2017年5月6日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 126日目


                                                                                                                            
 時間歪曲を使って休日がものすごく長く感じるようにできないものか?(笑)

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 126日目について書いておきたい。

自動書記で暗号化された文字の別の被験者による読み取り

 「Translation of the Cryptic Automatic Writing of One Hypnotic Subject By Another in a Trancelike Dissociated State (1940)」から。著者はミルトン・エリクソンとローレンス・クビエ。

 目的については、まずは考えない。以下のような実験を行う。

1.ある被験者が夢遊病的なトランスの中で2つのことを暗示される。文字の母音の存在は忘れないけれども、それを書くな。

2.一週間後別の暗示が行われる、gを7に、hを8に、iを9に置き換えて書く。

3. トランス状態でJack Young という名前を書くように指示される。上の法則で暗号化して書く、経験則で勝手に j を10と書いたところで間違いが指摘され、ここで宣言される。

 これについて別のトランス状態にある被験者が暗号を解読することができるのか?というのがここでの実験になる。

 何を目的としているのか?もう少し読み進めてみると分かってくるのだろう・・・・


・・・・・・・・・

 

随考

   「Investigating Understandings of Hypnosis(2009)」という題のオーストラリアの国立グリフィス大のサイトに論文が落ちていたので、読んでみた。ある意味、自分の知識の偏りを相対化するにはもってこいの論文だ(笑)。

 タイトルからして面白い。要は、「催眠がどのように理解されているのかの調査」ということになる。催眠は研究者毎によって微妙に見解が違ったりするが、それがどう違うのか調査しましたという論文だ。

 もちろん、学術論文からの引用なので、不思議なことは何も書かれていない。

 概要は以下だ、
  • 催眠の定義
  • 主要な理論、モデル、アプローチ
    • 精神分析派の理論
    • 社会認識論の理論
    • ミルトン・エリクソン派のモデル
    • 社会心理学のモデル
    • エコ・システムによるアプローチ(ベイトソン)
  • 実証研究
    • 実証主義の伝統
    • 個別被験者の研究
    • 被験者-実験者の対話レベルの研究
    • 現状における制約
    • その先に向けて

 催眠も、状態と考える派と、状態と考えない派に別れる、とか、経験の再構築か暗示か?というような典型的な論争から書かれているところがあるが、2009年と比較的最近書かれている論文であることを考えても興味深いところだ。もっとも、個人的な自己認識は、エリクソニアンのきぐるみを着たベイトソニアンでサイバネティストなので、催眠は状態と考えているし、暗示というよりは経験の再構築と考えているし、メタファーの効果は認知言語学のカテゴリゼーションとかフレーム理論で考えている。

 もっとも、本文中にあるように催眠はある意味、人間関係や組織や社会の関係性にあるわけであり、個人的には催眠を抜きにして関係性に介入するマネジメントの理論や技法として使ってみると、とてもよく出来ているなぁと考えているところがある。

 余談だが、この論文の中でもヘイリーがエリクソンとクライアントの関係をメタ・コンプリメンタリーと見ている。要は、エリクソンがクライアントにそれとなく、責任をもって私の出す課題をちゃんとやってくださいね、と示唆できるような関係だ。もちろん、こういった関係が築けないと面倒くさいクライアントに振り回されることになるということなのだろう。このあたりで書いた。

 余談だが、昨日久しぶりにオハンロンの「ミルトン・エリクソンの催眠療法入門」を読んでみた。最近、新装が出ているが個人持ちは旧版だ。それで、タイトルにある An Ericksonian Approach というところも今思うとかなり意味深だ。

 エリクソンの特徴は(人によって見方が違うが)以下があるだろう

・自身で体系や理論は残さなかった
・催眠を使うことが多かった
・催眠に入ることも、その現象も含めなんでも利用した
・クライアントが望むゴールの達成を支援した
・その他

 また、エリクソンは自身の技法のデッドコピーを推奨していないこともある。だから体系は研究者や弟子筋のひとたちによって行われていることになる。

 だから、まさに An Ericksonian Approach は「エリクソン派のいくつもあるうちの、オハンロンの視点を通したひとつ」ということになる。

 それで、今読んでみると、オハンロンはエリクソンから学んだ中からどこを強調したくて、どこはとりあえず要らないと思ったのか?これが垣間見えてくるのが面白いところなのだろう。

 もちろん、Collected Paper を読めばある程度の全容はわかるし、アーネスト・ロッシとの著作を読めば、もっと細かいところが色々書いてある。

 ただ、オハンロンは、特に入門編として、なぜこれを伝えたかったのか?を考えて読むと、また別のことが見えてきてこれはこれで面白い・・・・・


5月6日の進捗、998ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 37.7%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

Translation of the Cryptic Automatic Writing of One Hypnotic Subject By Another in a Trancelike Dissociated State
Milton H. Erickson and Lawrence S. Kubie Reprinted with permission from The Psychoanalytic Quarterly, January, 1940, Vol. IX, No. 1.





(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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