2016年12月1日木曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:エリクソニアン・アプローチ再考(その23)


                                                                                                                             
 「おまえを支配してやるぅ~〜」「人を動かすぅ〜〜」

 関係を支配ー非支配みたいな単純で直線的因果関係でしかみていなかったら

 世の中簡単でいいのだろうけれどなぁ(笑)。

 そうじゃないので多くの人が悩んでいるのだろうけれど。

 <ひとりごと>



人のコミュニケーションはお互い様

   備忘録として書いておく。

  ネットにエリクソニアンのマイケル・ヤプコのドキュメントが落ちていた。タイトルは「What is Ericksonian Hypnosis?」[1]で比較表を含んでいる。さらに、これにちょっと追記して眺めてみた。   

項目
古典(権威的)
標準(学術研究)    
エリクソニアン(利用)
個別対応
催眠状態は日常の延長
自然主義的
セラピストのスタンス
権威主義的
権威主義的/許容的
権威主義的/許容的
指示に従わせる
力関係
セラピストが強い
セラピストが強い
対等
指向
コンテンツ
コンテンツ
コンテンツ/プロセス
催眠導入の成功率
一部
かかる人だけが対象
一部
かからない人も統計を取る
基本的に全員
※催眠の定義の変更
抵抗の源泉
自己のみ
自己のみ
対人/自己
(家族療法への応用可)
抵抗への対処
対立もしくは解釈
対立もしくは解釈
利用
(ユーティライゼーション)
催眠の深さを強調
正規の非暗示性テスト
治療プロセスの構造
直線的
直線的
モザイク
セラピストの洞察の価値
症状の意図の見方
否定的
否定的
肯定的
症状の原因
自己
自己
対人/自己
(家族療法への応用可)
症状に対処/動態に対処
両方/いずれか
症状に対処
両方/いずれか
二次利得の認識
無意識の性質
否定的
(問題の原因)
否定的
(問題の原因)
中立
(問題の原因、解決の資源)
無意識の役割
受動的
受動的
能動的
暗示の有効性を強調
(経験の再構築をより強調)
介入で示唆される因果
直線的
直線的
円環的
パラドクス介入
利用アプローチはなし
計画されたパラドクス
利用アプローチに加えて
パラドクス介入
カウンターパラドクス介入

 22番めは介入で示される因果関係が円環的因果関係だ。これは、個人的に追加した項目だ。エリクソンは個人や家族の関係を直線的因果ではなく、円環的因果で見立て、介入していたと後の研究者は考えていた。この違いはかなり大きい。

  人類学者のグレゴリー・ベイトソンやMRIの設立者でスタンフォード・メディカル・スクールで教えていたドン・ジャクソンは、エリクソンのやり方を戦略+コミュニケーションのやり取りに還元して考えた。ただし、ここで持ち込んだのはベイトソンの円環的因果関係[2]で、この枠組み家族のコミュニケーションのやり取りを観察し始めた。[3]


While patterns are unavoidable, and even desirable in families , when they become hurtful or dysfunctional to individuals or to the whole family, they must be altered.

 Bateson and Jackson(1974) describe tha circularity of interactions as


   where A is stimulated to do more of this because B has done this same thing; and where B does more of this because A did same of it; and A does more of it because B did some , and so on . This is the sort of symmetry characteristic of keeping up with the  Joneses, some armaments races , and so forth. (p.200)

 Communication patterns in a family are therefore reciprocal and mutually reinforcing.

 家族にとって、(コミュニケーションの)パターンは避けられないものであり、また家族にとって望ましいものでもある、個人や家族全員が傷ついたり機能不全になったりすると、パターンを変更する必要がある。

  Bateson and Jackson(1974)は、(コミュニケーションの)相互作用の循環性を

    Bはこれと同じことをしているので、Aは刺激されて、これ以上のことをする。 Aは同じことをしたので、Bはこれ以上のことをする。 Bはいくつかのことをしたので、Aはそれ以上のことをする。 これは、ジョーンズ、いくつかの武器のレースなどに追随する一種の対称性です。 (p.200)


  したがって、家族内のコミュニケーションパターンは相反し合い、互いに強化している。


 多くの問題は、人間関係のコミュニケーションのパターンから起きている。都合が悪ければ、これを変えればよい、というのがベイトソン達の考え方だ。エリクソンの Collected Papers を読んでも、人間関係に働きかけて、めでたしめでたし!みたいな事例は多い。この場合、どのようにこの関係に働きかけるのか?の鬼手仏心のアット驚く介入を考えて実行するという形式になる。もちろん、クライアントとセラピストが何がしか協力しながら、ということになる。

 もちろん、これは飛鳥時代から仏教的世界観で生きていた日本人にはお馴染みの概念だ。結局、円環的因果関係は仏教の因果応報[4]の枠組みのもとで「お互い様」のコミュニケーションを考えているに他ならないからだ。だから感覚的には西洋の頭が良かったり、センスが良かったりする人も「分かっている人は分かっているヤン」という構図がここにあることになる(笑)。もちろん、ハーヴァードのように頭の良すぎる人たちが身体とは切り離された形式で「因果関係には6種類あります」[5]と、《分ければ分かる》式のロジックで提示されても困るところはあるのだけれど(笑)。
 
(つづく)

文献
[1]https://www.hypnosisalliance.com/articles/What%20Is%20Ericksonian%20Hypnosis%20-%20Michael%20Yapki%20-%20Bernie%20Zilbergeld%20-%20Gerald%20Edelstein%20-%20Daniel%20Araoz.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/11/blog-post_8.html
[3]https://books.google.co.jp/books?id=wx73jGq4_owC&pg=PA56
[4]http://www.acmuller.net/yogacara/articles/buddhist_steps.html#div-IV

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