2017年5月18日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 138日目


                                                                                                                            
 ユーザエクスペリエンスの向上?

 そもそもそれをどうやって調べるのだろう?

 答えはエスノメソドロジー的な手法を使え、ビッグデータじゃなくて(笑)

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 138日目について書いておきたい。


二重人格においての人格毎のテスト

 「Findings on the Nature of the Personality Structures in Two Different Dual Personalities By Means of Projective and Psychometric Tests(1940s)」から。出版されなかった原稿で著者はミルトン・エリクソンとデイビッド・ラパポート。

 簡単にいうと、二重人格と思われる人物に対して種々の心理テストを実施し、この人格に何らかの違いがあるのかを考察しているのが今日の原稿だ。実際に行っているテストは、ロールシャッハ・テスト、ソンディ・テスト、TAT絵画統覚テスト、バブコックテスト、ウェクスラー成人知能テスト、Bernreuterパーソナリティインベントリ。

 ここでは普通の心理学と同じように、真面目にテストして人格毎のデータを比較、検討していることになっている。


  余談だが、米国の学術データベースであるNCBIの関連項目「The interface between multiple personality, spirit mediumship, and hypnosis.」に面白いことが書いてある。要は、この著者が強調したいのは、エリクソンが二重人格、多重人格は病気ではなく資源・資質(リソース)と考えていたことだ。要は、そういった人格故に出来ること、普通の人より卓越した点があるということだ。

 私は単なる「エリクソニアンの〈きぐるみ〉を被ったベイトソニアン」であって、医者ではないので、こういったことはよくわからないし、こういったケースを取り扱うこともないだろうが、発想としては参考になるように思われる。要は、ここで書いたが、スティーブ・ランクトンが指摘している「病理にもとづかないモデル」ということだ。
 

随考

 ネットに落ちていた「The Open Dialogue Approach to Acute Psychosis: Its Poetics and Micropolitics」という論文を読んでみた。

 最近、日本でも認知度が高まっているオープンダイアローグに関する論文だ。簡単にいうと対話を通して精神疾患を治療しましょうというような取り組みとなる。

 もちろん、個人的には、「エリクソニアンの〈きぐるみ〉を被ったベイトソニアン」なので(笑)、エリクソン→ベイトソン(MRI)→ミラノ派家族療法→オープンダイアローグの流れで見ているので特段新しいものには感じない。しかし、逆にいうとフィンランド発のミラノ派家族療法の進化型が現場できちんと運用できるように実践的な方向で進化しているというところが注目するポイントなのだろう。結局は現場で使いやすく実績を出している方法論が生き残る。

 もっとも、精神疾患の治療だけではなく、企業や家族でのちょっとした問題解決、対立解消、強みの発揮できる状況の発見・・・などアプリシエイティブ・インクワイアリーを実装するための一つのスタイルとしてはありだと思う。何も「対話」は人を癒やすだけのものではなく色々な効用があるということだ。

 それで、やはりおおもとにあるエリクソニアン的な催眠というと、怪しいし、属人的な技が強調されすぎて本質的なところが見えなくなってしまうところがある。もちろん、催眠誘導に成功しても、適切な介入が成功しないと変化は起こらないということでもある。逆に言うと、催眠はなくても、「対話」を通して、各種関係性に介入することで変化は起こるし、成りたい姿に近づくことができるということでもある。

 そう考えると、催眠なしで、属人性も少なくし、現場での運用も考えた上でオープンダイアローグ的な技法を普及させるというのは非常に健全な方向なのだろう。分かっている人は分かっているということだ。

 余談だが、ミラノ派やこの派生のカール・トムの質問を使うと何が面白いかというと、まずは現状認識について、今まで問題としか思っていなかった現状の中にも人類学者並の精緻さで未来の理想につながる資源・資質(リソース)となる関係性を発見できることだ。もちろん、これは企業における、業務分析やユーザエクスペリエンスの向上を実現するためのエスノメソドロジー的な方法論として使えることも意味している。また、逆にいううとエリクソニアン的な催眠を使うにしても、このレベルでの情報収集と見立てが出来てさらに「曖昧なことを精緻に行う」介入が組み立てられないとあまり効果が見込めないということでもある。
 
 
5月18日の進捗、1088ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 41.1%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

Findings on the Nature of the Personality Structures in Two Different Dual Personalities By Means of Projective and Psychometric Tests
Milton H. Erickson and David Rapaport Unpublished manuscriptwritten with David Rapaport, circa 1940s. 





(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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