2017年1月31日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 31日目


                                                                                                                            
  混乱も使いようによっては悪いことではない(笑)。

 <ひとりごと>



混乱技法について

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、31日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。

《結局この論文の目的は何だったのか?》

 結論を示すキーワードは以下の2つ

  • 自然発生的な(spontaneous )
  • 計画されないトランス誘導(unplanned hypnotic induction )

 あまり大きな声では言えないがエリクソンは古典催眠はまったく使っていない。つまり、エリクソンの技法は、ウィスコンシン大学時代の学術的な催眠から始まって、エリクソニアン的な技法を開発していく、というのがミルトン・エリクソンの背景にある大きな物語ということになる。つまり、ギリガンの比較表、あるいはヤプコの比較表の真ん中から出発して右側のアプローチを発見していく、というのがエリクソンの論文の大きなプロットとなる。

 それで、エリクソンはトランス状態を、誰もが日常で経験している心身状態のひとつと定義した。それで、これを自然発生的に引き出す支援をするのがエリクソンのトランス誘導ということになる。つまり、これが「自然発生的な」ということになる。要は、エリクソニアンな技法ではセラピストがクライアントが日常経験している(問題解決に適した)心身状態を引き出すお手伝いをするのがそのひとつとなる。これは、このあたりで書いたが、要はクライアントの情緒的雰囲気を変えるだけということになる。だから、トランス誘導に不思議なことを求めてはならない。

 もう一つは「計画されないトランス誘導」。これは決められたトランスクリプトを読んで終わり、というのではなく、クライアントの言動をよく観察しながら、それを利用し、即興的に対処するのがエリクソンのやり方ということになる。

 余談だが、エリクソンの討論相手として、ジェイ・ヘイリーとジョン・ウィークランドがいい味を出している感じになっている。その意味、ヘイリーは後にエリクソンの技法を戦略的家族療法として体系化することになるし、ウィークランドはエリクソンの技法をコミュケーションのやり取りに還元してMRIの短期療法を体系化し、ソリューション・フォーカスト・アプローチのスティーブ・ド・シェザーに影響を与えることになるが、ここでの彼らは準主役として登場ということになっている。

《次の論文は混乱技法》

 次の論文は、「The Confusion Technique in Hypnosis」というタイトルの混乱技法について書かれた論文。

 簡単に言うと、落語『時そば』のような認知を混乱させる話だが、以下の視点から読み込みたい。

  • そもそも「混乱」とは何か?
  • 「混乱技法」とは何か?
  • その目的は何か?
  • その他、諸々
 混乱技法は主に2つの技法に分けられる。一つは「言葉遊び」のような形式。もう一つは「パントマイム」のような非言語のジェスチャーによる形式。言葉遊びだと日本だと嵯峨天皇のつくったとされる「子子子子子子子子子子子子」[4](ねこのここねこ ししのここじし)のような話者は理解しても聞き手は混乱した形式になる。それで、エリクソンは左手を失った人に対して「Right(hand) is left.」のような混乱技法を使う。

 で、最初の目的は、以下のように書かれている。


As originally worked out, the Confusion Technique was based upon the following items of procedure and employed primarily for the purposes of age regression before it was recognized as readily applicable to other hypnotic phenomena. 

当初、錯乱技法は、以下の手順の項目に基づいており、他の催眠現象に容易に適用できると認識される前に、主に年齢の退行の目的で使用されていた。

 
 もちろん、ここで年齢退行と書かれているが、先週何を食べた?のような軽いものまで入る。エリクソンはウィスコンシン大時代、たまたま校舎のカドでぶつかった人に『10 minute of 2.』とつぶやき、相手を混乱させたことから考察を始めている。

 それで、15項目の要件が書かれている。今日は、詳細に入らない。


1月31日の進捗、248ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 9.4%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.

