2016年11月9日水曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その1)


                                                                                                                             
 大阪出張は何で行く?

 カゴ? 新幹線? 飛行機?

 今更、カゴを使う人は皆無だと思うが、比較するとそれなりに面白い(笑)。

 <ひとりごと>



もっと大きなパターンを見る

  備忘録として書いておく。

二項目比較か?三項目比較か?

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。まずは、内容よりも、この表の立て付けが気になる。理由は、仕事でも日常生活の場面でも表は不可欠だからだ。このレベルならミルトン・エリクソンがどうのこうの、という前にもっと面白いことが学べるはずはずだ。

項目
古典(権威的)
標準(学術研究)
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の催眠感受性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入


 ヤプコ、ギリガン、ザイクらエリクソニアンの著作を読むと、ほぼ例外なくエリクソニアン・アプローチが三項目で比較されている。

【疑問1】なぜ、三項目比較なのか?なぜ、二項比較ではないのか?

   三項目の比較にそれなりの意味があるのだろうと考えている。

 個人的な推測はこうだ。

 ピアジェの認識論を引用して書いたが、人は「All-or -Nothing」の思考に陥りやすい。[2] 「白か黒か?」「一か八か?」こういった思考自体が問題となることが多いということだ。こういった思考からはどうしても統合失調症的なダブルバインドを連想してしまう。[3]

  さらに、スティーブン・ギリガンの「Walking in two worlds」から引用したが、対立を解消するには、① Either or ② Both and ③ Neither nor という順で物事を見ることができるように勧めていたところがあった[4] それで、ここでは敢えて二項対立にならないように、三項目を比較しているという推測だ。仮に、対立構造になっても、1対1対1、1対2の構図がある。その意味、単純な二項対立にはならないという具合だ。

また、二項比較は非システム思考になりやすい。問題の解決を試みようとする時、システム思考[5]を使わないとモグラたたきのように現象に反応しているだけになってしまう。こういったことを避けるために三項比較をしているように思われる。本当は、表面上に書かれている項目は単なる現象と見て、もっと大きなパターンを見る必要があるようだ。

 そう考えると、仕事でも比較表を作成する時は、はじめは4、5つを比較し、3つに絞るというのが良いのだろう。大抵、提案をする場合は3案程度を提示するのもこういう理由があるのだろう。

次に、

【疑問2】なぜ、真ん中に標準的アプローチがあるのか?

 これは、学術的な統計を取りたいためだと推測される。効果検証を行うためには、極力属人性を排除して手順通りに実験を行う必要がある。

 逆に言うとクライアント毎のあわせてアプローチをコロコロ変えていたのでは統計が取れないということになる。だから、真ん中にこのアプローチがある。おそらく、目的はベースラインの設定だ。一方、これと比較すると、エリクソニアン・アプローチはJazzの即興演奏だということだ。

 クライアントに応じてアプローチを変える。抵抗を利用して変化を促す。即興的にパラドクスを見つけ、そこにカウンター・パラドクスを当てるとある意味自由自在だ。ただ、裏を返すと学術的な効果検証には向いていないということになる。それは、属人性が排除できないことと、即興的に何かを行うからだ。この違いを明示するために真ん中に標準的アプローチが混ぜてある、ということになる。

 ここで書いたが、エリクソニアン・アプローチと謳ってはいるが、実際にエビデンスの検証は、エリクソニアンっぽい手順が用意された標準的アプローチで行われていると推測される。

 さて、仕事上のプロジェクトでもいつもベースラインは意識しておく必要がある。表を作成する時には、ベースラインを最初に引いて、種類の異なる2つのアプローチがどのように離れているの?を比較したほうが上手くいくのだろう。その意味でのベースラインは非常に重要だということだ。

 さて、たかが表だが、されど表でもある。しかし、このフォーマットからも学べることは多いはずだ。
 
  
(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_31.html
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/Double_bind
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2011/10/blog-post_940.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/10/blog-post_16.html

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