2017年6月30日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 181日目


                                                                                                                            
 
  毎日、ジメジメしているが、

  気候や季節と心身状態に相関関係は

  きっとあるなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 181日目について書いておきたい。

組織的な脳損傷に対する催眠を志向した心理療法

「Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage  (1963)」。著者はミルトン・エリクソン。

 25ページの比較的長い論文。簡単に言うと、こんな内容だ。物理的に脳を損傷したクライアントに心理療法的な知見は役に立つのか? なかなか深いテーマだ。最初に出て来るのは38歳の女性、家族旅行から帰ってくる途中で頭痛を発症。原因は動脈瘤が破れていること。もちろん、これが催眠で治るといったバカなことを言っているわけではない。当然、外科手術を行う。問題はその後の話だ。

 おそらくこの時代 fMRIやCTスキャンなどの機材は大病院にすら置かれていない時代だろう。したがって、脳の物理的な損傷にともない、どのような機能が麻痺しており、どのような機能は正常なのか?を見立てる必要がある。エリクソンの場合は、まず、この見立てとしてクライアントを催眠誘導し、これを見立てる支援をするところから始めるという具合だ。

 ・・・・・・・・

 とりあえず本編の終わりまで読む。ネタ的には医療的な話で微妙なのであまり細かいことは書かない。


随考

――催眠関連のスライド――

ワシントン大のメディカル・スクールのサイトに「The Power of Suggestion : Hypnosis (2014)」というスライドが落ちていたので読んでみた。このあたりは昔MSに出張したときにウロウロした記憶がある。大学があるシアトル近郊は、年間3分の2が雨天で全米で自殺率が第二だと聞いた記憶がある。ヨーロッパ風の古風な町並みとは裏腹に気候がメンタルに及ぼす影響は案外大きいのだろう。もちろん単なる仮説でしかないが。シアトルのご近所のブリティッシュ・コロンビアで天候と季節と自殺に相関はあるかといった、こんな研究はやっているようだ。

 さて、非常に簡潔にまとまっているが、内容は以下だ。

   1.催眠の定義
   2.歴史
   3.催眠とは正確には何か?
   4.理論とそれがどのように機能するのか?
   5.神話と誤解
   6.効果のエビデンス
   7.バーチャル・リアリティと催眠誘導
   8.自己催眠の練習

 理論的にはヒルガードの新乖離だが、エビデンスもついているので怪しくない感じで気持ちよく読める。結局、被験者が何を信じていようが、それとは関係なしにある程度手順に則ってやれば再現性がある、という話になっているからだ。

6月30日の進捗、1428ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 53.9%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1963, 6, 92-112. This article was published simultaneously in translation in Ceskoslovenská Psychologie, Prague, Czechoslovakia.




お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679


――

2017年6月29日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 180日目


                                                                                                                            
 
  ベイトソンの学習理論によれば、

  フェイクニュースにいちいち反応しているのはレベル0だな。

  要は学習しないヤツ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 180日目について書いておきたい。

組織的な脳損傷に対する催眠を志向した心理療法

「Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage  (1963)」。著者はミルトン・エリクソン。

 25ページの比較的長い論文。簡単に言うと、こんな内容だ。物理的に脳を損傷したクライアントに心理療法的な知見は役に立つのか? なかなか深いテーマだ。最初に出て来るのは38歳の女性、家族旅行から帰ってくる途中で頭痛を発症。原因は動脈瘤が破れていること。もちろん、これが催眠で治るといったバカなことを言っているわけではない。当然、外科手術を行う。問題はその後の話だ。

 おそらくこの時代 fMRIやCTスキャンなどの機材は大病院にすら置かれていない時代だろう。したがって、脳の物理的な損傷にともない、どのような機能が麻痺しており、どのような機能は正常なのか?を見立てる必要がある。エリクソンの場合は、まず、この見立てとしてクライアントを催眠誘導し、これを見立てる支援をするところから始めるという具合だ。