The Confusion Technique in Hypnosis
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1964, 6, 183-207.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]https://ja.wikipedia.org/wiki/子子子子子子子子子子子子

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月30日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 30日目


                                                                                                                             
    ゆっくりでも前には進んでいる(笑)。

 <ひとりごと>



気がつけばはじめて1ヶ月

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、30日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。

《話題は日常の他愛もない経験》

 エリクソンのトランス誘導で面白いのは、日常の他愛もない経験についての話題、つまりコンテンツを使う。当然、クライアントの理解できない難しい概念とかは出てこない。また、空中戦にならないように要所要所で知覚の感覚に注意を向けるように促している。その意味、マインドフルネスを指向しているところがある。案外重要なポイントだ。

《コミュケーションの公理で読む》

  このあたりは、後にMRIのポール・ウォツラィックらにより体系化されるコミュケーションの公理[4]を当てて読むのも面白いだろう。エリクソンとスーという名前の女性の間の関係性はどのような関係か?どのようなメタ・メッセージが使われているのか?というような感じ。

 それで、気がつけば今年もほぼ1ヶ月が経過している。普通の本だったら1冊くらいの分量になるのだろうが、まだ 1/10も行ってない程度。まぁ、これはこれで面白い。


1月30日の進捗、240 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 9.1%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Watzlawick

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月29日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 29日目


                                                                                                                             
    ニコラ・テスラとミルトン・エリクソンを比較して読んで見る(笑)。

 <ひとりごと>



人類学者の視点の重要性

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、29日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。

寄り道は楽しい》

 さて、1日に読むペースを抑えるという意味で、ゆっくりと読んでいる。このよいところは、途中寄り道できることだろう。より道として、ニコラ・テスラの自著を読んでみた。[4] 「テスラ」は、現在、イーロン・マスク率いる電気自動車+自動運転の自動車メーカーとしてのほうが有名だ。が、この自動車メーカーの名前がニコラ・テスラから採られているのは周知の事実だ。要は、破壊的発明を指向する現代の起業家にとっても憧れの名前だということだろう。

《エリクソンとテスラの共通点》

 エリクソンとの共通点は、何か新しい気づきがあると体中に電気が走るようなところだ。例えば、エリクソンは数字の3とアルファベットの m の違いが分かった時、突然体中に電気が走ったようになった。また、テスラは発明のインスピレーションがやってくると同じように電気の走ったような状態になる。その意味では経験やアイディアの蓄積がある一定以上に達すると自然に無意識からのメッセージが届くようなところが見受けられる。

《エリクソンとの相違点》

 エリクソンとの相違点は、テスラは人間機械論を採っていたことだろう。要は人間は精密にできた単なる機械である、と考えていたことだ。もちろん、エリクソンは機械だとも言っていないし、生命を持った生き物だとも言っていない。しかし、ベイトソン達が第二次サイバネティクス[5][6]を当ててエリクソンの技法を観察したことを考えると、①クライアント個々人は生き物だ、②セラピストも生き物だ、③クライアントとセラピストの関係も生き物だ、④クライアントの人間関係も生き物だ、と考えていた節があるのは大きな違いだ。要は、システム論としてはオートポイエーシスで形式知化する必要があるという具合。

 また、エリクソンの場合は「海の物とも山の物ともつかない」催眠現象を観察する時に、ベイトソンが人類学的なやり方で観察するという方法を持ち込んだことだろう。だから、怪しい方向に流れずに単なる人類学的なやり方でエリクソンの技法あるいはクライアントの経験を記述することが出来たということになる。

《トランスクリプトも人類学的な手法で観察》

 それで、トランス誘導したエリクソンとクライアントの録音を後日、エリクソン、ヘイリー、ウィークランドの3人で色々議論している格好になっているのだが、3人とも人類学的な観察の手法を理解しているためか、全然怪しくない方法で淡々と進んでいくというのが面白いところだろう。その意味、エリクソンを理解するには人類学者の視点は重用だとことになる。[7] ある意味、不思議なことで盛り上がらずに淡々と進んでいく、エリクソン、ヘイリー、ウィークランドの議論をこれまた淡々と読んでいる自分がいるのもまた興味深いところであるのだろう(笑)。
 

1月29日の進捗、232 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 8.8%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]https://www.amazon.co.jp/dp/4880862975/
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/06/blog-post_27.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html
[7]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_8.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月28日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 28日目


                                                                                                                             
 一回目は、被験者の視点で、
 二回目は、エリクソンの視点で、
 三回目は、メタの視点で読む。

 一つのトランスクリプトは何回読んでもおいしい(笑)。

 <ひとりごと>



多重の視点から観察してみる

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、28日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。で、ちょっと気づいたことをメモしておく。もう一回この論文の最初から今日の分まで何回か読んでみた。で、以下。

