2017年1月4日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 4日目


                                                                                                                             
 ある意味、40年前に書いた論文が役立つというのも凄いなぁ〜(笑)。

 <ひとりごと>



被験者O嬢のお話

  備忘録として書いておく。

   元旦から、ミルトン・エリクソンの論文集The Collected Papers of Milton H. Erickson[1]を読み始めた。本編がp.2648の分量だ。もちろん、1日中読んでいてもよいのなら、1〜2週間もあれば読めてしまう量だろう。

  だが、敢えてゆっくりゆっくり1年かけて読んでみる、というのが実は今回の試みの一つだ。エリクソン派生のMRIの短期療法の介入ではないが、『Go Slow 』で通常の読み方のパターンを変えてみることに意味があるような気がしているからだ。それで、読み方のパターンはこうだ。

  • ちょっとだけ読む (1日に7〜8ページ)
  • 味わいながらゆっくりゆっくり読む
  • 空き時間を見つけてちょこまか読む
  
 そして、ブログに進捗と思いついたことを簡単にメモしていこうと考えている。これは、忘却防止とメタ認知能力の向上からだ。ある意味、メタタグを残していくような感じを予定している。


 もう一つは、の読み方のパターンは、明確な目的を設定しない、もっと正確にいうと1日決められた進捗を守る以外の目的の設定をしないということだ。

  • 何のためにこれを読むのか?

 ここでの設定は、何のためでもない。敢えて言えば、『読むために読む』という設定にしたい。

 さらに、本書にどのようなご利益を期待するのか?ということがある。具体的には、

  • 読み終わったら何かよいことがあるのか?
  • 何かに役に立つのか?

 ということだ。しかし、ここでは敢えてご利益は問わない、そこに面白い論文があるから読む、というのも設定の一つに加えたい。敢えて小さなご利益への期待を手放して『無用の用』[2]に設定することが取り組みを面白くするような気がするからだ。
 
 さて、今年も既に4日目になった。進捗は今日で32ページあたりまで読んだ。ここまで、この論文を読んでいて思うのは、ミルトン・エリクソンのキャリアの継続性だ。エリクソンはウィスコンシン大学を修了して精神科医、心理療法家のキャリアをスタートする。そして、1980年に亡くなるまで心理療法という一分野分野に従事した、という意味で継続性がある。

 例えば、読み始めの論文「Initial Experiments Investigating the Nature of Hypnosis」はエリクソンが大学の学士(でポスドクの人相手に色々やっていた) 1923-24年に行った実験について書かれている。時代で言ったら大正、1923年だと関東大震災が起こった年だ。もちろん、関東大震災は本や映画でしか知らない、しかし、随分前のことだとは何となく想像することは出来る。

 時代は流れて、この論文が American Journal of Clinical Hypnosisに掲載されたのが 1964年となる。もちろん、この論文集の発行主体である American Society  of Clinical Hypnosis がエリクソンらの手により設立されたのが1957年のことになるので、論文発表の場も自身でつくったことになる。
 
その後、エリクソンが亡くなるのが1980年だ。そうすると、1964年から16年程度、晩年まで同じ分野の仕事をしていたということになる。エリクソンのキャリアを合計すると、おおよそ60年弱、スタイルの変遷や発展はあるにせよ、同じ分野のことに取り組み続けたという意味ではやはりキャリアの継続性をもった人ということになるだろう。

 さて、今年は2017年、問題山積の第二回目の東京オリンピックを控え(笑)、1923-24年の実験から既に90年以上も経っている論文を読んでいるという面白い構図がある。もちろん、新しいほうがよい、という方もあるだろうし、人間の本質なんて100年程度では変わらないのだろうから、これでも十分だという考え方もあるだろう。確かに、身の回りの情報は爆発的に増えているし、情報は時々生き物のような振る舞いをすることもあるのだろうが、人間の本質は100年程度では変わっていないようにも思える。

 キャリアの話に戻ると、日本でも医師、弁護士、公認会計士などであれば資格を取得して仕事を引退するまで同じ仕事をする、ということになるのかもしれない。しかし、普通は、時間をかけて専門性を深めていくというスタイルでキャリアを構築していくというのは中々難しいようにも思える。実際、この専門性の対局にあるのが中央省庁のキャリア官僚だ。できるだけ専門性を身につけないように同じ部署を2年程度経験すると異動を繰り返し、究極のジェネラリストを目指すというような方向になる。政治家を支援する官僚の国会答弁でも分かるが彼らが駆使するのは『一般論』だ。

   また、余談だがエリクソンとは少し違うスタイルのスペシャリストがグレゴリー・ベイトソンだろう。ベイトソンは同じ分野にとどまることなく、興味が赴くままに定期的に専門を変えているように思える。[3] もっと、正確に言うと、専門家が居ない未開の分野に入っていって、ベイトソンが歩いた後には何か大きな足取りが出来ているという感じのキャリアになっている。「Steps to an Ecology of Mind」を読むと幕の内弁当的におかずを盛っていくような格好になっているが鬼籍に入って全体をメタの視点で俯瞰してみると、はじめてテーマが分かるというような格好でもある。

さて、数日前にお正月がやってきた、と思ったが本日は既に4日目となった。進捗は以下だ。構図としては、1923-24あたりに行った標準的な学術的催眠の実験を1960年代の視点から振り返りエリクソニアンの技法を確立していくような感じになっている。これは、ここらへんで書いたが、エリクソニアンのマイケル・ヤプコの比較表のどこに該当するのか、考えながら読むとまた面白い。


1月4日の進捗、32ページまで

Further Experimental Investigation of Hypnosis: Hypnotic and Nonhypnotic Realities Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1967, 10, 87-135.

比較的有名なO嬢のお話。結構長いので途中まで。

 

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_23.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/07/blog-post_4.html

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