 ・・・・・・・・

 昨日のつづきをトロトロと読む。



随考

――フェイクニュースに気をつける――

 先日の米大統領選挙戦からフェイクニュースが取り上げられるようなったのはご存知の通りだ。誰もがSNSなどで気軽に情報を発信できるようになった結果、事実に基づかない思い込みの状況がかけめぐり、政治、経済だけにとどまらずこの混乱がときに日常生活にまで影響を及ぼすようになっている。

   お正月から心理療法家のミルトン・エリクソンの論文全集を読んでいるが、このフェイクニュースはこの分野ではずっと前からおなじみだ。エリクソンに関する情報は、妄想と希望と憶測が入り混じった情報から実際にはありもしないことがネットに氾濫しているような状態だ。もちろん、裏を返せばこれも悪いことばかりでもない。その中にもほんの一粒の砂金やダイヤモンドは存在しているからだ。フェイクニュースを見分ける技術というのは、砂金やダイヤモンドを見つける前提として、まずはトンデモ情報をふるいにかける技術と言ってもよいだろう。今日は、これについて少し考えてみたい。

―― フェイクニュースを見分けるガイドライン――

 さて、ネットに「How to Spot Fake News」というサイトが存在し、ここにフェイクニュースを見分けるためのガイドラインが提供されている。ここでは、この8つのガイドラインを借りて、どうしたらトンデモ情報をふるいにかけ、できるだけ正確なエリクソン関係の情報を得ることができるのか、考えてみたい。ここでは、対象としてエリクソンについて書かれたWebサイトやSNSの情報を想定している。

 もちろん、これにはいくつかの前提がある。

・憲法で表現の自由は保証されているので、公共の福祉に反しない限り何を書いて投稿するかは勝手と言えば勝手だ。だから表現の自由を妨げるものではない。
自分で色々試して自分の経験やその考察を書いているサイトは貴重だ。やはり自分の五感で経験した一次情報を発信しているサイトは尊重したい。
・最初に「どんな目的で何を知りたいのか?」はあたまの片隅に止めておく。やはりその情報を「何の目的で使いたいのか?」が決まると情報収集の精度は格段に高まる。

 それで、フェイクニュースを見分ける方法は具体的には以下だ。

―― 8つのガイドライン ――

❶情報ソースを確認しよう

 サイトの役割や連絡先を含め確認する。エリクソンの場合は、自身の論文全集あるいは著作が起点になるだろう。また引用元の論文が「The American Journal of Clinical Hypnosis」「The International Journal of Clinical & Experimental Hypnosis」などの学術論文の引用だと信憑性は高い。ただし、学術論文はあくまでも仮説の反証可能性を探求するものであり検証途上にあることは留意したい。最近だと Google などで簡単に検索できるようになっている。もちろん、エリクソンは何らかの真実を追求していたわけではない「どうやったらそれが解決できるか?」ある意味、ありとあらゆる手段を見つけることに尽力していた人だ。

❷本文を読もう

 スポーツ新聞の見出しではないが、刺激的な見出しをつけたために、タイトルが本文を反映していないことがある。一般的に、社会科学的な分野は自然科学の分野と違って「100%そうなる」「特定の病気が治る」と書かれていることははなから疑ってかかったほうがよいだろう。世の中0%か100%かのように二値的に単純なものではない。逆に言うとこういった二値的な思考をやめて、よりシステム思考的に考える訓練としてエリクソンを読むということでもある。また、病気の治療について書くのは、医師法や薬事法に触れる恐れがあるのでこれは注意する点だ。

❸著者をチェックしよう

 著者について信用できる人物か、あるいは架空の人物かをチェックする。情報の発信元として実践者かどうかはひとつの参考になるだろう。Ph.Dを持っていればなおよい、という感じだ。エリクソンは講演で「臨床催眠家を目指すならばステージ催眠術師には習うな」と言っている。今風に言えば「臨床催眠家になりたければメンタリストには習うな」ということだろう。そもそも目的が違うからだ。具体的には臨床としてエリクソンを学ぶならば、ダレン・ブラウンではなく、アーネスト・ロッシ、ジェフリー・ザイク、スティーブ・ランクトン、スティーブン・ギリガン等のエリクソニアンに学べということなのだろう。要はエリクソンの技法の実践者だということだ。

