2017年1月15日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 15日目


                                                                                                                             
 他人をあれこれ催眠にかけるとか言う前に、

 武道の達人ではないけれど、自分がまず自己催眠の状態で、

 意識-無意識が通じたよい心身状態を開発しないと、お話にならないのだよねぇ(笑)。
 
 <ひとりごと>



なぜエリクソンの相方がロッシなのか段々分かってくる

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、15日目の進捗などを書いておきたい。

   今日は、昨日の続き。エリクソンが70-74歳、ほぼ晩年の時期、心理療法家のアーネスト・ロッシ相手に自身の体験と自己催眠を語るくだりの続きだ。

 《痛みのコントロール》

 の続き。エリクソンは、17歳および51歳の時の2回小児麻痺にかかる。そのため、エリクソンは背中、腕など身体のあちらこちらに痛みを抱えている。この痛みをコントロールするために自己催眠(Autohypnosis)を自分なりに編み出す。ここで Self-Hypnosis としていないところを考えると案外深い。エリクソンは、自己催眠状態での「分離」と「気のそらし」によって自身の痛みを低減できることを発見する。

 余談だが、ここでエリクソンの妻のエリザベス・ムーア・エリクソン(ベティ・エリクソン)が登場し、無意識について聞かれて興味深いことを発言している。エリザベスによれば《無意識は無謬ではない》ことを示唆していることが興味深い。


EE: The unconscious may know more than the conscious mind, and should be left to develop its own learnings without interference, but it’s not always plain sailing, and it may go about things in the wrong way.

エリザベス・エリクソン:無意識は、意識よりも多くのことを知っているかもしれませんし、干渉なしで独自の学習を発展させるべきですが、無意識は必ずしもトントン拍子に物事を運ぶわけではなく、間違った方法で事態を起こすかもしれません。


《痛みに対する、気のそらし、置き換え、再解釈》

 エリクソンはロッシの質問に答えている。通常の睡眠状態になると通常の催眠状態を消滅させる。よって、痛みのコントロールについては朝起きるまでその催眠状態が続くように示唆しなければならない。また、エリクソンが自分の痛みをコントロールできる方法はベッドに座り椅子を引き寄せて、いすの背もたれにノドを当て自分で痛みを起こすこと。そして他の痛みではなく自分でコントロールできるこのノドの痛みに焦点を当てることだ、といっている。つまり、自分でコントロールできる痛みを発生させ、ここに(知覚)の注意を集中させることだ、と述べている。

 また、置き換えについて、エリクソンは肩の間接の痛みを「真っ赤に燃えた鋼鉄のワイヤーが背中に乗っている」と想像する。と述べている。要は、痛みを何かにメタファーなりシンボルにマッピングすることで再解釈する方法を採っている。これで、肩の間接の痛みは少しは楽になると述べている。余談だが、このあたりはエリクソンのメタファーの技法がどのように機能するのか?を理解していないと何を言っているのか理解不能なのかもしれない。しかし、メタファーを活用して痛みをリフレーミングしている格好になっているのは明らかだ。[2]

《子どもの頃の記憶を使って現在の痛みを置き換える》

  簡単にいうと、子どもの頃経験した、視覚、聴覚、感覚+運動感覚に関連した気持ちのよい経験を資源・資質として現在に持ち込むという方法を提案している。エリクソンは自分自身のことを視覚タイプだと述べており、子どものころ経験した視覚に紐付いた気持ちのよい感覚の記憶を現在に持ち込んでいる格好になっている。

《傷ついた医師》

 エリクソンは、17歳と51歳の時に2回小児麻痺にかかる。エリクソンは右手が麻痺し左手で書くことを学んだことを語っている。また、51歳の時に罹患しまた右手にペンを持ったまま左手を添えながら書くと語っている。このような状況の中でもエリクソンは無意識に任せているところがある。エリクソンが語っているのは、困った時には自己催眠に入って「 ‘Unconscious, do your stuff.’ (無意識よ、君の力量を発揮してみたまえ)」と呪文めいたことを唱えていると語っている。これからするとエリクソンは人生の困難な場面でも案外、達観した視点で眺めていることが分かる。また、エリクソンが傷ついた自分を患者の実験台としてまず治すことがエリクソンの原型になっているとロッシが語っている。

《自己催眠中に恐怖を感じたら》

 ロッシはエリクソンに自己催眠を試してみたことを報告する。しかし、催眠中に多少の恐怖を感じてしまい、催眠状態が十分できなかったことを報告する。これに対して、エリクソンは自然主義アプローチの点から、特に「分離」の状態を上手く開発するためのアドバイスを行う。例えば、一本一本の指の感覚を分離して違ったものとして感じような練習である。(自律訓練法と比べると焦点を当てる知覚の範囲はチャンクが小さくて鋭い、感じ)意識が無意識をコントロールすることは出来ないが、自己催眠は意識から無意識へ何らかの影響を及ぼす技法である。この技法の一つが自己催眠で、「分離」を開発すること。

《自己催眠によって行動を豊にする》

 自己催眠は、知覚、認識、行動に柔軟性をもたらす。

《自己催眠における自己分析と記憶》

   エリクソンは自己催眠を行う時、静かな部屋に座って一人で(≠集団)行い何かをやりながら行わないように告げている。無意識はやる必要のあることを告げてくる、また無意識は時間が分からないため目覚ましをセットしておいてもよい、と語っている。

 ロッシが思い出したいことで忘れていることを思いだすことに自己催眠は使えるか?例えばどこにしまったか忘れた書類の置き場所、の問いにエリクソンはそれは可能だと答えている。

・・・・・・・


1月15日の進捗、120ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 4.5%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Autohypnotic Experiences of Milton H. Erickson Milton H. Erickson and Ernest L. Rossi Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July. 1977, 20, 36-54.

エリクソンとロッシの対話が中々よい。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4.html

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