2016年11月11日金曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その3)


                                                                                                                             
     もうダメだと考えるより

 まだ、可能性はあると考えるほうがよいに決まっている。

 だけれど、この切り替えは案外難しい(笑)。

 <ひとりごと>



トランスは日常でも経験する状態

  備忘録として書いておく。

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。


項目
古典(権威的)
標準(学術研究)      
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の催眠感受性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入


 2つ目の項目は、催眠状態は日常の延長だ。これに関して 学術団体であるASCH(American Society of Clinical Hypnosis)のサイトにベティ・アリス・エリクソンのエッセーが上がっている。[2]

    エリクソン派の心理療法家は、トランス状態は日常生活で誰もが経験する状態と定義していることだ。エッセーを少し読んでみる。


All people want to live happy productive lives, without unnecessary pain and achieve their personal goals. Hypnosis reminds them of their own abilities to help achieve this. Indirect and naturalistic trance states help achieve these goals without the rigidity of another person’s belief system. 

すべての人々は、必要のない痛みを感じることなく、個人的なゴールを達成することで幸福で生産的な人生を過ごすことを望んでいる。催眠は、これを達成するために、自分の能力を思い出せてくれる。間接的で自然な(日常生活の延長の)トランス状態は、他の人の信念システムを頑なにすることなくこれらのゴールの達成を助ける。

 
ここでのセラピストの役割は、この日常生活で誰もが経験するトランス状態を再度経験してもらうように支援するような形式になる。間接的に生成されたトランス状態を上手く活用することでクライアントの信念システムからくる抵抗[3]を回避できることが示唆されている。簡単な例では、可能性を検証しないで「どうせできっこない」と今までの枠組みで判断するのも抵抗の一種だ。こういう状態から「少しだが可能性はあるかも」という状態に導く手段としても活用できるということだ。


People often dissociate without realizing the value of that phenomena which is part of a naturalistic trance. Dissociation can alleviate pain indirectly.

人は時に、自然なトランス状態の一部としてその現象の価値を自覚することなく、分離しているとみなしている。分離は痛みを間接的に緩和する。

 
  トランス状態の時は、身体と認識が分離されたような形式になってメタ認知が促進されたような状態が示唆されている。例えば、身体のどこかに痛みがある、これと痛みを感じている知覚なり認識と分離する。これにより痛みが緩和される。「Milton H Erickson Hypnotherapy An Exploratory Casebook」[4]に記述がある。また、いつもは無意識的に引き起こされる反応のパターンを変えられることも示唆されていた。例えば、犬が苦手な人に根性で怖がるなと言っても無理な話だ。この場合、トランス状態を上手く使うことで、怖がる身体とそれを認識する心が分離されて怖さというのを緩和できる可能性がある。

  
(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]http://www.asch.net/Portals/0/PublicLibrary/Vol_2_Chapter_5_Ericksonian_Therapy.pdf
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_14.html
[4]https://www.amazon.co.jp/dp/0470265957



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