2016年11月23日水曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その15)


                                                                                                                             
 ベイトソンのように観察し、エリクソンのように介入せよ!

 修行しないとできないけどなぁ〜(笑)。

 <ひとりごと>



人類学者の視点で日常生活や仕事を観察すると面白い

  備忘録として書いておく。

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。  

項目
古典(権威的)
標準(学術研究)    
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の非暗示性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入

14個めはセラピストの洞察の価値だ。ミルトン・エリクソンはクライアントや状況、クライアントを取り巻く人間関係などの観察、洞察に重きをおいた。

 エリクソンがセラピストに人類学を勉強するように勧めていた話は書いた。[2] もちろん、この事実から忖度すると、

  • エリクソンは超プラグマティスト
  • だから、人類学を知識として勉強するだけではいけない
  • 人類学を学び、現場で人類学者のように観察して実務に役立てよ!

 というメッセージに取れる。

 何を観察するのか?簡単にいうとクライアントを取り巻くエコ・システム全体を観察せよ、ということになるだろう。もちろん、エリクソンが周辺視野を使って観察してたのも偶然ではないだろう。[3] 何かに焦点を当てすぎると全体の関係性が見えなくなるからだ。

 人類学者のグレゴリー・ベイトソンはエリクソンが何をやっているのか?について(第二次)サイバネティクス[4]を持ち込み、クライアントの事情からエリクソンの技法、エリクソンの介入がどのようにクライアントを取り巻くシステムに影響を与えているのか?を観察した。その意味、人類学的な知見+システム論的な知見は案外より全体的な構図を見ることに役に立っているのだろう。

 結局、エリクソンを「催眠」というような、ステレオタイプで見ても何も理解できない。エリクソンは、クライアントを取り巻く人間関係を充分観察し、コミュニケーションのやり方や人間関係を変化させるような介入を行っている。少なくともベイトソンたちが観察したところではそうだ。

 もちろん、こういうことを理解するにはニクラス・ルーマンがやったようなコミュニケーションをオートポイエーシス構成素とする社会システムのような見方をしてはじめて分かってくることもあるのだろう。

 何れにせよ、日常生活でも仕事の場面でも、まず人類学者のように問題や課題を取り巻く状況を観察するのは重要なことには変わりないだろう。[5]

(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_8.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/11/blog-post_2.html
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/blog-post_27.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html

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