2016年12月25日日曜日

ミルトン・エリクソンの系譜:お悩みの構図はパラドクス(その7)


                                                                                                                             
 将来にかけられら呪いの予言は、ある意味統合失調症的ダブル・バインドだ、

 このダブル・バインドは、治療的ダブル・バインドで解く。

 新しい理想の未来のゴール設定も治療的ダブル・バインドで行う。

 <ひとりごと>



予言が実現するのは、その実現に向けて無意識に努力しているからだ

  備忘録として書いておく。

   この記事で「いい大人がなぜ悩むのか?」について書いた。答えは、そこにパラドクスがあるからだ、というのがここでの答えだった。また、ここでのパラドクスを正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、実際に行動し、受け入れがたい結論が得られる」と定義した。

《パラドクスの類型と一般解は?》

  さて、ネットに落ちていた「Dilemmas and Tensions and Binds, Oh My!」[1] を読むと面白い。この中に典型的なパラドクスが9つ記載されているからだ。

 ここで、パラドクスを解決する方法はあるのか?

 もちろん、ここではパラドクスの類型と一般解としての方向性を考えている。

《9つのパラドクスの類型》

 さて、パラドクスの類型について書かれた表を上からひとつづつ見ていくことにしたい。もちろん、これが漏れなくダブリなく網羅しているのかは分からないが、日常生活や仕事の場面のパラドクスはある程度カバーしているように思われる。で、ここでは当然、人の認識ー行動を扱う、第二次サイバネティクスのレベルでの話になる。[2]

パラドクスの
類型
パラドクスの
要素
説明
両極性
両極端
《帯に短し襷に長し》
両極性は特定の状況でパラドクスを生む。例:意識か無意識か、敵か味方か、生か死か、理想か現実か、認知か行動か、個人か集団か、計画か実行か、理論か実践か、現状維持か変化か、分散か集中か、既製かオーダーメイドか、自由か責任か、短期か長期か、論理か直観か、一般か個別か、など。
ダブルバインド
分断
どっちかをやっても罰を受ける、やらなくても罰を受ける。
ジレンマ
分断
二つの選択肢、あるいは立場の対立、緊張が意思決定を難しくしていること
自己参照
一連のループ
自己をその原因として参照する円環的因果関係。トートロジー
好循環、悪循環
一連のループ
円環的因果関係。一連の原因ー結果のループが最初の原因にループバックする構図。
自己成就予言
一連のループ
予言をした者もしくはそれを受け止めた者が、予言の後でそれに沿った行動を取ることにより、的中するように導かれた予言のこと、予言と結果は円環的因果関係となる。

通常自己成就予言はダブル・バインドの構図を含む。通常は予言を受け止めた者が期待に対する証拠を受け入れると、それにそぐわないすべての証拠を拒否するようになる。自己成就予言は社会学者のロバート・マートンによって名付けられた。
もつれ
ひっくり返す

予期せぬ結果
ひっくり返す

論理的パラドクス
ひっくり返す、一連のループ


 6つ目は、自己成就予言ということになる。このドキュメントでは「堂々巡り」のパターンに分類されている。

  自己成就予言は社会学者のロバート・マートンにより提唱された概念だ。もちろん、ブラック・ショールズ式を証明しノーベル経済学賞を受けLTCMを破綻させた経済学者のロバート・マートンとは別人だ(笑)。

 さて、自己成就予言の定義を述べておこう。最初に根拠のない予言から出発する。この予言は噂や思い込みのことが多い。つまり、なんらそれを裏付ける根拠は存在しないところから出発する。しかし、個人や集団がその予言を信じて行動し、さらにその予言を裏付ける何かを発見することによりさらにその予言に対する信念が強化され、結果としてその予言どおりの現実がつくられる現象、あるいはプロセスのことを言う。[3]

 簡単な例としては血液型占いなどがあるだろう。「A型は几帳面」。当然、これには何の科学的根拠も統計的根拠もない。しかし、これを信じた人が几帳面に振る舞うようになることで、最初の予言である「A型は几帳面」を実現してしまうというような現象だ。

 集団だと「あの銀行が危ないらしぃ」。こういった噂を信じた預金者が銀行に殺到して預金を引き出そうとする。結果、銀行が倒産する。戦前こういう事件が起こったし、最近では通学バスの中で女子高生が噂する「あの銀行が危ない」から取り付け騒ぎになった事例があった。もちろん、これが社会現象まで広がるとノストラダムスの大予言とか、予言どおりのハルマゲドンを自分で起こそうとした某宗教団体とかになる。

 自己成就予言とはこういった現象のことだ。もちろん、子どものころからの母親が「おまえは算数が得意だから将来は学者になるよ」や「おまえは野球が得意だから将来は必ずプロ野球選手になるよ」と言った予言的なものから「おまえは何をやってもダメだからろくな人間にならないよ」のような一種の「呪い」的なものまで含まれる。もちろん、ノストラダムス的な大予言が人の行動を縛るようなことが起こるのも心理学的には自己成就予言が関連していると考えられる。

 サイバネティクス的には円環的因果関係で未来の予言に対してダブル・バインドで拘束されている状態になっている。余談だが、ここにニューカムのパラドクスのようなことも起こる。[4] もちろん、これが自分の思い描いた理想にバインドされていれば何も問題ないだろうが、逆にろくでもないなりたくもない未来にバインドされていたらこれを解除する必要があるだろう。

 結論から言うと、エリクソンだったら、なりたくもない未来にバインドされている自己成就予言はさっさと解除し、なりたい未来にバインドして、今ココにあるなりたい未来に活用できる資源・資質(リソース)活用しようと無意識に振る舞うようにする必要があるだろうということになる。だから、結局は、時間が関係した治療的ダブル・バンドの話ということになる。もちろん、新しい目標も治療的ダブル・バインドで、ということになる。よいコーチやコンサルタントに出逢えば、これくらいのことはいとも簡単にやってくれるだろう。

 これが上手く機能すれば、意識しても無意識にも、今ココにある現象を将来のゴール達成のために利用するようになる。だから、上手くいけばいつの間にかそのゴールが実現しているというようなことが起こる。

 「Physiology Today」に面白い記事がある。この自己成就予言をもっと積極的に利用してようという主旨の「Using Self-Fulfilling Prophecies to Your Advantage」[5]が面白い。要旨は、「それが実現するまで、既に今実現しているというふりをしろ」ということなのだが、こんな自己啓発的な記事を博士号をもった人が書いているのが更におもしろいところなのだろう。もちろん、自分の信念→自分の行動→他人の信念→他人の行動→自分の信念の円環的なループをポジティブ・フィードバックで回して既存の枠組みの外に出ることが重要になってくるのだろうが・・・・・・
 

(つづく)

文献
[1]http://www.gwiznlp.com/wp-content/uploads/2014/08/Dilemmas-Tensions-and-Binds-Oh-My.pdf
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/12/blog-post_14.html
[3]http://www.let.osaka-u.ac.jp/~irie/kougi/kyotsu/1999/9902prophecy.htm
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Newcomb's_paradox
[5]https://www.psychologytoday.com/blog/psychology-writers/201210/using-self-fulfilling-prophecies-your-advantage

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