《スケーリング・クエスチョンの原型》
 
  トランス誘導の途中で1から20までを順に、あるいは逆から、あるいは途中のいくつかをとばしてカウントしているところがある。ただ、よく読むと、単に数字を数えているというだけではなく、数字を心身状態の(デジタルな)インデックスとしてマッピングしていることに気づく。例えば、1は覚醒状態で、20は一番深いトランス状態といった感じ。スケーリング・クエスチョンの理屈については、このあたりで書いた。

《学習というキーワード》

 エリクソンの発した意味を持った言葉というのはこのあたりで書いたが、トランス誘導の途中で学習(learning)というのが頻繁に登場する。

《眠るという言葉のユーティライゼーション》

 そもそも、コンテンポラリーな催眠の理論では睡眠と催眠は違う概念ということになっているのはギリガンかザイクの著作で読んだ記憶がある。それで、その違いは明らかなのだがエリクソンは敢えて眠る(Sleeping)という言葉をユーティライゼーションとして使ってトランス誘導を行っている。

《様相演算子の使用》

 このあたりは、このへんで書いたけれど、エリクソンの言語パターンとして様相演算子が使われている。

《エリクソンは戦略的》

 戦略とは何か?についてはこのへんで書いたけれど、エリクソンはやはり今どうで、将来どうなりたいのか?を示唆するような感じでセッションを進めているのが分かる。

《状況に応じて声のトーンを変える》

 これはペーシング&リーディングの一貫でもあるのだろうが、エリクソンは状況に応じて声のトーンを変えている。

《付加疑問文を使う》

これは、抵抗を押さえたり、物事の両面に焦点を当てる意味があるのだろうが、言語パターンとして付加疑問文を使っている。これは、このあたりで書いた

《ダブルバインドに言及》

誘導部分でウィークランドがダブルバインドの言語パターンを指摘。エリクソンもこれに同意している。つまり、エリクソンもベイトソンのダブルバインドの論文には目を通している。たしか、この後のほうに統合失調症的ダブルバインドと治療的ダブルバインドについて書いた論文があったはず。これはこのあたりで書いた

《埋め込み命令を使用》

 誘導部分で埋め込み命令を使用。これは、このあたりで書いた

《後催眠暗示を確かめる質問》

 覚醒後、後催眠暗示を確かめる質問をしている。

読むと、何かしらアイディアが出てきて止まらなくなるので今日はこのへんまで(笑)。

1月28日の進捗、224 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 8.5%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月27日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 27日目


                                                                                                                             
 ミイラ取りがミイラになってはいけない(笑)。

 メタの視点で観察せよ。

 <ひとりごと>



観察者の視点と二重(多重)記述は大事だなぁ

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、27日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。

 ひたすらトランス誘導のトランスクリプトを読む。人類学者の視点で読む(笑)。

   で、わかるのはここでも書いたが、エリクソンは30分から1時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりペーシング&リーディンでトランス誘導していること。

 さて、ここで、なぜヘイリーとウィークランドがこの誘導のディスカッション相手なのか?を考えてみる。ヘイリーは学士はUCLAで演劇を専攻、その後役者を目指すが断念、その後UCバークレーで司書学の学士、スタンフォードでコミュケーション学の修士号を取得というある意味心理療法にはあまり関係ないことを学んでいる変わり種。[4] 

 一方、ウィークランドはと言えば、コーネル大学の化学工学の学士を飛び級で取得するほどの秀才、デュポンに就職するがベイトソンに出会って、コロンビア大学に戻り人類学を研究、後にスタンフォード・メディカル・スクールで行動科学を教えることになるが、これまた心理療法とはあまり関係ないことを学んでいる変わり種ということになる。

 で、すでにベイトソンの配下にはあったわけだけれど、ベイトソンは敢えて、心理学や従来の心理療法の色がついていない人間にエリクソンを会わせて、従来の経験に囚われないやり方で二重記述したかったのではないか?と個人的には推測している。日本語だと「三人寄れば文殊の知恵」的な感じになるだろう。少なくとも考えは深まる。

 もちろん、事実はきちんと観察しなければならない、しかし、催眠、催眠みたいなつまらない現象で盛り上がって「ミイラ取りがミイラになる」というのではまずいのだろう。

 その意味、ベイトソンたちMRIの人たちはこういった現象を観察するために、ワンウェイ・マジックミラーを使いメタの視点から記述することを重視していたようなところがあるところに符号している。[5]

