2017年5月3日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 123日目


                                                                                                                            
 アイディアに煮詰まった時、

 「自動書記」で、なにかよいヒントが出て来ることもあるなぁ・・・・・(笑)。

 要は、何かが降りてくるみたいな・・・・

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 123日目について書いておきたい。

自動書記による無意識の精神活動を探る実験

 「The Experimental Demonstration of Unconscious Mentation by Automatic Writing (1937)」から。著者はミルトン・エリクソン。

 時代は、1937年、エリクソンは36歳ころ、出来事としては盧溝橋事件の勃発、ゲルニカ空爆・・・と世の中が不安定に動いている、そんな社会背景での論文だ。余談だが、東京丸の内丸善の前の広場にゲルニカの実物大のレプリカが飾られている。ゲルニカの縮小版のデッサンはマンハッタンのメトロポリタン美術館で見た記憶がある。しかし、レプリカでもやはり実物大(3.49m X 7.77m)はそれなりにインパクトがある。

 さて、エリクソンは興味深い話からはじめている。個人的に興味深いだけかもしれないが(笑)。

 こんな話から。臨床の場面で多くのクライアントの観察をしていると心理学的な知見が得られる。また、こういう風にすればこうなる、という介入の知見も分かってくる。ただし、エリクソンはこういったことも、一応、変数を少なくして実験室で本当にそうなのか?実験せねば・・・という話からはじめている。要は、環境変数を含め変数が多い臨床、そして変数を出来る限り少なくして因果関係や相関関係、パターンを探る実証実験とは何かしら分けて考えていたということだ。後にエリクソンは、その環境、状況で起こる一見不都合な出来事も積極的に利用するという方向になってくるが、この背景にどのようなことがあるのか?を探るのは非常に興味深いことでもある。

 そんなわけで、今日は実証実験のほうの話。

 内容はいわゆる催眠による「自動書記」による実証実験だが、単に無意識でおもいついた字を書いてもらうというものではない。意識で表明されたコトバと、無意識に書かれた筆記された文字の齟齬を探るという感じになっている。

 人類学者のグレゴリー・ベイトソンは情報を「A difference that makes a difference」と定義した。この論文では、意識された情報、それと無意識の情報の齟齬から何が考察できるのか?というような被験者のグループ10人を含めたディスカッションが行われいる。

   手順は以下、

  1. 被験者たちと、一つの行動で意識と無意識の両方の意味や目的を表明することが可能かどうかの一般的なディスカッションを行う。
  2. この判断が「自動書記」のテストを通して行われる。
  3. 被験者として協力してくれている女性が「実験台」となってくれている。
  4. 被験者に、二重の意味を含む何かを書いてもらうように明示的かつ意識的にリクエストされる。
  5. ちょっと不真面目なレポート。
  6. 被験者に司令がくだる:被験者が何かを考え「Two or three minute.」と言っている間、被験者は「Thirty sec.」のように書く、ただし「y」は「8」と区別がつかず「38 seconds.」ともとれる。
  7. これは非常にたくみに行われているため実験者以外はだれも8と読めない。
  8. 被験者が書いたことを声で読むように言われると、「Thirty seconds」と書いたと主張する。一方、被験者が「自動書記」で表現するように要求されると「38 sec.」と書く。したがって、無意識のレベルでは完全に実験者の要求に気づいてちょっとしたジョークに気づいている、しかし意識のレベルではそれに気づいていなかった。


 日本語にすると、ちょっとアレになるが、実験は結構緻密に行われている。


随考

 検索したら、The American Society of Clinical Hypnosisのサイトに「Automatic Word Processing: A New Forum For Hypnotic Expression(2001)」[2]という論文があった。こっちは実験ではなく臨床の話。

 読んでみたが、おもしろいのはエリクソンの時代「自動書記」は、無意識に紙にペンで手書きをしてもらうということだ。しかし、最近の「自動書記」というか「自動タイピング」は、コンピュータのワードプロセッサを立ち上げて、そこに文字をタイプしていくような形式で行われる形式もあるようだ。中には無意識に文豪のような詩を書いているようなクライアントの人もいて、時代は変わるものだと思う・・・

 コンピュータの文字となると、意図的に読みにくくして多重の意味を持たせることは難しくなるのかもしれないが、それなりに効果が出ていることが書いてあるのを読むとこれはこれで面白い・・・・・もちろん、この場合、無意識は手書きとは別のモードで動いているような気がしないでもないのだが・・・・・
  

5月3日の進捗、976ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 36.9%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

The Experimental Demonstration of Unconscious Mentation by Automatic Writing
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe Psychoanalytic Quarterly, October, 1937, Vol. VI, No. 4.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://www.asch.net/portals/0/journallibrary/articles/ajch-44/anbar.pdf

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