2017年1月31日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 31日目


                                                                                                                            
  混乱も使いようによっては悪いことではない(笑)。

 <ひとりごと>



混乱技法について

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、31日目の進捗などを書いておきたい。

  今回は、「Transcript of Trance Induction with Commentary」という内容。要は、ミルトン・エリクソンがスーという女性に行った催眠誘導の内容を後日ジェイ・ヘイリー[2]とジョン・ウィークランド[3]とミルトン・エリクソンに解説を求めるというもの。この誘導も解説も録音されている。

   で、昨日のつづき。

《結局この論文の目的は何だったのか?》

 結論を示すキーワードは以下の2つ

  • 自然発生的な(spontaneous )
  • 計画されないトランス誘導(unplanned hypnotic induction )

 あまり大きな声では言えないがエリクソンは古典催眠はまったく使っていない。つまり、エリクソンの技法は、ウィスコンシン大学時代の学術的な催眠から始まって、エリクソニアン的な技法を開発していく、というのがミルトン・エリクソンの背景にある大きな物語ということになる。つまり、ギリガンの比較表、あるいはヤプコの比較表の真ん中から出発して右側のアプローチを発見していく、というのがエリクソンの論文の大きなプロットとなる。

 それで、エリクソンはトランス状態を、誰もが日常で経験している心身状態のひとつと定義した。それで、これを自然発生的に引き出す支援をするのがエリクソンのトランス誘導ということになる。つまり、これが「自然発生的な」ということになる。要は、エリクソニアンな技法ではセラピストがクライアントが日常経験している(問題解決に適した)心身状態を引き出すお手伝いをするのがそのひとつとなる。これは、このあたりで書いたが、要はクライアントの情緒的雰囲気を変えるだけということになる。だから、トランス誘導に不思議なことを求めてはならない。

 もう一つは「計画されないトランス誘導」。これは決められたトランスクリプトを読んで終わり、というのではなく、クライアントの言動をよく観察しながら、それを利用し、即興的に対処するのがエリクソンのやり方ということになる。

 余談だが、エリクソンの討論相手として、ジェイ・ヘイリーとジョン・ウィークランドがいい味を出している感じになっている。その意味、ヘイリーは後にエリクソンの技法を戦略的家族療法として体系化することになるし、ウィークランドはエリクソンの技法をコミュケーションのやり取りに還元してMRIの短期療法を体系化し、ソリューション・フォーカスト・アプローチのスティーブ・ド・シェザーに影響を与えることになるが、ここでの彼らは準主役として登場ということになっている。

《次の論文は混乱技法》

 次の論文は、「The Confusion Technique in Hypnosis」というタイトルの混乱技法について書かれた論文。

 簡単に言うと、落語『時そば』のような認知を混乱させる話だが、以下の視点から読み込みたい。

  • そもそも「混乱」とは何か?
  • 「混乱技法」とは何か?
  • その目的は何か?
  • その他、諸々
 混乱技法は主に2つの技法に分けられる。一つは「言葉遊び」のような形式。もう一つは「パントマイム」のような非言語のジェスチャーによる形式。言葉遊びだと日本だと嵯峨天皇のつくったとされる「子子子子子子子子子子子子」[4](ねこのここねこ ししのここじし)のような話者は理解しても聞き手は混乱した形式になる。それで、エリクソンは左手を失った人に対して「Right(hand) is left.」のような混乱技法を使う。

 で、最初の目的は、以下のように書かれている。


As originally worked out, the Confusion Technique was based upon the following items of procedure and employed primarily for the purposes of age regression before it was recognized as readily applicable to other hypnotic phenomena. 

当初、錯乱技法は、以下の手順の項目に基づいており、他の催眠現象に容易に適用できると認識される前に、主に年齢の退行の目的で使用されていた。

 
 もちろん、ここで年齢退行と書かれているが、先週何を食べた?のような軽いものまで入る。エリクソンはウィスコンシン大時代、たまたま校舎のカドでぶつかった人に『10 minute of 2.』とつぶやき、相手を混乱させたことから考察を始めている。

 それで、15項目の要件が書かれている。今日は、詳細に入らない。


1月31日の進捗、248ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 9.4%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Transcript of a Trance Induction With Commentary
Milton H. Erickson, Jay Haley, and John H. Weakland Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1959, 2, 49-84.

The Confusion Technique in Hypnosis
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1964, 6, 183-207.




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/Jay_Haley
[3]https://en.wikipedia.org/wiki/John_Weakland
[4]https://ja.wikipedia.org/wiki/子子子子子子子子子子子子

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