2016年12月16日金曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:俳句と臨床催眠


                                                                                                                             
 俳句は臨床催眠のトレーニングになるっぽいなぁ。

 で、こればかりは英語より日本語が有利でしょう(笑)。

 <ひとりごと>



日本語の有利さを活かす

  備忘録として書いておく。

  心理療法家のミルトン・エリクソンを学ぶのに英語が苦手な日本人は不利だ。

  実は、これは案外根拠のない「思い込み」のように思えてくる。それは、学術誌 American Journal of Clinical Hypnosis の「Haiku:Language, Communication, and Hypnosis」[1]を読んでいておもったことだ。きちんと書かないと掲載されない本格的な学術誌にこんなことが書いてあるのは案外面白い発見だ。

 このエッセーの中にこんなことが書いてある。


Milton Erickson, a Haiku poet? Maybe, maybe not.  What he was was an astute observer and orator of remarkable power, brevity, and impact.Often Erickson employed long conversational stories in which he would insert suggestions  that  closely  resemble  the  Haiku  method  (Erickson  &  Rosen,  1992).

ミルトン・エリクソンは俳人か? 多分そうであり、そうではない。エリクソンがやっていたことは功名な観察者であり、顕著で力強く雄弁でインパクトを与える雄弁家であった。

多くの場合、エリクソンは長い会話形式の話を使用して、そして俳句の方法によく似た示唆(暗示)を挿入した。(Erickson&Rosen、1992)。


 
 たしかに、エリクソン&ロッシの「Hypnotic Realities」[2] を英語で読んでいても俳句のような気がしないでもない。

 また、現象学的な視点で、俳句で知覚を動かす話は、このあたりで詳しく書いている。つまり、個人的には随分前から思っていたことだが、学術系の人たちも日本の俳人のつくった俳句がなんからエリクソンの示唆(暗示)と近いのではないかと思っているということだ。

 論文のサマリーを読んでみる。


This article will illustrate how effective hypnotic communication closely resembles the Haiku form. Working with the Haiku form is an effective and dynamic approach that encourages the therapists to keep their awareness sharpened and observation astute. Haiku is not just a type of poetry; it is a way of looking at the world with a  heightened  level  of  attentiveness.  Crafting  effective  and  evocative  hypnotic suggestions requires that the therapist become immersed in the world of passion,images, sounds, sights, opposites, humor, creativity, and perceptive consciousness.Enhancing  our  skills  of  observation  is  an    important  aspect  of  the continuing experience  of  the  hypnotherapist.  The  Haiku  method  can  help  us  enhance  our observation  and  utilize  what  we  observe  in  developing  evocative  hypnotic suggestions that help the client access their internal representational systems to stimulate  their  healing  response.  A  systematized  method  for  learning  to  write Haiku is presented .


この記事では、催眠的なコミュニケーションが俳句の形式にどれほど似ているかを説明する。 俳句の形式を使って作業することは効果的でダイナミックなアプローチであり、セラピストが彼らの意識を鋭くして観察を賢明に保つことを奨励する。俳句は詩の一種ではない。それは高められたレベルの注意力で世界を見る方法である。効果的で催眠的な示唆(暗示)を作成するには、セラピストが情熱、イメージ、音、光景、反対、ユーモア、創造性、知覚意識の世界に没頭することが必要だ。観察技能を高めることは催眠療法医の継続的な経験の重要な側面だ。 俳句の方法は、私たちの観察を強化し、クライアントが内的な表象システムにアクセスして癒しの反応を刺激するのを助ける、催眠の示唆(暗示)を開発する際に観察するものを利用するのに役立に立つ。俳句を書くための体系化された方法を紹介する。

 
 本文を読んで見ると分かるが、サイバネティクス的に、セラピストが知覚を磨くために観察したことを俳句にする、そしてそれをクライアントに示唆(暗示)として言ってみる。これ自体がセラピストの観察力を上げたり、療法の効果を上げるために有効ではないか?と考察しているのがこのエッセーということになる。流石に英語が575とはいかないが中々興味深い内容となっている。

 もっとも、このエッセーで気づくのは、英語だ日本語だという前に、日本人だからこそ有効に活用できる資源・資質(リソース)は灯台もと暗しで転がっているということだ。余談だが、ベイトソンやヘイリーはエリクソンの技法に禅との共通性を見ている。[3]

 さて、俳句というとどうしても爺さんの嗜みのような気がしないでもないが、活用できるものは何でも活用しようというエリクソンの哲学のレベルにまでなっている「ユーティライゼーション」の種は案外身の回りに転がっていることに改めて気づく。

 俳句を読むだけでクライアントが変化する凄い俳人になれるかもしれない(笑)。そんな妄想をしてみた。


(つづく)

文献
[1]https://pdfs.semanticscholar.org/c371/6225a9fe7c0c516efdb63f3b837cd01fc0cc.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/03/hypnotic-realites.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/12/blog-post_2.html

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