチャ組み替えて整理するものであって、既存の枠組みを超えたイノベーティブなアイディアを得る手法としては向いていないところがある。ロジカル・シンキングの道具であるイッシュ−・ツリーについてはこのへんに書いた。

 それで、最近はイノベーティブなアイディアや方法を使って問題を解決したり、課題に取り組んだりするために上の2つに加えて③アブダクション(abduction)を使う方法が提唱されているところがある。もちろん、日本人には「〜とかけて〜と解く、その心は?」というロジックであり別に西洋の偉い学者、例えば、米国のチャールズ・サンダー・パースから言われなくても昔から庶民のお遊びレベルでも使ってきたロジックではある(笑)。笑点をみてれば幼稚園児にもわかるロジックだ。

 ただ、このアブダクションのロジックをクライアントが自分で問題を解決できるように上手に支援していた人たちがいる。一人は、心理療法家のミルトン・エリクソンであり、もう一人はミルトン・エリクソンの心理療法がどのように機能しているのか?を説明した人類学者でサイバネティストのグレゴリー・ベイトソンだ。ベイトソンはアブダクションを人が意味を見つけるプロセスとして説明した。[1]

 前置きが長くなった、今日の本題に入ろう。

  これはエリクソンの技法の一つでしかないがAFA(Ambiguous Function Assignment:アンビギュアス・ファンクション・アサインメント)[2]というのがある。もちろん、これはエリクソン自身がつけた技法の名前ではなく、後の研究者、具体的にはランクトン夫妻がその著作でつけた名前だ。エリクソン財団のカリキュラムのガイドラインにも記載されているエリクソニアンで知らない人はモグリというような手法だ。[3] もちろん、英語にすると長ったらしいが日本語でいうと「無用の用」という類の技法だ。名前からして禅的だが、その技法も一休さんの頓智のようにぶっ飛んでるところがある(笑)。

    AFAは簡単にいうと一見意味のないタスクのアサインメントだ。これをコーチなりセラピストがさも意味があるようにアサインするというのがポイントだ。もちろん、極端なことにならないように安全には配慮する必要がある。例えば、次のセッションまでの宿題として、


  • 山に登って何かを持って帰るように指示する(小石、葉っぱ、どんぐり、その他)
  • あるいは山頂に何かをおいて帰るように指示する。
  • 散歩したり、買い物をしていた時に何か気になったものを書き留めるように指示する。
  • 辞書や小説などをパラパラめくって、気になった単語を書き留めるように指示する。
  • 動物園、美術館、植物園などで何か気になったことを書き留めるように指示する。
  • その他
 本当は、クライアントが何かを探す時に、宮本武蔵の心境で、頭を空っぽにして、遠くを近く、近くを遠く、兵法の目付けの要領で、その何か?を探すことだ。[4]  エリクソニアン的には<外向きのトランス>状態で直感的にビビッとくる何か気になったものを探すということになる。[5] 最近は、マインドフルネスと言われていたりもする。 もっというとアブダクションを使うためには一般的な<内向きのトランス>状態になる必要も誘導する必要もないということだ。もちろん、コーチングなどの場合は、クライアントが<外向きのトランス>状態を取れるように支援する必要がある。

 それで、課題を出した次のセッションで「あなたにとって、それはどんな意味があると思いますか?」と聞いてみるという具合だ。もちろん、裏ではアブダクションのロジックが使われている。もっというと「あなたが解決したい課題とかけて、小石と解く、そのこころは?」のように聞いてみてもよいだろう。こまめに、気づいたことは何かメモしておくとよいだろう。これが上手く機能すると、コロンブスの卵的に、無意識に既存の枠組みの外に出て何かの解決策や創造的アイディアを思いつくことになる。たとえ、それが道に転がっていた石ころだったにしてもだ。

 このあたりのロジックは一般的には<ヒラメキ>といった曖昧なコトバで語られることが多いが、使い方によってはアブダクションを使ってヒラメキの確率を上げて問題解決や創造的アイディアの獲得に使える技法ということになる。個人的には、一般的に言われているマインドフルネスも、もう一歩踏み込んでアブダクションのロジックを回すことで、創造的な個人や組織に成り行くことができる、と考えている。ある意味これが新しい人材育成や組織開発のやり方だ。

 これ以外に、一般的なロジカル・シンキングで自分の既存の枠組みを論理的に探求していく方法もあるのだろうが、おそらくユダヤ人科学者でいつも自分の思考の枠組み自体をメタ認知している人でもない限り普通の人はこういうのが苦手だ。逆にいうと、アブダクションは思考の枠組み自体に焦点を当てなくてもその枠組みをいつの間にか超えているということが可能になる。この部分は優れものだ。

 さて、このブロクで書いた、この記事あの記事は、エリクソンの使ったこのAFAを元ネタにしたものであることは言うまでもない(笑)。要は、アブダクションを上手く機能させるには一定のカタがあるということだ。また、技法としてメタファーを使うことが多い。

 余談だが、Amazonのエリクソニアン関係の書評に以下のようなのがあった「効果がなくても、無意識にインプットされていて、本当に必要な時にヒョイと出てくるのがエリクソニアンです」で某団体のセミナーに出て一年間まったけれど効果がないそうだ(笑)。

 ちなみに、この方法は1週間もあれば、そう努力することなしに色々なアイディアが出てくる。もちろん、こういった書評を読むと「お気の毒に、詐欺に引っかかりましたね」で、グレゴリー・ベイトソンやミルトン・エリクソンの使ったまともなアブダクションのやり方を教えてもらえなかったのですね、としか言えないのだが・・・・・・
 
(つづく)

文献
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Abductive_reasoning
[2]http://asociatiaromanadehipnoza.ro/wp-content/uploads/2013/11/PRINCIPLES-AND-PRACTICE-OF-VERY-BRIEF-THERAPY.pdf
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/08/h.html
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/11/blog-post_10.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_76.html

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