   また、エリクソン自身が心理療法には人類学を、人類学者には心理療法をそれぞれ学ぶように勧めていた話は書いた。[6]  もちろん、これは海の物とも山の物ともつかない現象なり事物を記述するには役に立つだろう。要は「幽霊は居るのか?」を学問の対象にするのは難しいけれど、「幽霊を信じていたその時代の人たちの生活にどのような影響を与えていたのか?」は学問の対象となるという具合だ。もちろん、ここでは「催眠はあるのか?」というより「催眠現象がその人のコミュケーションにどのような影響を与えるのか?」のような観点から観察されることになる。

 何れにしても、たかだがトランス誘導のトランスクリプトを読んでいるだけだけれど、周辺のことを色々考えると、仕事でも日常生活でも現象をメタの視点で眺めてみることの重要さは分かってくる。
 

1月27日の進捗、216 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 8.2%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_31.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_11.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_8.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
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2017年1月26日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 26日目


                                                                                                                             
 あたまを使わずに、淡々とトランスクリプトを読む(笑)。

 <ひとりごと>



淡々と読む

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、26日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。淡々とトランスクリプトを読む。ただそれだけ。


1月26日の進捗、208 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 7.9%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月25日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 25日目


                                                                                                                             
     エリクソンの研究が飛躍的に進んだのはサイバネティクスを補助線にしたから。

 <ひとりごと>



トランス誘導はコミュケーションの形態のひとつ

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、25日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   さて、この前に少し時系列的なマイルストーンを整理しておきたい。


1941年    メーシー会議がはじめて開催される(1960年代まで続く)[4]
1942年5月 米国サイバネティクス学会にてエリクソンが講演を行う
1945年8月 第二次大戦、ポツダム宣言受け入れ
1950年    朝鮮戦争勃発
1956年     ベイトソン、ダブルバインド仮説「Toward the theory of schizophrenia」
                        ●当該論文の実験が実施される、後日解説を録音
1957年        The American Society of Clinical Hypnosis 設立
1959年           カリフォルニア州パロアルトにMRI (Mental Research Institute)が設立
                        ●当該論文がThe American Journal of Clinical Hypnosis へ掲載

 
   まず、個人的に気になるのは、この実証実験に誰がお金を出しているか?

 お財布はメーシー財団が持っていて、スタンフォード大が運営事務局、実際に検証の主体はパロアルトの退役軍人病院となっている。MRIが設立されるのが1959年となるので、それ以降はMRIに引き継がれる形式になる。

 また、誰がかかわったのか?

 エリクソン、ヘイリー、ウィークランドの3人。エリクソンは医学博士、精神科医だが、ヘイリーは学士で演劇、修士で司書学とコミュケーションを治めたある意味心理療法家としては素人の状態でこの検証に参加。ウィークランドは後にスティーブ・ド・シェーザ−と交流しソリューション・フォーカスト・アプローチの成立に影響を与えることになるが元々の専攻は人類学である意味ウィークランドも心理療法家としては素人だ。もちろん、米国なので心理学と言えばまずはウィリアム・ジェームズの影響が大きいのだろうが、全世界的に見ると、フロイトだのユングだのという時代なのだろうから、ある意味そういった先入観なしに研究を始めたというのが一つのポイントであるとも言えるのだろう。

 また、ヘイリーとウィークランドは共にベイトソン・グループのメンバーであり、この時の研究の道具立ては「第二次サイバネティクス」を使ってコミュケーションを観察する格好になっている。繰り返しになるが、精神分析のようなことをやっていないことが一つのポイントということになるのだろう。

    やっていることは、腕浮遊のトランス誘導で、言語的に難しいことは一切やっていないので非常に単純だ。ただ、ここにサイバネティクスを補助線として当て、トランス誘導をコミュケーションの形態の一つとして研究を始めたことがまずは大きな一歩であったのは間違いないのだろう。


1月25日の進捗、200 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 7.6%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]https://en.wikipedia.org/wiki/Macy_conferences

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月24日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 24日目


                                                                                                                             
 不都合なこと何もない、ゴール達成へ向けて利用できる何かがあるだけだ(笑)。

 <ひとりごと>



利用アプローチ(つづき)

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、24日目の進捗などを書いておきたい。

 昨日の続きの、「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」から。一般的なユーティライゼーションについてはギリガンを引いてこのへんで書いたが、あわせて読むと面白い。