❹情報源の裏付けを検証しよう

 引用元の情報源が裏付けになっているのかリンク先の情報をチェックする。有名人だの有名大学だのの権威だけを借りていて、リンク先の論文などと内容があっていないものは要注意だ。ただし、1960年代あたりを中心に最も催眠研究をやっていたのはハーバードやスタンフォードの研究者なので参考にするところは参考にすればよいだろう。

❺日付をチェックしよう

 古すぎる話は現在の情報と異なっていることがある。エリクソンは1980年代になくなっているし、論文は1920年代から存在している、このあたりは現在の事情とはかなり異なっていることに留意したほうがよいだろう。あまり大きな声では言えないが日本で「催眠」について書いている人の知識は決して冗談ではなく大体19世紀後半から20世紀初頭あたりで止まっている。一例を上げると「Hypnotism and Hypnotic Suggestion」が出版されたのがちょうど1900年だ。定型文の催眠導入文を読んで暗示を入れればよい、という程度のことを言っている日本語のサイトの情報はこのあたりで止まっている。

❻ジョークの可能性を考えよう

 突拍子もない話はジョークや皮肉の可能性もあり。このあたりはご愛嬌だ。もし、罪のないジョークで多くの人を釣れるようであれば一流の「釣り師」の才能はあるのだろう。ネットには多くの「釣り師」が存在しているのも確かだ。こういった方向を目指すのもひとつの方法ではあるだろう。ただ反対に自分がマヌケな魚としてうっかり釣られることに注意したいものだ。

❼自分のバイアスをチェックしよう

 自分自身のヒューリスティクスやバイアスをチェックする。人間は自分の先入観に基づいて自分に都合のよい情報だけを集めてしまう生き物だ。特に「催眠はすごいものだ」という何の根拠にも基づかない思い込みは割りと存在しているように思う。統計を取ると催眠を使わない他の心理療法と変わらなかったりすることがほとんどだ。やはり自分の思考や行動をメタ認知して目的合理性もなく偏っていないかどうかをチェックする必要があるのだろう。もちろん、場合によっては意図的に偏るというのもありだ。認識の枠組みや行動が変化するサイバネティクス上のポジティブ・フィードバック・ループとはそういうものだからだ。

❽専門家に尋ねよう

 エリクソニアンはある意味絶滅危惧種であまりいないのかもしれないが、仮にいたとすれば少なくとも何人かに聞いてみたほうがよいのだろう。ネットでの相談は個別ではなく一般的になる傾向がある、ここに問題があることは留意しておいたほうがよいだろう。ある意味、専門家とはあなただけの強みを見つけ、あなただけに最適なオーダーメイドの解決策を一緒に探ってくれる人だからだ。

―― まとめ ――

 上の8つのチェックをするだけでもトンデモ情報は随分ふるいにかけられるはずだ。裏を返すとエリクソンは情報リテラシーを高めるのにもってこいの教材という側面も大きい。もちろん、エリクソンならこの「混乱」自体も変化のために利用するだろう。コンテンツ・レベルでの混乱を利用してよりメタ・レベルの思考の枠組みや行動パターンの変化を支援するのが、エリクソンの醍醐味であるのは公然の秘密でもある。

 これで、ゴミ溜めの中から砂金やダイヤモンドが発見できるかどうかはわからないが、少なくともトンデモすぎる情報をふるいにかけられるようになるのは確かだ。

6月29日の進捗、1420ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 53.6%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1963, 6, 92-112. This article was published simultaneously in translation in Ceskoslovenská Psychologie, Prague, Czechoslovakia.




