2017年1月22日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 22日目


                                                                                                                             
 エリクソンの心理療法はJAZZ(笑)。

 <ひとりごと>



利用アプローチ(つづき)

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、22日目の進捗などを書いておきたい。

 昨日の続きの、「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」から。

 理解を助けるために、エリクソンの論文を縦糸、エリクソニアンの論文、著作を横糸として読み込んでみると面白い。例えば、エリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances」[2]の中にエリクソン的なトランス誘導のまとめがある。もちろん、エリクソンは形式知を残していないが、こういった枠組みを補助線として当ててみると理解が進むのも確かなところだ。ユーティライゼーションを使ったトランス誘導について以下を考えてみる。


エリクソントランス誘導のプロセス

1.種々の外的刺激でペーシング&リーディング
    ↓
2.外的刺激に(注意を)固定するようにリード
 ↓
3.被験者の知覚(五感)の経験を含むコメント
 ↓
4.被験者を内的世界へ方向付ける(イメージ、記憶)


 
 やっていることはクライアントがエリザベス・ムーア・エリクソンの自己催眠と同じプロセスでトランス状態に入ることを支援している形式になっていることが分かる。もちろん、トランス誘導ができたからといって認識や行動に変化が起こるわけではない。[3]

 またユーティライゼーションをつかったトランス誘導のポイントは以下となっている。

エリクソン派トランス誘導の重要なポイント

1.誘導の基本として被験者の現実(経験、現在の反応)を利用する。
2.直接的な注意に熱中できるような質問を使う。
3.鍵となるアイディアを発展させ誘導するために実験的なデモンストレーションを使う。
4.トランス状態になるために実際知覚された記憶を使う。
5.特定のデモ、物語から一般的な(枠組み、一般的反応)に行き特定のことに戻る。
6.最初の反応を利用して次の反応を引き出す。
7.様々なことを関連付ける
8.どれをやろうか?ではなくどのようにやろうかに焦点を当てる。
9.無意識が自律的かつ知的に動作することができる安全な学習環境としてのトランスに関するアイデアを頻繁に散りばめる。
10.トランス現象を自然主義的なプロセスと位置づける。
11.自然に、間(ま)、沈黙を使う。
12.トランスをデリバーするやり方を定期的にシフトする(素早い混乱、リッラクスに導くためにゆっくり優しく、分離に焦点を当てる)
13.意識の関与を少なくするために混乱技法を使う。
14.一般化された方向付けと許容的アプローチ。



  さて、論文に戻る。


  3つ目の事例。これは比較的な有名な事例。クライアントは30代の男性。椅子に座らずに歩き回っており、人の話も聞かない。精神科を訪れると恐怖を感じている。他の精神科では睡眠薬を処方される。こういったクライアントがエリクソンのもとを訪れる。エリクソンは、このウロウロと歩きまわることをユーティライゼーションとしてい活用し、クライアントを椅子に座らせる・・・・という話。上のギリガンの誘導のポイントのどこが該当するのか?を意識しながら読むと面白い。

4つめの事例。性別や年齢は明らかにされていないが難事例。3年ほど他で心理療法を受けたが何の効果もなく、時間の無駄だったと訴えているクライアントにユーティライゼーションを行った例。具体的な対話のやり取りが記載されている。

5つ目の事例。エリクソンが大学で公演した時の話。催眠のデモを行おうとした時に学生が被験者として名乗りでた。以前、催眠をかけられて極軽いトランス状態になったことはあったがそれは満足いくものではなく、本人は催眠にはかからないと思っている。エリクソンはこの学生にユーティライゼーションの技法を使用して深い催眠に導く。

6つ目の事例。一般的な話として、エリクソンは、意識、無意識、トランスなどの用語をそれぞれの教育水準にあわせてきちんと説明する重要性を説く。もちろん、こういった用語の定義や先入観、誤解などもユーティライゼーションに利用できることを指摘している。

7つ目の事例。一人は、催眠の有効性に疑いを持っている人。もう一人は催眠を睡眠と勘違いしている人についてユーティライゼーションを使う。途中、トランスクリプトあり。最初に書いたギリガンの4つのプロセスどおりに催眠導入が進む。



1月22日の進捗、176ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 6.7%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion


Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1959, 2, 3-21. 



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://www.amazon.co.jp/dp/B00DL1Q7M0/
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html

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