 14こ目の事例は、『ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>』[2]でもお馴染みのモーという名前の70歳のおばあさん。もちろん、元ネタはこの論文。14歳で嫁に行ったこのおばあさんは、今でも読み書きができない。これまで下宿させていた学校の先生が束になって字を教えようとしたり、子どもたちが字を教えようとしたが何れも失敗。ミルトン・エリクソンがトランス状態とユーティライゼーションを使い3週間ほどで字を覚えようというきっかけをつくることに成功する。80歳で亡くなるまで、本を読み、孫に手紙を書くことを楽しみにして暮した。

 15こ目の事例は、9歳の女の子。学校での読み書きができず、友達との遊びでもお手玉、なわとび、自転車に乗ることができず登校拒否、引篭りになってしまう。そこで、エリクソンが往診することになる。エリクソンは一緒に遊ぶことからはじめる。最後はエリクソンが不自由な足でこぐ自転車と競争し勝つまでになる。・・・・最後は学校へもどり、優秀な成績を取るようになる。細かい成功体験を積み重ねる重要性を説いている話でもある。

 16こ目の事例は、病院でインターンを行う看護学生の話。エリクソンが授業の一貫としてこの学生にトランス誘導を行うことになる。最初怒りを表明していたが、ユーティライゼーション技法をつかってこの学生をトランス状態に導く。

 以前、エリクソニアンのヤプコの比較表を引いて、古典、学術催眠、エリクソニアンの3つを比較した。あまり大きな声では言えないが、ここまで論文を読んでみると、エリソン自身は古典催眠は一切使っていないし勉強もしていないことが分かる。ウィスコンシン大学の時に行った表の真ん中の学術催眠を実験、研究しその課題を解決するために編み出すために生み出したのが右側のエリクソニアンなスタイルの催眠だということだ。これが分かると、以前、エリクソンが後援で言っていた『臨床催眠家を目指すならステージ催眠術師を先生にするな』の意図がよくわかってくることになる。


1月24日の進捗、192 ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 7.3%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion


Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1959, 2, 3-21. 



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/05/blog-post_13.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月23日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 23日目


                                                                                                                             
 よい出来事も悪い出来事も変化するきっかけにはなる。

 <ひとりごと>



利用アプローチ(つづき)

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、23日目の進捗などを書いておきたい。

 昨日の続きの、「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」から。

 8つ目の事例。20歳の心理学を専攻する女性X。被験者としても催眠のオペレーターとしても実験に参加しているが、自分自身はどうしてもトランス状態に入ることができない。そこで、最後の手段として友人A、Bとエリクソンのもとを訪れる。エリクソンはA、Bがトランスに入っているところをXに観察させ、いくかの質問をする。結果、トランス状態の本質を理解し、その後トランス状態に入れるようになる。要はモデリング。

 9つ目の事例。25歳の男性の話。自分は催眠にはかからないと宣言。1回目のセッションでエリクソンは1時間ほどかけてトランス状態に導くが、その様子をすべて記憶しており完全に無駄な時間を過ごした、次の約束がある、と怒って帰ってしまう。ところがその日、家に帰って車に乗っていることに気づくとその約束で人と合ったのかすっぽかしたのか?記憶がとんでしまっていることに気づく。エリクソン2回目のセッションでその約束は守ったことを思いだす。で、エリクソンは男性のクレームをユーティライゼーションしましたね、という話。

 10こ目の事例。エリクソンの講義とデモを邪魔する生徒の話。エリクソンはこの言動を利用した。


 11こ目の事例。これは『ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>』に載っていた息子のアランが瓶で大怪我をする話。怪我をしてパニクっているのをユーティライゼーションで対処したお話。

 12こ目の事例。娘のロクサンナが小さい頃の話。泣きながら家に駆け込んだが、膝を擦りむいていたがたいした怪我ではない。要は、母親が子どもに、いたいのいたいのとんでけーと行ったような話。

 13こ目の事例。交通事故にあった7歳のロバートの話。悪夢を見る。エリクソンはこの悪夢を利用してぐっすり眠れるようにユーティライゼーションを使う。



1月23日の進捗、184ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 6.9%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion


Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1959, 2, 3-21. 