お知らせ:

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 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

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2017年6月28日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 179日目


                                                                                                                            
 
  相手が自分と同じものを見ていると考えるのは、

  そもそも、大間違いのもとだ、という話かもなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 179日目について書いておきたい。

組織的な脳損傷に対する催眠を志向した心理療法

「Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage  (1963)」。著者はミルトン・エリクソン。

 25ページの比較的長い論文。簡単に言うと、こんな内容だ。物理的に脳を損傷したクライアントに心理療法的な知見は役に立つのか? なかなか深いテーマだ。最初に出て来るのは38歳の女性、家族旅行から帰ってくる途中で頭痛を発症。原因は動脈瘤が破れていること。もちろん、これが催眠で治るといったバカなことを言っているわけではない。当然、外科手術を行う。問題はその後の話だ。

 おそらくこの時代 fMRIやCTスキャンなどの機材は大病院にすら置かれていない時代だろう。したがって、脳の物理的な損傷にともない、どのような機能が麻痺しており、どのような機能は正常なのか?を見立てる必要がある。エリクソンの場合は、まず、この見立てとしてクライアントを催眠誘導し、これを見立てる支援をするところから始めるという具合だ。

 ・・・・・・・・

 このような感じでこの話が始まる。



随考

――エリクソンには「紫」が「深い青」に見えていた――
 

There is a common myth that Erickson could see only the color purple as a result of a rare type of color blindness. According to Betty Erickson , this was not true.Milton had a common type of red-green blindness called "dichromatopsia." Purple become his favorite color , but he probably percievied is as a kind of darkened blue. Betty suggests that he chose purple early on because at that time it was rarely used for garments - and Milton thoroughly enjoyed being diffrenct. Eventually purple become his own personal trademark.


 ミルトン・エリクソンはまれなタイプの色盲の結果として紫色だけを見ることができるという共通の神話があります。 ベティ・エリクソン(妻のエリザベス・ムーア・エリクソン)によると、これは真実ではありませんでした。

 エリクソンには、「二色性色盲」と呼ばれる一般的なタイプの赤緑色盲がありました。 紫は彼の好きな色になりましたが、おそらく彼は一種の深い青色として見ていました。 ベティは、当時は衣服にはあまり使用されていなかったため、早期に紫色を選んだことを示唆しています。エリクソンは徹底的に楽しんでいました。 やがて紫色は彼自身の個人的な商標になります。



 要は、エリクソンは色盲だったが、典型的な赤緑の二色の色覚異常だったという話だ。エリクソンは紫色を好んだが、エリクソンからは紫は深い青に見えていた。

 この話はなかなか示唆的だ。例えば、「あなたは、○○と思っていますね」という推測はまったくあてにならない、という具合だ。エリクソンの場合は知覚レベルで他の人と違うが、普通の人でも解釈レベルになると一人ひとりは違う受け取り方をしている。

 これから推測されることは、エリクソンは他の人からは紫に見えている、「深い青」を好んだということになる。

 相手は五感で知覚できるレベルですでにあなたと違うものを見えている可能性も否定できない。そういった示唆と考えると案外おもしろい。

6月28日の進捗、1412ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 53.3%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnotically Oriented Psychotherapy in Organic Brain Damage
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1963, 6, 92-112. This article was published simultaneously in translation in Ceskoslovenská Psychologie, Prague, Czechoslovakia.




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(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

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2017年6月27日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 178日目


                                                                                                                            
 
  ミルトン・エリクソンも家族療法も組織のマネジメントも自動車産業も

  同じサイバネティクスのくくりでしか見ていないけれど、

  何か問題でも?(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 178日目について書いておきたい。

慢性疼痛を変える催眠での経験

「HypnoticTraining for Transforming the Experience of Chronic Pain (1973)」。内容は1973年にミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシの間でかわされた会話のメモ。

 テーマは、慢性疼痛を抱えるクライアントをどのように支援すればよいのか?

