2016年11月29日火曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その21)


                                                                                                                             
 例の自由意志の問題、

 意識にあがっていないだけで、不自由ではない気もする(笑)。

 <ひとりごと>



自由意志の問題?

備忘録として書いておく。

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。  

項目
古典(権威的)
標準(学術研究)    
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の非暗示性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入

 20番めは、無意識の役割は能動的だ、というものだ。無意識は、外的な刺激に受動的に反応するだけではない。少なくともミルトン・エリクソンはそう考えていたとエリクソニアンたちは考えている。

 これについてはUCサンフランシスコ校で教授をやっていたベンジャミン・リベット[2]の1970年代の有名な実験を思いだす。リベットは、人間には自由意志なんて存在せず、無意識が最初に意思決定し行動を起こした後にその結果が意識に登るという実験結果を発表した。

 現在はどうなっているのか?というという。ワイァード誌によれば「自由意志は存在する(ただし、ほんの0.2秒間だけ)」ということになっているようだ。

 余談だが、もう一つの方向性は、無意識の反応を速くできないか?ということ。これは、チャップマン 170km/h 以上とか大谷 165km/hのような球を投げるピッチャーが現れると、無意識の反応を上げるのは必須となるだろう。ここにエリクソニアン・アプローチでもって無意識の反応速度を上げられないのか?という学術論文があってこれが結構面白い。[3]

  何れにしてもエリクソンは「Subconscious 」というコトバを使わずに、例外なく「Unconscious」とかしか使わないのは、無意識が意識の部分ではなく、意識されていない大きな全体と考えていたのだろうなと思えてくる。そう考えると案外無意識で反応しているから自由意志がないという考え方自体がおかしく、意識しなくても上手く反応してくれているのが全体性をもった無意識と考えられなくもない、個人的にはそう考えている今日このごろだ。


(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Benjamin_Libet
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/02/blog-post_16.html

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