2016年11月21日月曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その13)


                                                                                                                             
 社会科学的なことは学者によってみんな見解が違うなぁ(笑)。

 一方、エリクソンは徹底的なプラグマティスト。

 現場で有効ならなんでもあり(笑)。

 <ひとりごと>



現場では観察はしてもテストはしない

備忘録として書いておく。

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。  

項目
古典(権威的)
標準(学術研究)    
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の非暗示性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入


12項目目は催眠感受性テスト利用の有無だ。ミルトン・エリクソンは催眠感受性テストを使用しなかった。理由はいくつかある。

 一つはエリクソンが「ひとり一人は唯一無二の個人であり。したがって、心理療法は個人のニーズの独自性を満たすように処方されるべきであり、人間の行動の理論を画一的にその人に当てはめるべきではない」[2]と考えていたこと。つまり、ひとり一人の状況はすべて違うため臨床の現場でこれを当てはめることはできないと考えたこと。

 また、エリクソンは思考や行動の変化が重要であり、催眠の掛かりやすさや深さと相関はないと考えていたこと。[3]

 また、催眠感受性テスト自体がそもそもエリクソンからして後付であること。つまり、催眠感受性テスト[4]は、大きくわけて2つある、一つはハーバード式、もうひとつはスタンフォード式。スタンフォード式はアーネスト・ヒルガードとアンドレ・ウィゼンホッファーが作成したものだが、これ自体がエリクソンを研究した結果出来ているところがある。

 ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコがウィゼンホッファーに2005年にインタビューした内容が落ちていた。[5] 催眠感受性尺度が開発された背景を本人が語っているのだが、既に故人となっているヒルガードとも催眠についての見解が違っていて面白い。

   何れにしてもエリクソンが理論ではなく、クライアントの一挙一投足に向き合っていたということが浮かび上がってくるのも面白いところだろう。催眠感受性テストはあくまでも学術研究用ということなのだろう。

(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/11/2.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/11/blog-post_20.html
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Hypnotic_susceptibility
[5]https://www.hypnosisalliance.com/articles/Andre%20M%20Weitzenhoffer%20Interview%20By%20Michael%20Yapko.pdf

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