 細かい話はおいておいて、一番大事なのは、疼痛に対処する方法を学習と考え、ベイトソンが定義した学習のレベルの0から4までの5段階で、三段階目の「学習II」で対処できるようになるようにクライアントを支援せよ、となる。

 論文に誤字があり「deutro-learning」が「dentro-lerning」と誤記されているが、これはお愛嬌だ。


随考

――道具立ては似ているどこか、まったく同じ ――

 「The complexities of the automotive industry: positive and negative feedback in production system」(自動車産業における複雑性:生産システムにおけるポジティブおよびネガティブ・フィードバック)というタイトルの心理療法とはまったく関係のない論文を読んだ。

 非常に面白い点は、自動車産業の生産システムの変遷を分析したやり方が、システム学派の短期療法や家族療法が使っている道具立てとまったく同じものを使って分析しているということだろう。要は、分析システムの対象が、一般的な家族なのか、自動車産業なのかの違いだけで、第二次サイバネティクスでもってその変遷を見ているということになる。
  
    その意味、自動車産業の変遷も、組織のマネジメントも、短期療法も家族療法も同じ仲間のひとつの現れとしか考えていないのだが、こういう論文を読むと、その確信は強くなるところだ。

6月27日の進捗、1404ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 53.0%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Interspersal Hypnotic Technique for Symptom Correction and Pain Control Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1966, 8, 198-209.

HypnoticTraining for Transforming the Experience of Chronic Pain
Milton H. Erickson and Ernst L. Rossi Unpublished dialogue between Erickson and Ernst L. Rossi, 1973.




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2017年6月26日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 177日目


                                                                                                                            
 
  あなたが今日大成功する可能性は0ではない。

  エリクソンの自明の理(笑)。


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 177日目について書いておきたい。

疼痛管理のためのちりばめ法

「Interspersal Hypnotic Technique for Symptom Correction and Pain Control(1966) 」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

 ここで収録されているのは非常に有名な事例だ。ひとつは頻尿に苦しむ農夫の話、もうひとつは末期がんで苦しむジョーという花屋の話。こちらはトマトのメタファーで有名だ。

 技法的には、エリクソンが話す言語パターンやメタファーに様々なメッセージが偏在、散りばめられているパターンとなる。

 細かい話はかかないが、トランスクリプトは、エリクソンになった気持ちで、何度でも声に出して読みたい論文でもある。


随考

――エリクソンの言語パターン ――

 このあたりは、心理療法、コーチング、ファシリテーションに限らず、日常でも使える技法だ。

 ブリーフセラピー・カンファレンスでのジェフリー・ザイクのプレゼンテーション資料「The Language of Hypnosis (The grammar of eliciting “states.”)」を読んだ。まず、タイトルに注目してみる。
 
―― 催眠の言語パターンの目的は何か?――

 タイトルに目的が書かれている。

  答えは「クライアントの(よい)心身状態を引き出すため」ということになる。さり気なく書かれているが重要なポイントだ。




  つまり、言語パターンは、「クライアントの(よい)心身状態を引き出す言語の文法」ということになる。クライアントが、・・・・何かをイメージする、・・・・何か考える、・・・・行動する、・・・・それを振り返って意味付けをする、・・・・いずれにしてもそれを行う(よい)心身状態がある、ということだ。そのためには、一例として内面に注意をむけると?

 1. 今何が起こっているのか?どんな心身状態なのか?
 2.どんな心身状態になりたいのか?
 3.何がそうなることを妨げているのか?
 4.理想の状態になるには何が必要か?
 5.理想の状態になったら、それはどのようにしてわかるのか?

 を問うという具合だ。

 また、セラピストは言語パターンを通してこの心身状態を引き出す支援をする、ということになる。あまり大きな声では言えないが、エリクソニアンの場合、催眠に入るかどうか?深いか、浅いか?は問題ではない。むしろ、それを行うのに適切な心身状態が引き出されているのか?が問題ということになる。これは催眠を使わないコーチングやファシリテーションでも同じだ。

―― 自明の理 ――

 この言語パターンのひとつとして、間接暗示に分類される「自明の理(Truism)」について語られている。自明の理は、誰からみても真だということだ。

 例があげられてる。面白いのは、You are happy . は自明の理ではないが、 You can be happy .は自明の理としている点だ。ここでは、一般意味論で言われているBE動詞を使う問題点とその解決策の E-Primeについては保留して考える。

 You are happy .(あなたは幸せです)と言われた場合どうか?