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月22日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 22日目


                                                                                                                             
 エリクソンの心理療法はJAZZ(笑)。

 <ひとりごと>



利用アプローチ(つづき)

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、22日目の進捗などを書いておきたい。

 昨日の続きの、「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」から。

 理解を助けるために、エリクソンの論文を縦糸、エリクソニアンの論文、著作を横糸として読み込んでみると面白い。例えば、エリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances」[2]の中にエリクソン的なトランス誘導のまとめがある。もちろん、エリクソンは形式知を残していないが、こういった枠組みを補助線として当ててみると理解が進むのも確かなところだ。ユーティライゼーションを使ったトランス誘導について以下を考えてみる。


エリクソントランス誘導のプロセス

1.種々の外的刺激でペーシング&リーディング
    ↓
2.外的刺激に(注意を)固定するようにリード
 ↓
3.被験者の知覚(五感)の経験を含むコメント
 ↓
4.被験者を内的世界へ方向付ける(イメージ、記憶)


 
 やっていることはクライアントがエリザベス・ムーア・エリクソンの自己催眠と同じプロセスでトランス状態に入ることを支援している形式になっていることが分かる。もちろん、トランス誘導ができたからといって認識や行動に変化が起こるわけではない。[3]

 またユーティライゼーションをつかったトランス誘導のポイントは以下となっている。

エリクソン派トランス誘導の重要なポイント

1.誘導の基本として被験者の現実(経験、現在の反応)を利用する。
2.直接的な注意に熱中できるような質問を使う。
3.鍵となるアイディアを発展させ誘導するために実験的なデモンストレーションを使う。
4.トランス状態になるために実際知覚された記憶を使う。
5.特定のデモ、物語から一般的な(枠組み、一般的反応)に行き特定のことに戻る。
6.最初の反応を利用して次の反応を引き出す。
7.様々なことを関連付ける
8.どれをやろうか?ではなくどのようにやろうかに焦点を当てる。
9.無意識が自律的かつ知的に動作することができる安全な学習環境としてのトランスに関するアイデアを頻繁に散りばめる。
10.トランス現象を自然主義的なプロセスと位置づける。
11.自然に、間(ま)、沈黙を使う。
12.トランスをデリバーするやり方を定期的にシフトする(素早い混乱、リッラクスに導くためにゆっくり優しく、分離に焦点を当てる)
13.意識の関与を少なくするために混乱技法を使う。
14.一般化された方向付けと許容的アプローチ。



  さて、論文に戻る。


  3つ目の事例。これは比較的な有名な事例。クライアントは30代の男性。椅子に座らずに歩き回っており、人の話も聞かない。精神科を訪れると恐怖を感じている。他の精神科では睡眠薬を処方される。こういったクライアントがエリクソンのもとを訪れる。エリクソンは、このウロウロと歩きまわることをユーティライゼーションとしてい活用し、クライアントを椅子に座らせる・・・・という話。上のギリガンの誘導のポイントのどこが該当するのか?を意識しながら読むと面白い。

4つめの事例。性別や年齢は明らかにされていないが難事例。3年ほど他で心理療法を受けたが何の効果もなく、時間の無駄だったと訴えているクライアントにユーティライゼーションを行った例。具体的な対話のやり取りが記載されている。

5つ目の事例。エリクソンが大学で公演した時の話。催眠のデモを行おうとした時に学生が被験者として名乗りでた。以前、催眠をかけられて極軽いトランス状態になったことはあったがそれは満足いくものではなく、本人は催眠にはかからないと思っている。エリクソンはこの学生にユーティライゼーションの技法を使用して深い催眠に導く。

6つ目の事例。一般的な話として、エリクソンは、意識、無意識、トランスなどの用語をそれぞれの教育水準にあわせてきちんと説明する重要性を説く。もちろん、こういった用語の定義や先入観、誤解などもユーティライゼーションに利用できることを指摘している。

7つ目の事例。一人は、催眠の有効性に疑いを持っている人。もう一人は催眠を睡眠と勘違いしている人についてユーティライゼーションを使う。途中、トランスクリプトあり。最初に書いたギリガンの4つのプロセスどおりに催眠導入が進む。



1月22日の進捗、176ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 6.7%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion


Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1959, 2, 3-21. 



