2017年1月9日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 9日目


                                                                                                                             

 考察の前には、まずは徹底的な観察を(笑)。
 
 <ひとりごと>



目的とスコープは?

  備忘録として書いておく。

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいるのだが、9日目の進捗などを書いておきたい。

《ねらいは何なのだろう?》

  普通、仕事などだとすぐに目的やねらいというものを考える。例えば、以下だ。

「この仕事は何のために行うのか?」「この仕事のねらいは何だ?」

  もちろん、ここで個人の興味の対象です、とか何かよく分かっていないのです、とかいうのが不可であるのはいうまでもない。その意味では仕事はあくまでも目的を実現するために行うものなのだ。それで、

 エリクソンが学生時代に行った 1923-24年の実験は何を目的に行ったのだろうか?

 と考える。もちろん、普通の論文だったら冒頭にサマリーがあったり、仮説が書いてあって、これをこうやって検証しました、と簡潔に書いてあるのだが、この論文はある意味、冒頭もサマリーもなければ、どっちかというと随筆のような感じで書かれている。

《目的はトランス状態への誘導》

 で、結局この目的は何だったのか?

と考えて読み進めていくと「クライアントをトランス状態にする」これ以上でもこれ以下でもないことが分かる。具体的な話になると、当初の計画では300人の被験者を予定しており、おそらく100人くらいはトランスに導入できるだろう、という感じ。で、トランスに入れる人には多少変数を変えて(例えば、目隠しをした場合どうか?みたいなやつ)で何がどう違うのか?を検証しようとした単にそれだけの実験ということになる。もちろん、人数で言えば、最終的には被験者の母数が2000人少し超えた程度になり、トランス状態に導入できた人の人数も750人程度となって、感想として結構大規模になりましたね、という感じになっている。

 もちろん、目的は上で書いたように「クライアントをトランス状態にする」もっと正確にいうと意識は覚醒した状態で夢遊病的なトランス(somnambulistic trance)の状態を引き出すということだけを目的にしている。しかし、ここからがエリクソンの真骨頂のように思えてくる。

《情報は差異から生まれる》

 情報とは何か?

 を考える。一つの定義は、グレゴリー・ベイトソンの「A difference that makes a difference.」ということになるだろう。結局、情報は2つを比較した1つの差異から創発的に生まれる。で、エリクソンもここでは最初から小さな目的を考えずに、実際に実験をやってみて、この差異のみを徹底的に観察する、おそらく何かが分かるはず、というような感じで進めているように思える。そしてエリクソンは論文中でぽつりと以下のような気づきをつぶやく。


Experience since medical school days has progressively emphasized to the author that personal needs are strongly correlated with the intensity of the hypnotic state development .

医学校の時代から、個人の欲求は催眠状態の発達の強さと強く相関しているということが、著者に徐々に強調されて以来の経験である。


今日の部分はまだ心理療法への応用といったところには到達していない。目的をトランス状態の誘導へ絞ってその現象をまずは徹底的に観察する。こういったところだ。あまり先走ってはいけないということなのだろう。



1月9日の進捗、72ページまで

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Further Experimental Investigation of Hypnosis: Hypnotic and Nonhypnotic Realities Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1967, 10, 87-135.

1966年カリフォルニア州ニューポート・ビーチで行われた米国麻酔学会での催眠誘導のデモの誘導文サンプルあり。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

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