 クライアントは幸せではないと感じてる場合もある。

 その場合セラピストが言っていることと、クライアントが感じている事実は当然齟齬をきたす。そして、「そんなことはない、何を言っているのだ!」という抵抗を生む。本来の目的であったクライアントの(よい)心身状態も引き出せない。

―― 否定できない可能性も自明の理――

 一方、You can be happy . (あなたは(今)幸せになることはできます)と言われた場合はどうか?つまり、幸になる可能性が0ではないですよね、という具合だ。確かに0ではない。それが、0.0001%の可能性だったとしてそれを完全に否定するのは案外むずかしいものだ。だから自明の理となる。可能性は否定できないからだ。可能性に焦点を当てることで、クライアントの(よい)心身状態を引き出す、とっかかりにはなるはずだ。

 また、ここで重要なことはセラピストのスタンスだ。簡単に言うと、クライアントとの相互作用において、「何が事実で、何が解釈なのか?」の区別をきちんとつけてクライアントを支援しないと、こういった言語パターンを使うのは難しいということだ。

 さて、上の例はクライアントの心身状態の自明の理に着目したが、実際には、外的世界の事実とその変化に気づいてもらうほうがより簡単だろう。ザイクのスライドだと以下のような例がある。
You can hear the sounds outside.
 You can hear the sound of my voice.
 You can hear the sound of your breathing.
 You can experience sound changes…
あなたは外の音を聞くことができます。
あなたは私の声を聞くことができます。
あなたはあなたの呼吸の音を聞くことができます。
あなたは音の変化を経験することができます... 

―― もう少し複雑な自明の理 ――

 ネットに「A LINGUISTIC-STRUCTURAL MODEL FOR THE INVESTIGATION OF INDIRECT SUGGESTION」が落ちていたので読んでみた。ここに自明の理についての2つの事例がのっている。前者は、ロッシ&エリクソン(1980)で後者はバンドラー&グリンダー(1975)だ。知覚、認識する主体を一般化している例が示されている。
 Everyone has had the experience of nodding their head.
 People can be comfortably while reading this sentence.
誰もがうなずいた経験を持っています。
人はこの文章を読んでいる間に気持ちよくなることができます。 

     もっとも、細かい話をするとこのドキュメントの後ろに、バンドラー&グリンダーのミルトン・モデルとロッシ&エリクソンの言語パターンの対比表が登場しているが、ここでも書いたように、直線的因果関係でエリクソンの言語パターンを取り出してベイトソンに怒られたバンドラー&グリンダーと円環的因果関係でエリクソンの言語パターンを取り出したロッシの違いは、後々大きな違いになっているようにも思ってくる。要は、「人を動かしてやる」「人を操ってやる」と変な人間が出て来るのも直線的因果関係が影響しているという具合だ。こういった例ではなくても、クライアントが「私はできないのです」と行った時に、それをそのままひっくり返して「もし、できるとしたら」と直接的かつ担当直入に聞いても大した答えも出てこないかわりに、よい心身状態が引きだされないのも直接的因果関係を前提としているからだ。

 自明の理だけなら問題はないのだろうが。もちろん、個人的にはエリクソンの言語パターンは円環的因果関係にリモデリングして使っている。案外、これは重要なポイントだ。

―― 自明の理を探してみる ――

 自明の理は身の回りに転がっている、事実に着目すればよいからだ。ただし、上でも書いたように「否定できない(都合の良い)可能性」に目を向けてみるのも案外ポイントだ。

 もちろん、会社などでプロジェクトなどに従事しているとリスクにも目を向けなければいけないだろう。リクスとは現在顕在化していない問題のことだ。一般的にはこれが顕在化した時はインパクトが大きい。もちろん可能性も少ない。

 当然、リスクは頭の片隅において置かなければいけないが、やはりいつも焦点を当てるのは「否定できない(都合のよい)可能性」であったほうが、少なくとも良い心身状態が引き出されるということでもあるだろう。簡単に言うと、今日、あなたが大成功を収める可能性がないわけではないし、もし、そうだったらそれはどのようにそうなるのか?をイメージしてみるのも悪くはないのだろう。

6月26日の進捗、1396ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 52.7%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Interspersal Hypnotic Technique for Symptom Correction and Pain Control Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1966, 8, 198-209.




お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

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