2017年1月6日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 6日目


                                                                                                                             
 標準化された手順を適用すると、

 その人毎に異なる結果が出てくる、

 はてこまった(笑)。← 今ココ

 <ひとりごと>



仮説の不都合を検証するのが実験

  備忘録として書いておく。

  心理療法家のミルトン・エリクソンの「The Collected Papers of Milton H. Erickson」[1]を読み始めて既に6日が経過した。1日7〜8ページの分量だと、歯磨きや入浴のようなもので、さて今日はどこでやったものか?という感じで手軽に読み続けられるモードに入っている。

 さて、p.40〜48あたりだが、エリクソンがウィスコンシン大学時代に学生に参加してもらって催眠の実験をした様子が記述されている。ここで面白いのは指導教官のクラーク・ハル博士は、誘導など徹底的に標準化する、というアプローチを指向している点だろう。

 これは、仕事などでも同じだが通常業務のようなところは属人化を排する形式で「標準化」を行うのは普通だからだ。これにより、誰でも同じようなプロセスを取れば同じような結果が得られることを指向して標準化が行われることになる。

 しかし、エリクソンがハルの発想でつくった標準的なトランス誘導の方法はどうだったのか?例えば、夢遊病的なトランス(somnambulistic trance)への誘導はどうだったのか?ということになるのだが、これは様相としては『風雲たけし城』の如く、途中で2/3の脱落者が出てしまう構図になってしまっている(笑)。しかも、トランス誘導できて残った人を催眠感受性尺度で観察すると同じのもあれば違うのもあれば・・・と非常にカオスな状況に入っている・・・という構図になっている。

 もちろん、後年のエリクソンのように「一人ひとりは唯一無二の個人である。したがって、心理療法は個人のニーズの独自性を満たすように処方されるべきであり、人間の行動の理論の仮説を画一的にその人に当てはめるべきではない」のような発想にはなっておらず、あくまでも牛丼屋のマニュアルにそって牛丼をつくるみたいな標準的な実験をやって、それは素直に記述しているエリクソンの姿がそこにある。

 こんな感じの論文を読んでいると、やはり実験の目的は成功することではなく、仮説の検証で、できるだけ速く失敗する、出来るだけ小さく失敗する、できるだけ上手に失敗する、と失敗しながら仮説を修正していくことなのだなぁと、改めて思った次第。

 余談だが、エリクソニアンのヤプコの比較表でこの時エリクソンが使っているのは真ん中の学術的検証用の催眠。ちなみに、エリクソンは古典催眠は一切使っていないのだが「臨床催眠家を目指すならステージ催眠術師を先生にするな[2]の意味がよく分かってくる。

 これも余談だが、工学や農学を専攻している学生はだいたい途中で興味がなくなって脱落、みたいなことが書いてある。これはなんとなくわかる。また、工学系は曖昧ではなく、具体的な指示を出さないと不満で、文学部の学生は曖昧な指示でも勝手に解釈してなんかやってくれるそうな。まぁ、これもなんとなくわかる。



    1月6日の進捗、48ページまで

    Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

    Further Experimental Investigation of Hypnosis: Hypnotic and Nonhypnotic Realities Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1967, 10, 87-135.


    エリクソンのウィスコンシン大での比較的母数が大きい催眠実験、約2000程度の実験を実施。そのうち夢遊病的トランス状態に入れるのは1/3程度。


    (つづく)

    文献
    [1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

    記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com
    https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679

    ――

    0 件のコメント:

    コメントを投稿