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://www.amazon.co.jp/dp/B00DL1Q7M0/
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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ミルトン・エリクソン論文全集を読む 21日目


                                                                                                                             
 エリクソンの文章はすげーロジカル(笑)。

 <ひとりごと>



利用アプローチ

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、21日目の進捗などを書いておきたい。

昨日の「Naturalistic Techniques of Hypnosis」の続きから。

5番目の事例から。内容はおねしょが治らない8歳の少年。この事例で面白いのは両親が教会で神頼みのようなことをしていること。それで、効果がなかったので藁をもつかむ思いでエリクソンのところに連れてこられる。で、エリクソンは少年に治療をほどこし18ヶ月後にはおねしょが治る。少年をトランス状態に導き、具体的にどのような示唆が行われたのかはあまり具体的に書かれていない。

6番目の事例は、いつも指をしゃぶっている16歳の女子高生の話。これも両親がこまって最後は教会で神頼み。でも効果なし。やはり藁をもつかむ思いでエリクソンのもとを訪れる。エリクソンは彼女をトランス状態にし逆説的介入を実施し、ある行動指示を行う。その後、約4週間で指をしゃぶる習慣はなくなった。

 この論文では、重要なことはクライアント一人ひとりの状況や個性にあわせてトランス誘導を行うことだ、と結論づけられている。

 二本目は、「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」というタイトルの論文。これはエリクソンのトランス誘導における利用アプローチを示している。要点は、セラピストはクライアントを受け入れ、そして協力関係を構築すること、そして、時にはパラドクス的な利用アプローチを行うということになる。

 1番目の事例は、男性のクライアントで様々な流派の心理療法を受けるが効果がなかった事例。この場合催眠も経験しているがどれも神秘主義的なへんてこなやり方であったと書かれている。エリクソンはもう少し催眠の背景なり、怪しくない合理的な説明を行い、インテリジェントなやり方でこのクライアントに対して催眠を採用するようなやり方をしている。あんまり細かい方法は書いてないがおおよその方向性はよく分かる。



1月21日の進捗、168ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 6.3%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Naturalistic Techniques of Hypnosis Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1958, 1, 3-8.

Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1959, 2, 3-21. 






(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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2017年1月20日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 20日目


                                                                                                                             
 だんだん、面白くなってきた(笑)。

 <ひとりごと>



自然主義アプローチ

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、20日目の進捗などを書いておきたい。

 ある意味、これが砂時計のように1年の経過を知らせる指標になりつつあるが、既に1年の1/20は経過していることになっているようだ。

   さて、今日は、「Deep Hypnosis and Its induction」というタイトルで1952年に Experimental Hypnosis に投稿された論文の続きから。

 基本的には「リハーサル法」の別のバリエーション、そして「多重分離」の方法、そして「後催眠の技法」が語られている。リハーサル法は、トランス中の経験に聴覚、視覚などの感覚をリハーサルとして加えてみるような手法。ただし、エリクソンはクライアントをある程度深いレベルのトランス誘導を行ってこれを行う。多重分離は、推奨に自分の経験をイメージするなどしてクライアントをメタ認知させるような手法となる。後催眠技法は、トランスを覚醒後の行動に結びつけるような技法。

   このあたりの感想。エリクソンについての技法だけなら「Ericksonian Approaches」を読めばよいだろう。例えば、エリクソンの活用していたトランス誘導を網羅したパターンとトランスクリプトの例が掲載されている。逆に、なぜ「Collected Papers」を読むのか?ということになるのだが、読み比べてみるとよくわかるのは、「Collected Papers」はエリクソン自身が書いていたり、あるいはエリクソンの口述をアーネスト・ロッシが文章におとしていて、文章にエリクソンの息遣いが感じられるということがあげられるだろう。

 つまり、実験やクライアントとの事例を通してエリクソン自身が何を考えたのか?それが伝わってくるのが大きな違い、ということになるだろう。

 もう一つの論文は、「Naturalistic Techniques of Hypnosis」。要は、エリクソンの自然な技法の説明ということになる。これは通常のトランス誘導が形式張って、儀式的な手順で行われるのに対して、状況を、心理学的な構造を分析することなしに、受容し利用しようというアプローチということになる。要は、ユーティライゼーションということになる。今日、読んだところまでだと、この技法を使った4つの事例が紹介されている。



1月20日の進捗、160ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 6.0%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Deep Hypnosis and Its Induction
Milton H. EricksonReprinted with permission from Experimental Hypnosis, Leslie M. LeCron (editor). New York, Macmillan, 1952, pp. 70-114. Copyright 1952 by Leslie M. LeCron.

NaturalisticTechniques of Hypnosis Milton H. EricksonReprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1958, 1, 3-8.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

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