2017年1月16日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 16日目


                                                                                                                             
 理系の論文に比べると、エッセーみたいで案外気楽に読めるなぁ(笑)。

 <ひとりごと>



ロッシの論文の次は腕浮遊トランス誘導

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、16日目の進捗などを書いておきたい。

   今日は、昨日の続き。エリクソンが70-74歳、ほぼ晩年の時期、心理療法家のアーネスト・ロッシ相手に自身の体験と自己催眠を語るくだりの続きから。

《実験中に涅槃静寂を経験する》

 エリクソンがKという名前の女性と催眠の実験中、エリクソン自身がNirvana(涅槃静寂)の境地を経験したことを語っている。エリクソンが自分に対して色々な実験を行う過程でこのような心身状態を経験したことになる。感覚が切り離されて宙に浮かんでいる経験は非常に気持がよかったと語っている。ただし、どのようなプロセスや技法でこの心身状態が再現できるか?については語られていない。

《まとめの議論にはいる》

 1923年にエリクソンがウィスコンシン大学時代にクラーク・ハル博士の元で催眠の研究を始めたきっかけは幼少 3 とm の区別がつかず、突然区別がついた学習の経験に基づいている。これが自己催眠による変性意識下による学習と捉えている。また、エリクソンは17歳でかかった小児麻痺からくる麻痺と痛み経験から、催眠とは過去の経験における知覚についての記憶を再構成する学習だと考える。これにより麻痺と痛みに対処する。また、エリクソンは催眠に入るために何でも周りの状況や出来事を利用する利用(Utilization)アプローチでトランス状態に入る、あるいは導くようになる。その意味ではエリクソンの催眠の技法は、初期の学習障害、青年になっての麻痺や痛みに対処する必要性から始まっている。

   さて、エリクソンは自分の経験からBernheim. H. (1895)によって提唱された「催眠は言葉による暗示」という概念から、催眠は実際の知覚に関する記憶の再構成だと考えるようになる。

 また、エリクソンは意識は無意識をコントロールできないと主張している。しかし、自己催眠を行うにはある程度コントロールを行う必要がある。エリクソンはこの矛盾を解決する方法を語っている。結局、意識は無意識が自己催眠に入る環境を整えることができるだけだと語っている。結局、エリクソンの自己催眠は今日で言うマインドフルネス瞑想のようなことを行っていることが分かる。

ここで、ロッシとの論文は読了。ここから別の論文

《後半は腕浮遊などの技法》

1961年に The American Journal of Clinical Hypnosisに掲載された論文。実際には腕浮遊などの観念運動を利用した催眠誘導の技法についての説明。4ページの短い論文だが要点は以下だ。


The actual technique is relatively simple.

実際の(腕浮遊などの観念運動を利用した)技法は比較的容易だ。

The explanation is offered to the subject that an affirmative or a negative answer can be given by a simple nod or shake of the head.

被験者に Yes、No、で答える質問をする、Yesの場合はうなずく、No.の場合は顔を横にふるように説明する。

Also, it is explained that thinking can be done separately and independently by both the conscious and unconscious mind, but that such thinking need not necessarily be in agreement.

さらに、(YesにするかNoにするかの)思考は意識、無意識の心で独自にあるいは別々に行うことができる、しかし、必ずしも(意識、無意識)で合意している必要はない。

This is followed by asking some question phrased to require an answer independent of what the subject may be thinking consciously.

これに続いて、被験者が意識的に答えるような質問に独立して答えるように要求されるだろう。

Such a question is, “Does your unconscious mind think you will learn to go into a trance?”

この質問は例えば「あなたの無意識はあなたがトランスに入ることを学習することについて考えていますか?」

 After being asked this type of question, the subject is told to await patiently and passively the answering head movement, which will constitute the answer of his “unconscious mind.”

 この種の質問の後で、被験者は我慢強、受動的に頭の動きで答えることを待ちます、これが「無意識」の答えを構成することになる。

 A rapid or forceful response signifies a “conscious mind” reply.

 迅速な応答、もしくは強力な応答は「意識」の応答を意味する。

 A slow, gentle head movement, sometimes not perceived by the subject, constitutes a direct communication from the “unconscious mind.”

ゆっくりとした頭の動きは、時々被験者によって認識されず、「無意識の心」からの直接的なコミュニケーションを構成する。

 With the response catalepsy develops, and a trance state ensues rapidly.

 応答によってカタレプシー(硬直)が開発され、そしてトランス状態が急速に起こる。



これだけ読んでいると一体何なのか分からないところもあるが、意識-無意識という心を想定して認識の中でその2つ心の間の矛盾なりパラドクスなりを上手く利用してトランス状態に誘導する方法が示されている。



1月16日の進捗、128ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 4.8%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Autohypnotic Experiences of Milton H. Erickson Milton H. Erickson and Ernest L. Rossi Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July. 1977, 20, 36-54.

読了。

Historical Note on the Hand Levitation and Other IdeomotorTechniquesMilton H. EricksonReprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January 1961, 3, 196-199.

最初にエリクソンが腕浮遊の技法を使ったのは、1923年のウィスコンシン大学時代の催眠実験。4ページほどの短い論文だが、観念運動(イメージするとそれにあわせて身体の動きが発生する)を使ってトランス状態に導入する方法が示されている。



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

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