2017年5月19日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 139日目


                                                                                                                            
 不安が嫌だったら、

 安心というリソースを見つければよい(笑)。

 要は見つけ方の話だ。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 139日目について書いておきたい。


言葉からの連想と反応
 
「A Clinical Note on a Word-Association Test (1936)」から。著者はミルトン・エリクソン。2ページほどの短いエッセー。

 かなり古い論文でエリクソンは被験者に対して言葉による連想を行っている。これが覚めた状態と催眠の時の状態でどうか?違いを比較している格好になっている。例えば、被験者の25歳の女性の例としては、妊娠し中絶して経験があるがこの女性に、Big、Worried、Baby、Afraid、Operation、Sick、Frostbitten。

 短い言葉から自身の経験した辛い記憶をストーリーとして連想するようになる。・・・・・

 エリクソンの初期の精神分析的な取り組みのようにも思われる。ただ、将来、エリクソンの間接暗示の布石にはなっているのだろう。

随考

 アメリカ心理学会のサイトに「A BRIEF THERAPY APPROACH TO THE USE OF HYPNOSIS IN TREATING DEPRESSION」というタイトルの著作の一部が上がっていた。

    内容は、エリクソニアンのマイケル・ヤプコがTimというウツの男性に適用した催眠療法の事例が書かれている。催眠といっても当然スタイルはエリクソニアンだ。また、アメリカ心理学会のサイトにあるのが意味があるのだろう、ここは心理学を科学的に探求することを標榜している団体だからだ。当然、ヤプコの事例も科学的に怪しいことは何一つ書かれていない(笑)。

 もっとも個人的には「エリクソニアンの〈きぐるみ〉を被ったベイトソニアン」であって医者ではないので、これが他の療法と比較して効果的かどうか?と判断できる立場にはない。ここでは、単純に論文の読者という立場だ。

 それで、ここには Tim に実施した3回の催眠セッションのトランスクリプトが掲載されており、どこが催眠誘導になっており、どこか介入になっているのか?3回のセッションの違いは何か?などを考えながら読んでみると面白い。

 トランスクリプトの内容は案外単純だ、それは、クライアントがある状況において不安な気持ちを感じて、これがエスカレーションするようなことがないように間接暗示で催眠誘導して、臨場してもらって、さらにメタ認知してもらってリフレーミングして安心のリソースを引き出してもらっているだけだからだ。逆にいうと健康な人が何か不安を感じていて、これがエスカレーションすることを防ぐという場合にも使える内容になっていることが分かるだろう。要は、プレゼンテーション前でも、資格試験の前でも、スポーツの大会の前の不安を解消することにも使えるということだ。

 また、トランスクリプトの中にあるリフレーミングは日常生活の会話の中でも使えるだろう。相手の気持ちを察して、その気持ちを知覚に還元して暗にリフレーミングする。催眠導入はなくても使える技法となる。

 もちろん、エリクソニアン・アプローチはクライアントを観察しながら、間接暗示によって反応を引き出し、クライアン毎にユニークなその反応を利用していくユーティライゼーション・アプローチになっている。そのため、単にトランスクリプトを読めばよいというものではない。もっと即興的で動的なアプローチだということだ。Jazzの即興演奏ができるようになるのと同じでそれなりの時間はかかるだろう。

 逆にいうと、「エリクソン催眠」とは謳っているものの、「スクリプトを読むだけです」と言っている輩は、「私はエリクソンについて何も分かっていません」と宣言しているのに等しく、分かってやっていればインチキで、分からずにやっているのだったら無知であり、何れにしてもエリクソニアンとは似ても似つかぬ何か別のものだ、ということになる。もっとも、ここにはエリクソニアンが使う「無知の知、無為の為」を明示的につかっている様子もない(笑)。

 そもそも、誰にでも適用できるスクリプトがあって、「潜在意識に暗示を入れる」のような単純なモデルや技法が有効なら、何十年もかけてエリクソンがエリクソニアンのスタイルを開発する必要さえなかったということになる。人は十把一からげで扱えるほど単純ではないということだ。

 100歩譲って、仮に催眠誘導に成功しても、トランスクリプトを読むだけでは、クライアン毎に起こる催眠現象を利用することは出来ない。実際、「Ericksonian Approaches 2nd edition」を読むと、催眠誘導に成功し、さらに間接暗示に反応して起こる催眠現象をどのように利用(Utilization)するのかが大きなテーマとなっている。

 さて、そのようなことを頭に入れてヤプコのトランスクリプトを「声に出して」何回か読んでみる。次に、どこが定数の部分でどこが変数になっているのか?考えながら読んで見る。次に、統語論、意味論、語用論の3つの視点から読んでみる。・・・と色々やってみる。

 論文中にヤプコの解説が書かれているので、ここでは細かい説明はしない。しかし、実際のトランスクリプトを読むと色々分かってきて面白いところはある。

 
5月19日の進捗、1096ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 41.4%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

A Clinical Note on a Word-Association Test
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe Journal of Nervous and Mental Disease, Nov., 1936, Vol. 84, No. 5. 





(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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